召喚されたけれど、夫を捜しに出奔します

秋の叶

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メラニーの眠る場所

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 昨夜は微妙な気分だったけれど、ぱっちり目を覚ます。
 うん、今日はいつも通り動けそう。
 以前、穴に落ちた猪の経験が入ったと夫が手紙に書いていたので、ステータスを確認する。
 
Lv18
体力:125/125
魔力:650/650

 上がっている・・・数が数だった事もあり、6も上がっている。
 数字を見ると相当体力がついたようだ。今だったら庭の土運びが楽々出来そうな気がする。
 
 夫の手紙を読んでお互いの距離が近づいた事に嬉しくなる。
 順調に進めば数日で合流出来るはず。
 連絡方法がアナログなので、近い距離になった時にはこまめにメモの往復をする事になるんだろうな。

 お米を炊いている間に結界の付与魔石を2つ作り、その後、ご飯、納豆、豚汁と煮びたしで朝ご飯を食べ、片付けを終わっていつものように外に出る。
 今日は快晴だ。天気が良いだけで気分も持ち上がる。
  
 身体強化で早歩き気味に進むと、風景が流れるように過ぎていく。
 馬車や魔動車、徒歩の人にもぶつからないように気を付けなくっちゃ。
 町が見えてくるあたりで街道を外れ、物陰で姿が見えるようにし、魔動コンロとトートバックが入った箱を背負って歩き出し、何食わぬ顔をして町に入る。
 門にいた人に魔道具を買い取る店の場所を聞いて、移動する。

「おはようございます」
 挨拶をしながら店に入る。
「いらっしゃい!」
 同年代と思われる白髪交じりの女性が返事をした。
「こちらで魔道具の買取りをしてもらえるでしょうか?」
「良い品は買い取るよ。どんな物を持ってきたんだい?」
 箱を開けて、トートバックは肩にかけ、箱ごとお店の人に渡して検分してもらう。

 石板を手に取り『aestimatio』と唱えて鑑定しているようだ。
 確かこの呪文、教会で借りた本に書かれていたけれど覚えられる気も、発音できる気もしなかったために、記憶から消去していたのを思い出した。使いこなしているあたり、お店の女性は相当勉強したんだろうな。
 鑑定後にコンロの使い勝手も確認している。
 
 ぼーっと見ている間に品定めが終わったようで、顔を上げた女性と目が合う。
「台所に置いたまま使えるし、持ち運ぶことも出来るし、火力が調節できるのも良いね。魔力もしっかり補充されている良い品だ。5つ全部売ってもらえるのかい?だったら全部で金貨1枚と銀貨5枚でいいかい?」
「お願いします」
 夫から聞いていた値段より高く買い取ってもらえてほくほくした。
にっこりと笑う女性に頭を下げて店を後にする。

 周辺を少し歩き、野菜を売っているお店で購入する。
 トートバックに野菜を入れ、他に何かないか見ていると、鰻のかば焼きが美味しいという話が聞こえたので、焼いているお店を見つけて立ち寄る。
 持ち帰り出来るか聞いてみると、器があれば可能だというので、トートバック(インベントリ)から大皿を取り出して乗せてもらった。
 銀貨2枚を支払って、うきうきして町の外に出る。
「ふふっ、鰻三昧が出来る」

 物陰で姿を隠して進み、次の町はそのまま通過する。
 途中、かば焼きとご飯でお昼ご飯を食べ、次の街を目指した。
 大きな町に辿り着いたけれど、そこもまた姿を隠したまま通り過ぎる。

 山が見えてきたところで、山の中に入ると、ずらっと並ぶ石垣が見えた。
 あーこれは・・・この辺も獣害が酷いんだろうなとげんなりしながら見る。
 次の町が近い所まで歩き、野営場所を決める。

 今回はまだ明るい時間だけれど、人型結界のまま思い切って私が借りていた部屋に転移してみる。
 部屋の中には誰もいなかったのでほっとした。
 ベッドの上にメラニーはいない。
 部屋の外の気配を探っても誰もいないようなので、廊下に出た。
 建物の中を移動して、助祭の部屋の近くに行く。
「今度はスーオに魔道具が・・・」
 助祭の声らしきものが聞こえ、ドキッとしてその場を離れる。

 礼拝堂方面を進み、外に出て慰霊塔と思われる所へ行く。
 慰霊碑の前に立っている人がいたので、離れて見ていると、庭師のジャンだった。
 彼は胸の前に持っていた帽子をかぶり直し、その場を立ち去る。
 花が手向けられている辺りを見て、おそらくここにメラニーがいるのだろうと思い、手を合わせる。
 そこから今日の野営場所まで戻った。

 まず、魔力が増えている影響もあるけれど、今までの移動距離を問題なく往復出来ることが分かった。
 次に、昨夜、夫が設置した魔道具の情報が既に助祭の所に届いていた事。
 情報の速さに舌を巻く。
 ただし、設置している現場を誰も見ていない事から、正体は不明のままだろうし、魔石の入手経路も不明のままだと思う、が、あの大きさの魔石を売らずに確保している人物の情報はその内上がるかもしれない。
 大きな魔石を利用した魔道具を作って販売しないと疑われかねないので、相談が必要かも。
 夫の場合もう認識しているのだろうけれど。
 
 今のステータス、コンロの魔道具を販売した事、値段、かば焼きを買った事、最初に召喚された教会まで転移した事、助祭がスーオに魔道具が設置されたと話していた事、メラニーがきちんと埋葬されていたようだという事、魔石の用途に関する懸念を夫に書く。
 
 買ってきた野菜を塩コショウで炒めてインベントリにストックし、夕食を食べてからコンロの魔石を中心に付与をして就寝しようと思ったら、ドシンッと何かが結界に激突した音が聞こえて揺れる。
「・・・えー・・・また何かぶつかったの?」
 何かって多分、猪か鹿なのだろうけれど、寝ようと思ったのに。
 ぶつぶつ言いながら、結界を解いて見ると、月明りに猪っぽい影が浮かんだ。
 猪を窒息結界で包んでから部屋型結界を戻し、鑑定で猪の状態を確認してインベントリに収納する。

 片付けが終わったので寝た。

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