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第32話
しおりを挟む警戒して歩いていると思わず緊張状態が続いていたのだろう、肩に変な力が入っていたようだ。
意識して落ち着きを取り戻すと、道行く人々の様子も先程よりは冷静に観察出来るようになった。
捜索を始めてから2度目の集合場所の広場での定期連絡を終え、既に何度も通っている商店街のメイン通りをローレンツさんと並んで歩いている。ヴィルヘルムも団長さんも怪しい人物やエルミアさんをまだ見付けられていない。
すっかり夕方から夜になろうという時間だが空の色は少し赤みが引いただけで、夕日と入れ代わるように上がり始めた2つの満月に照らされて今も尚空は明るい。
もう少し月が昇れば空の色自体は暗くなるという事だったが、すれ違う人間の顔を判別するには不自由のない明るさだ。
明かりの灯った沢山のランタンは月明かりとは別の光源を作り、行き交う人々の動く影を複雑に映し出している。祭りの盛り上がりに合わせて人出も増えてきたようで、先程まで横に2人並んで歩けていた道が今は前後に並んででないと歩けない状態だ。
そんな時に、先日の食品店の前に露店の設営をしているジャミエルトさんに出会った。
時計工房からは早々に引き揚げた様子で、それを確認して安堵の表情を浮かべるローレンツさんを見ながら軽く挨拶だけして店の前を通り過ぎるつもりだった。それなのに素通りしようとしたオレ達はどんな客引きよりも強引な呼び込みを受け、仕方なく少しだけ店頭を見せてもらう事になったのだった。
ざっと並べかけの商品を見せてもらった所、先日ヴィルヘルムのマント留めに並べて付けるのに良いかもと思っていたブローチがあったので、早くそれを買って解放してもらおうと思ったのだが……。
「彼には派手ではないデスカ?」
オレが指差したブローチが置かれていた敷き布からピンを抜きながら、美麗の王子様こと露天商の商人ジャミエルトさんは、目の前に立つローレンツさんとそのブローチを繁々と見比べていた。本人を目の前にして中々失礼な言い様だ。
「この人はただの付き添いで、プレゼントの相手とは違うんです」
「イレーネさん……酷くないですかそれ」
こう言ってしまうと、ローレンツさんよりもヴィルヘルムの方が華があると聞こえてしまうかもしれないが、とにかくこの場を早く切り上げて捜索に戻りたい一心だ。納得してブローチを包み始めたジャミエルトさんに代金を渡して、ローレンツさんに弁解をする。
「ハイ、お待たせしました」
輝くような営業スマイルで差し出された綺麗な小箱を受け取るべく右手を伸ばすと、次の瞬間その手首に冷たい感触が走った。
「え?なんですか、これ」
オレの右の手首には華奢な葉が連結したブレスレットが着けられていた、今の一瞬で着けたとしたら早業過ぎる。
「プレゼントです、ワタシからあなたに」
「は?いや、頂けません」
よくある押し売りの手口ではないか、少ない接点ではあったが彼がこのような商売の仕方をするとは気が付かず油断してしまった。
すぐに隣にいたローレンツさんがブレスレットを外してくれようとするが、小さな金具に悪戦苦闘している。
「いくらだ?」
溜め息をついて諦めたように言うローレンツさんに、ジャミエルトさんは悪びれた様子も見せず首を横に振った。
「ほんとにプレゼント。1つ買ったらオマケ」
「後日請求に来ても遅いからな、行きましょうイレーネさん」
歩き出そうとするローレンツさんに肩を押されながら、首だけ振り向いてジェミエルトさんにお礼を言った。最初からオマケだと言ってくれれば良かったのに、疑ってしまい申し訳ない事をした。
「また来てくださいネ」
特に気にした様子もなく手を振ってくれた彼に安心し、気を取り直して歩き出した。
「……なんか私、アイツの気持ち分かってきました」
再び歩き出した商店街でひと際大きなランタンの下を通りながら、隣のローレンツさんが溜め息をついた。
「何がですか?」
「ヴィルヘルムが必要以上に貴女の心配をする所ですよ」
ああ、他の人の目から見てもやはり過保護に映るのかと納得したが、ヴィルヘルムの気持ちが分かるとはどういう事だろうか。説明を求めてローレンツさんを見遣ると、彼は可笑しそうに諦めたような笑顔を見せた。
