君の小水が飲みたい

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4、ヴァーラスキャールウ゛

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「ほえ~。すげえ! ひょっとしてオーディン様ってすっげえ偉いお貴族様?!」

 あれからすぐにフッラさんはオーディン様とコモンさんにオレが《グレインマスター》になりたがっている事を話してくれた。
 んで、今、コモンさんにヴァーラスと呼ばれているデカイ建物に連れて来て貰っている。
 オーディン様は普段は此処に住んでいるそうだ。
 そう、普段。特別な時はグラズヘイム神殿の離宮、グァルハラに行かれるそうだ。
 《特別な時》って何?! 気になる。 でも雰囲気から、聞くとヤバイ事になりそうな《ニヤリッ》って顔をコモンさんがしたのでオレは聞かない! 空気が読める男だよオレは!

「こっちだ」

 キョロキョロしながら後ろを歩いていたオレにコモンさんが言う。
 扉を開けられて中に入って行く。
 ワンコだ! デカイワンコが二匹いる!
 それに出窓?! 畳、五枚分くらいのスペースに真っ黒い鳥の姿。
 《大烏》だ?! 大き過ぎないか?!
 多分オレ、コレに乗れる。
 いや、きっと足で掴んで連れ去られるパターン。
 クチバシもでけえ! オレ食われるんじゃねえ?
 あ、こっち見た。
 目が合った?! ガン見されてる~!

「「カアァァ~ン!」

 ん? 『カ』って鳴き声おかしくなかったか?!
 すっげエロっぽかったぞ?!

「お?! リック、フギンとムニンに気に入られたみたいだな」

 フワッと何かが手に触れた。

「おおう。モフモフ! コモンさん! コイツ等もお世話して良いの!?」

「ほう? ゲリとフゲキにまで気に入られたか?」

 二匹のワンコが、オレに鼻先をグイグイ押し付けて来る。
 こ、コレは! モフモフタイムのお誘いじゃねえか?!
 良いんだな? イイんだよな?!
 
  サワッ、サワサワサワ。ワシワシワシッ。

「クウゥゥゥ~ン」

 おお! 一匹を撫でていたら、もう一匹がお腹を!
 足が、カッパァ! で、『撫でてくれ』ポーズ!

「か、可愛い過ぎだろ~! 惚れてまうやろう!」

 コモンさんの存在を忘れて、もう夢中でモフり倒してしまっていた。
 だって、二匹が、座っているオレに競い合うみたいに擦り寄って腹を見せてくれたんだぞ?!

「ゲリ「オン!」と、フゲキ「ウオン!」って言う名前なの? あああ~なんて賢いんだ! お返事ができるなんて!」

「ゲリ……。フゲキまで。お前達、狼としてどうなんだその態度は?」

 でっかいワンコじゃなかった?!
 スゲー! 狼だって!

 バサバサバサッ!

「わっ?! え? なに?! フギン? 「カア!」……。ムニン?「カアァァン!」 くっ可愛い!」

 狼のフゲキの上に大烏のフゲキが乗って、ゲリの上にはムニンが乗っている。
 そして、二羽とも、グイグイ頭を押し付けて来る!
 天国か?!
 ココはモフモフ天国なのか?!
 オレは、迷わずダイブした。
 大烏のフゲキとムニンを両手に抱いて、狼のゲリとフゲキの腹の上に!

「ぐふっ。最高~!」

「ああ、リック? 君、えらくなつかれたな?!」

「コモンさん……。ココ、最高っす! お世話させて下さい!」

「いや、まあ、顔合わせで連れて来たんだが、リック、お世話されてるの君の方かもね?」

 何となく、そんな感じはしていた。
 だって、四匹を枕とベッドみたいにして寝転んでいるオレに、四匹がスリスリしたり、毛繕いをしてくれている。
 
「あ、しまった! コレ、雇って貰え無いパターン?!」

「いやいやいや、ココまで懐いているところを、引き離したら、コイツ等手が付けられんぐらい暴れるぞ?!」

「え? 暴れるの? お前達が? こんなにいい子なのに?」

「ああ。今日から世話係として雇う」

「い、やった~! お仕事ゲットだぜ! みんな、オレの名前はリックだ! よろしくな!」

「ああリック、私はオーディン様に伝えて来る。リックはもうしばらく、そうしててくれ」

「コモンさん! すみません! これからよろしくお願いします!」

「はははっ! まあ、そいつらが納得するまでお世話されていろ。ぶっ。くっ、ハハハハハ!」

 コモンさんは大笑いしながら部屋から出て行った。

 オレはモフモフ天国の仕事場を手に入れたぞー! 
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