召喚されたけれど、夫を捜しに出奔します

秋の叶

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執務室では~フェリクス視点~

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 サトー・キクと名乗った女性と部屋で別れた後、魔法陣を片付けたアルフレッドとフェリクスは司祭の執務室にいた。
「書物の通りにやってみて上手くいったと思ったら、全く・・・あれでは聖女どころか不審者ではないか」
 不機嫌に言うアルフレッド。
「むしろ、本当に人を喚び出す事が出来て驚きました。ある意味、書物の信憑性が上がったのではないでしょうか。それにまだ聖女ではないと決まってはいませんし」
 司祭を宥めるようにフェリクスは言う。
「たしかにな・・・しかし乙女が来るかと思えば、あんな年寄りでは何も出来ないのではないか?魔力の増加どころか役に立つとも思えんが。貴重な魔石を無駄に消費してしまったな」
 司祭の言葉を聞きながら今後について思案するフェリクス。
「まずは生活魔法が使えるか確認をし、それ以外にどんな種類の魔法が使えるかですね。書物に書かれていた聖女特有の魔法が使えるのであれば一番良いのですが、魔法が使えなくても、何か向こうの世界の知識で有益なものがあるか聞き出したいところですね。暫くしたら世話係の者が来るでしょうから、話を聞きましょう」


 ノックの音の後、入室の許可をするとサトー・キクに付き添っていたサラとアンが入ってきた。
 召喚した人間への興味が失せたアルフレッドは不機嫌なまま何も言わないので、フェリクスが聞き取りをする。
「報告を。詳細に」
 促され、サラが口を開く。
「はい。部屋に案内してすぐ、清めと着替えをしていただきましたが、お一人で着替えることに慣れていらっしゃるようで、手伝いを拒まれました。頭から覆っていた布など外したようですが、着替えの布でまた同じように覆ってしまったので、お顔を拝見する事が出来ませんでした。キク様曰く『家族以外に見せないもの』との事です。その後、日常的に使う道具や文字、季節、魔法について一通りお伝えしたところ、魔道具類に関しては『昔の道具みたい』と呟く様子がありました。魔道具は問題なく作動できます。魔法に関しては、生活魔法を試していただきましたが、使う事が出来ませんでした。魔法の無い世界だったという事ですので、魔力の扱いを覚えたら使えるかもしれません。何冊か本をお部屋に届けたのち、報告に上がりました」
「ふむ。何か要求はあったか?」
「食事は1人で部屋で摂りたい事。建物内や庭に出たいとの事でしたので、確認してから返事をすると伝えました」
「食事に関しては問題ないだろう。建物内や庭は一般に開放されている範囲であれば、付き添いと一緒の場合のみ許可する」
「かしこまりました」
 報告はサラが行い、アンと共に頭を下げて部屋を出ていく。

 扉が閉まったことを確認し、ふぅーっと息を吐き出すフェリクス。
「魔法を使い始める前の子供のような状態かもしれませんね。少し様子を見るしかないようです」
「そうだな」
 そっけない態度のアルフレッド。
 それにしても『昔の道具みたい』か・・・どうやら彼女のいた世界は文明が発達しているようだ。落ち着いた頃に話を聞いてみても良いかもしれないな。とフェリックスは思案していた。
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