「よくそんな警戒心無いままで生きてこれましたよね。やっぱり何処かの深窓のご令嬢か、お姫様でもなければ納得出来ないですよ」
「ふっはは、こんな姫なんていたら嫌だな」
すごく治安が良くて武器なんて見た事も持った事もない国にいたと言うと、ローレンツさんは衝撃を受けたような顔をした。
「世界って広いんですね……」
ローレンツさんがオレの腰に巻かれたリボンの端を強く握り直すのが伝わった。
「あの店の前にいる黒い帽子の男性、怪しくないですか?」
怪しい人物かそうでないか少しは判断出来るようになった頃、オレは商店の前に立って通りの人々を観察する男を見付けてローレンツさんに耳打ちした。
「ああ、あれは大丈夫この辺りによくいるスリです」
ローレンツさんが親し気にその男性に向かって片手を上げると、男性はハッとした表情をした後に帽子を取りこちらに頭を下げた。
「牽制しとけば大人しいものですよ、あの程度で捕まえていたら牢がいくつあっても足りません」
そういうものなのかと感心していると、前方への注意が遅れたオレの膝に何かが軽く当たったので慌てて足元を見た。そこには5歳くらいの男の子が必死にオレの足元に抱き着く姿があった。
「ママ……!」
これは、祭りに付き物の……。
幼い声に気が付いてローレンツさんもオレの足元を見た。
「なんだ、迷子か?」
気軽に言ったローレンツさんの言葉を切っ掛けに、オレを見上げた男の子は捜していた母親ではない事に気が付き、泣き出してしまった。
無言で少年を抱き上げて背中をさすって宥めると、思わずローレンツさんにやや冷ややかな視線を送ってしまった。親とはぐれて心細い子どもに“君は迷子だ”と、わざわざ言葉にして現実を突きつけるのは得策ではない。
オレから男の子を引き取ると、近くの商店に預かってもらおうとローレンツさんは露店ではなく、立派な構えの洋服店の表から店の中に声を掛けた。
間もなく出て来た年配の女性店主にローレンツさんが事情を説明している間、何気なく隣の薬品店のような店から出て来た2人組が目に留まった。
疲れたような顔をした薄い銀髪の若い男と、もう1人の麻布のようなローブを纏った人物は歩き方と、商店の扉をしっかりと閉めた細やかな所作から女性だと思われる。何処がという訳ではないが、なんとなく気になる2人組だった。
振り返ると迷子になった経緯を聞き出す内に再び泣き出した男の子と、それを宥めようとするローレンツさんと店主さんに加えて騒ぎを聞きつけて集まり出した野次馬が増えつつあった。
先程の2人組に視線を戻すと、ちょうどすぐ近くの路地へ素早く入って行く所だった。このままでは見失ってしまう、何がこんなに気になるのか分からないがこのまま見過ぎしてはいけない気がする。
「ローレンツさん!すぐ戻ります!」
この距離なら人だかり越しでも十分聞こえた筈だ、今なら少し追い掛けてローブの人物の顔を確認してすぐに戻って来ればいい。
「はぁ、はぁ……」
肩で息をして薄暗い狭い路地の壁に片手をついて呼吸を整える。
すぐに追い掛けたのに、思ったよりも先程の2人組を見付けるのに手間取ってしまった。事前に覚えていた地図から、見付けた彼等が古くからある酒場の勝手口に立っている事が分かった。
2つの満月の明かりもランタンの灯りも、どちらもここまで入り組んだ路地の中ではあまり役に立たず、少し離れた場所で何か話す彼等の姿は先程以上によく見えない。
少し待っていると銀髪の男が勝手口から店の中に入った、紙袋の包みを抱えたローブの人物はそのまま扉の外で待つようだ。
チャンスだ。再度呼吸を整えてあくまで用事があってこの路地を通るような足取りで、ローブの人物に歩み寄った。
足音に気が付いたのだろう、目の前に行く前に揺れたローブのフードから零れた鈍い金色の髪を見てオレは確信した。
この世界に来てこんなに見慣れた色はない、間違い様がない。
少しの距離を縮めるように駆け寄って、そのローブの女性に声を掛けた。
「……エルミアさん?エルミアさんじゃないですか?」
顔を上げたその女性の顔を見て、返事を聞かなくても彼女が捜していたヴィルヘルムのお姉さんだと分かった。顔立ちも瞳や髪の色もヴィルヘルムにそっくりだ。
「ヴィルヘルムとあなたを捜してました、行きましょう!」
エルミアさんの腕を掴んで走り出そうとしたが、強い力で抵抗されてその場でたたらを踏んだ。
