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ラオン国の間諜
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「ま、別にあんたが貧乳ちゃんの能力に気が付かなくても、パムとナナの変化で、いずれみんな気が付いたんだけどね」
「えー、いずれじゃ遅かったですよ。あの二人、ああ見えてラオン国の間諜でしたし」
「まあ、それはそうなんだけど」
「は? ええっ!?」
——間諜? パムさんとナナさんがっ?
どうしてこうも思ってもみないことばかり耳にするのだろう。それはナギがメランガを捨てて去った後に起こった色々な出来事の中の一つなのだろうが、ナギは驚きの声を上げてばかりだ。
「でも旧ラオン国の上層部、間抜けすぎよね。急激に背が伸びたパムとナナが定期報告に行ったら、『お前たちは誰だっ!』って追い返されたって話。ウケるー」
「ええええっ!?」
——いや、ウケるとかって話ではないでしょうよ。
「まあ、それをきっかけにあっさりメランガに寝返った二人も、面白いと言えば面白いですけどね。ナギちゃんの代わりに来た一人だけは、ラオン国に戻って行ったけど、そのあとの革命でどこに行ったのやら」
「さあねー」
まくし立てるような勢いで、突っ込みどころ満載の話をしている二人は、息ぴったりだとナギは思ったが、余計なことは言わないことにした。
だが、パムとナナについては、これもまたナギのチートがらみだ。二人に悪いことをしたのかもと少し心配になったナギが、カウンター越しに厨房を覗くと、パムとナナはまだ楽しそうに走り回っている。
——まあ、楽しそうだからいいかな。でも、あの二人が、間諜って……。
思えばナギが最初にシュテルンの部屋に現れたとき、真っ先に疑われたのが間諜だった。あのときのナギは、胸も筋肉も何にもないから間諜ではないと言われたが、パムとナナにも筋肉も胸もないではないかと思ったら、ナギはムッとした表情になっていた。
「あれ? ナギちゃん、どうしたんです?」
いつのまにかナギの隣に立って、にひゃりと笑いかけてきたトシェを、ナギは不機嫌な顔のまま見つめる。
「え? ナギちゃん? え? なんでそんなに見つめてくるんですか? ナギちゃん、もしかしてぼくのこと」
急激に耳まで赤く染めたトシェに、ナギは毒気を抜かれた。何をどうしたら、睨まれてそんな勘違いが出来るのか謎だ。
「それはない」
「ええ?」
ぷいと横を向くと、おろおろしているトシェの気配を感じる。その見た目から、四十代半ばぐらいだと思っていたトシェは、もしかしたらもっとずっと若いのかもしれないとナギは思った。
やはり、トシェがシュテルンの次に強いというのは、ナギには感覚的に理解できない。理解はできないが、今ナギがここにいられるのは、トシェのお陰でもあるのだと思ったら、感謝の気持ちが湧き上がってきた。
「……ありがとう、トシェさん」
「え?」
「あなたのお陰で、メランガは強くなったんでしょう?」
チッという音が、舌打ちらしからぬ大きさで響いた。もちろんユトの仕業だ。とりあえずトシェに喧嘩を売るのはやめたのか、ユトは一人で大ジョッキを傾けている。
「えっ、ナギちゃん。それでぼくのこと」
素早い動きでナギの両手を取ったトシェが、赤面したままに「好きになっちゃったんですか?」と続けたが、トシェが言い終わる前にその顔に大きな影が掛かり、その色味は見えなくなった。
「えー、いずれじゃ遅かったですよ。あの二人、ああ見えてラオン国の間諜でしたし」
「まあ、それはそうなんだけど」
「は? ええっ!?」
——間諜? パムさんとナナさんがっ?
どうしてこうも思ってもみないことばかり耳にするのだろう。それはナギがメランガを捨てて去った後に起こった色々な出来事の中の一つなのだろうが、ナギは驚きの声を上げてばかりだ。
「でも旧ラオン国の上層部、間抜けすぎよね。急激に背が伸びたパムとナナが定期報告に行ったら、『お前たちは誰だっ!』って追い返されたって話。ウケるー」
「ええええっ!?」
——いや、ウケるとかって話ではないでしょうよ。
「まあ、それをきっかけにあっさりメランガに寝返った二人も、面白いと言えば面白いですけどね。ナギちゃんの代わりに来た一人だけは、ラオン国に戻って行ったけど、そのあとの革命でどこに行ったのやら」
「さあねー」
まくし立てるような勢いで、突っ込みどころ満載の話をしている二人は、息ぴったりだとナギは思ったが、余計なことは言わないことにした。
だが、パムとナナについては、これもまたナギのチートがらみだ。二人に悪いことをしたのかもと少し心配になったナギが、カウンター越しに厨房を覗くと、パムとナナはまだ楽しそうに走り回っている。
——まあ、楽しそうだからいいかな。でも、あの二人が、間諜って……。
思えばナギが最初にシュテルンの部屋に現れたとき、真っ先に疑われたのが間諜だった。あのときのナギは、胸も筋肉も何にもないから間諜ではないと言われたが、パムとナナにも筋肉も胸もないではないかと思ったら、ナギはムッとした表情になっていた。
「あれ? ナギちゃん、どうしたんです?」
いつのまにかナギの隣に立って、にひゃりと笑いかけてきたトシェを、ナギは不機嫌な顔のまま見つめる。
「え? ナギちゃん? え? なんでそんなに見つめてくるんですか? ナギちゃん、もしかしてぼくのこと」
急激に耳まで赤く染めたトシェに、ナギは毒気を抜かれた。何をどうしたら、睨まれてそんな勘違いが出来るのか謎だ。
「それはない」
「ええ?」
ぷいと横を向くと、おろおろしているトシェの気配を感じる。その見た目から、四十代半ばぐらいだと思っていたトシェは、もしかしたらもっとずっと若いのかもしれないとナギは思った。
やはり、トシェがシュテルンの次に強いというのは、ナギには感覚的に理解できない。理解はできないが、今ナギがここにいられるのは、トシェのお陰でもあるのだと思ったら、感謝の気持ちが湧き上がってきた。
「……ありがとう、トシェさん」
「え?」
「あなたのお陰で、メランガは強くなったんでしょう?」
チッという音が、舌打ちらしからぬ大きさで響いた。もちろんユトの仕業だ。とりあえずトシェに喧嘩を売るのはやめたのか、ユトは一人で大ジョッキを傾けている。
「えっ、ナギちゃん。それでぼくのこと」
素早い動きでナギの両手を取ったトシェが、赤面したままに「好きになっちゃったんですか?」と続けたが、トシェが言い終わる前にその顔に大きな影が掛かり、その色味は見えなくなった。
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