召喚されたけれど、夫を捜しに出奔します

秋の叶

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再会

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 この世界に召喚されて約2週間。
 現実世界でいうところの京都あたりで夫と合流した。
 地図が無いし、目立つ行動は取れないし、携帯電話も無いしでどうやって待ち合せようかと思ったけれど、輸送によるタイムロスが無い方法(インベントリ)で、手紙のやり取りが出来るだけでも随分違うよね。
 ホワイトボードでコンスタントに現在地を書き込んで、大きな橋の傍で夫の姿が見えた時には視界がぼやけた。
「久美子!」
「公君!」
 2人で両手をがっちり握って、久しぶりの再会を喜ぶ。

 実験召喚が今生の別れにならなくて良かった。
 1人だけこの世界に来たのではなくて良かった。
 お互い無事で良かった。
 
 再会ハイはまた後にして、まずはこの町でこなせる用事をとっとと終わらせよう。
 まずは魔道具のお店。
 ここでは先日出来上がった、スカーフ型の冷暖機能魔道具と、コンロの魔道具を売りたい。
 お店に行くと細身の男性が応対に出てくれた。
 
「いらっしゃいませ」
「魔道具の買取りをお願いできますか?」
「拝見しましょう。こちらへどうぞ」
 大きなテーブルに案内してもらったので、そこに私が持っていた風呂敷と、夫が背負っていた箱を乗せる。

 スカーフはブローチ部分が裏表で2種あり、温めたり冷やしたりと切り替えが可能。
 ひまわりと椿、竹と南天といった感じでデザインを凝ったものや、ちょっとシンプルなものを合わせて10点。 

『冷暖房の魔道具(小):火と水と風の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率は十分』

「これは・・・!夏冬どちらも使う事が出来る魔道具ですか!」
 鑑定後、作動を確認して驚きの声をあげる店主。
「ええ、ピンの部分だけですと使い方がわかり辛いかと思って布を一緒に付けました。首に巻いても良いですし、腰に括りつけても良いですし、頬かむりしても良いですよ。服に穴を開けて魔道具を付けるのはもったいないと思いますが、購入した方が自由に使ってくだされば良いです」
「うーむ・・・。1つ銀貨3枚、10点ですと金貨3枚、こちらのコンロの魔道具が5点で金貨1枚と銀貨5枚。合計金貨4枚と銀貨5枚でもよろしいでしょうか?」
 気軽に使って、どんどん広がって欲しいので了承する。
 安くし過ぎたら職人さんが立ち行かなくなるので難しい所だ。

 当座の資金に余裕が出来たところで、布を販売しているお店に行き、羽織るための生地を選ぶ。
 ついでに魔道具用の布もまた購入して店を出た。
 町の中で食事処を見かけたので2人で入り、湯豆腐を食べる。
「ここまで長かったねぇ」
「だな。最初は全く分からなかったから、地図がかなり役に立ったよ、ありがとう」
「ううん。私の方こそ表示関連に気付いていなかったから、あれを知ってから随分楽になったの。ありがとね」
 他人の耳目がある場所なので、ステータスの事は濁した。
「こっちに来て短期間に豆腐料理をいただいている気がする」
「俺も最初が豆腐料理だった。あれもうまかったよ。」
「異国過ぎないのがありがたいよね。特に食べ物」
「だなー。」
 他愛ない話をして食事を終え、外に出て山に向かう。

 山の中で結界を張ってから再会を喜び直し、落ち着いたところでお茶を飲みながら今後の計画を立てる。
「この世界ってさ、魔法があるせいか、日本っぽいけれど私達が知っている、というか習った日本じゃないよね」
「うん。宗教も仏教っぽい建物もあるが、教会の影響も強い印象だ。元々無宗派だから、ちょっと敬遠してしまう。」
「この後どうする?どこかに定住する?回復魔法があるとはいえ年齢的に動けなくなる可能性も出てくるし」
「召喚理由が魔力不足だったんだろ?とりあえず、世界はわからないが、この国のあちこちに解決の糸口になりそうな魔道具をばらまきつつ、住めそうな場所を見つけたいな」

「魔道具と言えば、魔石の所持で教会に知られないか気になっていたところだったんだけど、大きい魔石を使った魔道具って作る予定?」 
「移動しやすいように乗り物を普及させて、目立たなくするか?自動車については教会で詳しく話したか?」
「ざっくりだったわよ。そもそもエンジンの中をろくに知らないし・・・。ただ、タイヤの話はしたわね」
 乗り物に思いを馳せる夫を見て、思い付きを口にする。
「ねぇ、思ったんだけど。そもそも魔石を動力にして動かせるなら、エンジンっていらないよね?更に言えばタイヤっているのかしら?運べさえすれば浮いていたって・・・」
「エンジンはともかくタイヤはい・・・らないのか?浮く・・・あ、最初の魔法メモ」

 インベントリから魔法一覧を書いたメモを取り出す。
「浮かぶ魔法。あった!これでタイヤの無い乗り物を作って普及したら魔石も使えるし、教会側の情報と被らないし、いけるんじゃないか?久美子ナイスだ」
「浮かぶ車って、ここに来てなんかSFチックになってきたね。まあいいや、作れそう?」
「サイズ的には小さいのから作って慣れたら大きいのを作った方がいいな」
「あ、だったら、3輪バイクのトゥクトゥクで2~3人乗りの車っぽいデザインの物、あっちの世界の近所を走っていてコンパクトで良いなと思って見てたんだけど、どう?」

 そこから材料の仕入れの話をし、移動するにあたって2人で一緒に転移できるか確認したら、夫を置いて転移した。
 失敗失敗。
 接触していないと無理だと気付き、戻って手を繋いで転移したら無事に出来た。
 更に大きな魔石に転移の付与をして、夫が魔道具として完成させた物を作る。

『転移の魔道具(大):時空間の魔力を付与した魔石が使われている。魔石の魔力効率は十分』

 それを使って2人で転移することも出来た上、夫が魔道具を使うと最初にいた地方まで転移出来ることも分かった。
 一緒にいると魔道具がタイムロス無く出来るのが良い。
 結界の魔道具を改良し、この日から、外に出る時は私たち夫婦の印象を変化させる事にした。
 夫は金髪、私は赤毛である。
 お互い染めたことが無いので、違和感ありまくりだけれど異世界ハイという事にしておこう。
 身分証明も姿を変化させた状態でもう一つ取得する。

 ちなみに、合流した日のコウのステータスはこのようになっていた。

Lv22
体力:260/260
魔力:540/540

 くの字の塀を作った村で、あの日10匹の魔獣を穴に落としたと思われる。
 罠猟といえば罠猟なのだろうけれど、魔法がある世界は規模が違うなー。
 自分で穴を作っておいてそんな事を思う公一だった。
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