「……あなた1人?駄目よ、すぐ捕まって連れ戻されてしまうわ」
憔悴した様子で何度も弱々しく首を振る彼女に、全速力で走って逃げろというのは難しいかもしれない。かといって確かにオレ1人ではどうしようもないように思える、走ってローレンツさんを呼びに行くか……でもそんな事をしている間に先程の男が店内から戻って来たら、もう2度とエルミアさんを見付けられないかもしれない。
時間にしたら一瞬だったがいくつかのパターンを想像してみて、オレは今最善だと思う方法を提案した。
「そのローブ、脱げますか?」
動こうとしない彼女には悪いが、手早くローブの留め具と紐を解いて彼女からローブを奪って、素早く着込む。
「私が時間を稼ぎます、エルミアさんはこの路地を抜けた先の誰でもいいので騎士団か自警団を呼ぶように伝えてください」
「でも……それでは貴女が……」
先程彼女の腕を掴んだ時もその腕の細さに驚いたが、その顔からも憔悴しきっていて精気があまり感じられない。こんな人を置いて助けを呼びに行くのは無理だ。
迷う様子を見せる彼女に、こちらの為を思うならなるべく早く助けを呼んで来てくれと彼女の薄い背中を押して、オレは深くローブのフードを被り直した。
きっとオレを追い掛けて来てくれているだろうローレンツさんが、エルミアさんを見付けてすぐに助けに来てくれる筈だ、自分にそう言い聞かせて彼女から受け取った紙袋を抱える手に力を入れた。
一秒一秒が長く感じられる、少し湿った薄汚れたローブが路地の湿気まで吸ってどんどん重くなっていくようだ。
エルミアさんはもう路地から抜け出せただろうか?ローレンツさんと合流出来ただろうか、弱った彼女には走る事も難しい、もう少し時間が必要だ。
連れの男が出て来た時にエルミアさんがここにいないとバレると不味い。今すぐに追い掛けられたら彼女はすぐに捕まってしまう。
胸元に入れていた懐中時計を取り出して時刻を確認する。
あと3分、3分したら店内にいる男が出て来ても、出て来なくても走って逃げる。大声を上げながら逃げてやる。
1分経った、酒場の中から漏れ聞こえる客の喧騒以外は何も聞こえない。自分の心音が緊張の為ドクドクと耳の傍から聞こえるようだ、懐中時計の針がもっと早く進まないかとジッと文字盤を見詰める。
きっと店の中の人間は誰も信用出来ない、誘拐犯が出入りするような酒場だ。
……もうこのまま先程の男は出て来ないんじゃないか?そうなら良いのにと思う、エルミアさんが十分に逃げられる時間が稼げればそれで良い。
祈るような気持ちで懐中時計の文字盤を見詰めていたその時、無情にも背にしていた扉があっけなく開いた。
「手間掛けさせやがって……おい行くぞ」
目深に被ったフードで足元しか見えないが、先程エルミアさんを連れていた銀髪の男だろう。オレについて来るように言うと素早く踵を返した男は、来た方向とは逆の道へ歩いて行く。
まだ3分は経っていない……幸いエルミアさんではない事には気付かれていない、暗い路地とこの格好で良かったがなんとか時間を稼がなければならず、無言で男の後に続く。
男は先程までは持っていなかった重そうな大きな麻袋を肩に担ぎ直して、足音も荒く歩いている。
会話を求められたらそれだけでバレてしまうが、目の前の男に話をする気は無さそうだ。あと1分も時間稼ぎが出来れば、オレは走って逃げる。こんなに大きな荷物を持っている男相手であればオレ1人ならいくつか入り組んだ路地で走り回れば、なんとか逃げられそうな気がしてきた。
次の路地を曲がったらすぐに走り出そう、オレが心の中でそう決めた時だった。
「人使いが粗過ぎんだよっ……!」
目の前の男が突然大きな声を上げたかと思うと、すぐ側にあった汚れた木箱を蹴り壊した。
男の唐突な凶暴性と木箱がバラバラになる悲壮な音にも驚いたが、この瞬間男の肩からバランスが崩れて覗いた大きな麻袋の中身に、オレは驚きの余り思考を止めた。
「……ルノ?」
一際冷たい風が吹き、ちょうど一筋の月の光が路地に差し込んだ。
男が担ぐ麻布からは薄い緑色の髪の子どもの頭が飛び出していた。
オレが唯一この町で知っている少年が顔色も悪く、生きているのか心配になるような状態で麻袋に詰められていた。
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