烏木の使いと守護騎士の誓いを破るなんてとんでもない

時雨

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第35話

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「ごぼっごほっ!」

 したたかに水を飲み込んでしまったらしいヴィルヘルムの頭をなんとか呼吸が出来るように抱えて、川の流れに逆らわないように流されていく。

 この先が滝にでもなっているなら慌てて岸まで泳ぐが、上手くすれば走って逃げるよりも随分早く奴等から距離を取れるのではないだろうか。


「……身体の力をっ抜いて!」
 そういえば泳ぐのが苦手だと言っていた気がする、手足をバタつかせるヴィルヘルムになんとかそう伝えると、徐々にその身体から力が抜けてきた。
 しばらく流されていると水流も穏やかになってきて、オレは自然と迫ってきた岸辺の露出した巨大な木の根を掴んだ。

「……ヴィルヘルム!」
 彼の手にも木の根を掴ませると、なんとか意識はあったようで咳き込みながら水を吐くヴィルヘルムの背中を擦る。
 落ち着くのを待って彼の手に力が入っている事を確認して、木の根を伝って先に川から上がった。きっと腕の怪我で利き腕に力が入らないのだろう、ただでさえ体格差があるのに水を含んで更に重くなったヴィルヘルムの身体を岸へ引き揚げるべく力を入れた。

 まずは両肩をまた掴む場所を変えて上半身を、腰のベルトを掴み全身を岸に引き揚げてからやっと息をついた。まるでマラソンでも走ったかのような疲労感に、その場からしばらく動きたくなくなるが、せっかくあの場から逃げられたのにここで捕まる訳にはいかない。


 周囲を見渡すと、先程までとは違い大きな背の高い樹が密集した、森のような雰囲気の場所で月明かりは所々に届くものの先程の山の中腹とは違い鬱蒼としている。
 地面に傾斜もほとんどなくどちらが山の麓なのか、元いた方向なのかも分からない。しばらく周囲を歩いてみなければ現在地を確認出来そうにない。

 水を吸った服が身体にまとわりつき不快だ、体温もどんどん奪われているようで思わず身震いした。息を整えたヴィルヘルムが自身の剣を支えに立ち上がったので、オレもなんとか立ち上がる。
 血が滲んできた右腕が痛むのか体勢を崩しかけた彼の懐に入り、左腕を掴んでオレの肩に回して支える。このまま下山するのは無理だ、せめて追手が来ていてもやり過ごせるような隠れられるような場所が必要だ。


 精霊の泉の近くにあった洞窟を思い出し、ヴィルヘルムを支えながらなんとか時間をかけて切り立った崖の山肌沿いにしばらく歩くと、なんとか身を隠せられそうな洞のような横穴を見付けた。
 ちょうど目の前にも大きな木が生えていて、余程傍まで近寄られなければ気付かれそうにない。
 川で余程体力を消耗したのか、呼吸が浅いヴィルヘルムを静かに座るように補助する。右腕を押さえた彼の傍に屈んで怪我の具合を見ようと、彼の袖の釦を外して上げられる所まで捲り上げた。

 暗くてよくは見えないが切り傷の長さは20㎝程で、深い所で3㎝は斬り込まれている。
 やっと落ち着いて見た傷口に涙が出そうになるが、慌てて自分の腰に巻いていたリボンの事を思い出し傷口の少し上、腕の付け根の少し下を強めに縛った。これで止血くらいは出来るだろうか、ヴィルヘルムの利き手は右腕なのにこの怪我が原因で剣も握れないのではと血の気が引いてくる。


 傷の具合を見ながらしばし呆然としていたら怪我をしていない彼の左腕がオレの背中に回されて、こちらから彼の胸に寄り掛かる形で身体が密着した。驚いたが傷に触らないようにやや抵抗すると、片腕とは思えない力で強く抱き寄せられた。

「……怪我は」
 耳の傍から聞こえる擦れたような彼の声と、確かに感じる自分以外の体温に心底安心する。

「オレ?オレは怪我してない、ヴィルヘルムのお陰だ」
 ああしまった、まずはオレから勝手にローレンツさんの傍を離れた事を謝って、それから助けに来てくれたお礼を言いたかったのに、先に怪我の心配までされてしまった。

「ごめんオレ、ローレンツさんと離れるなって言われてたのに……」
 温かさにじんわりと涙が滲んできた、別に泣きたい訳じゃないのに自分の意思に反して流れてくる。オレの行動の結果がヴィルヘルムにこんな怪我を負わせてしまった。

 泣くなんて卑怯だ、優しい彼が人の涙に何も思わない訳がないのに、このタイミングで泣くなんて怒られたくない為の保身のようだと頭では分かっていても止まりそうにない。
 抱き締められているので、顔は見えていない筈だが今何か言ったら声が震えてしまいそうなので、固く口を噤んだ。


「……私は怒っている」

 オレの後頭部にちょうど彼の顎が乘って、その重さにまた泣きそうになる。

「君が自分自身を大事にしない事に……怒っているんだ」
 穏やかな口調で諭すように言われて、申し訳なさに強く唇を噛んだ。

「……ごめんなさい」

 もうただただ謝る言葉しか出て来ないが、反省の意が伝わるように誠心誠意を込めて謝る。
 少しの沈黙の後ヴィルヘルムから心底仕方ないなというため息が漏れた。
 やっと涙も止まったので、気付かれないように目元を拭ってヴィルヘルムの顔を正面から見た。


「私は君に謝られると弱い」

 しょうがないなと微笑んだ表情にドキリとした、というか近過ぎるのだ顔が。
 抱きしめられていた腕の力が緩むのが分かって不自然にならない様に身体を離した。
 月明かりに照らされた水も滴るイケメンにこんな至近距離で微笑まれたら、誰だって照れるだろ!と思いながら、平静を装って彼の隣に岸壁を背凭れにするように並んで座った。

 まだ心臓の音が五月蠅い……。


「そうだ、エルミアさんとは無事に会えたのか?」
「ああローレンツが保護してくれていた、今は町で西の出入り口の警備に当たっていた衛兵の治療をしている筈だ」
 町の出入り口の衛兵と言われて、数時間前の光景がフラッシュバックする。てっきり自分のせいで死んだと、殺してしまったのだと思っていた衛兵は生きていたようだ。
「……良かった!その人オレとルノの事、助けてくれようとしたんだ」
 無事に帰れたら是非お礼を言いたい、ヴィルヘルムや団長さんのように”当然の事をしたまでだ”と言われるかもしれないが、本当に生きていてくれて良かった。

「ルノ……とは鍛冶屋の前でイツキが話していた子どもか?」
「そうなんだ、あの時教会の関係者とかいう男女に追われていた男の子が、エルミアさんを見付けた裏路地の店から袋に詰められて……あのさっきの銀髪の男に攫われる所で……」
 ヴィルヘルムはあの銀髪の男に名前で呼び掛けていたから、エルミアさんから既にあの男の事をなにか聞いていたのだろう。

「それでイツキはろくに抵抗も出来ずに攫われたという事か」
「うっ……”攫われた”というか、大人しくついて行ったというか……」
 いや抵抗をして衛兵が1人怪我をしたので、無抵抗ではなかったのだが……。

「イツキには悪いが、あの少年も共謀犯という可能性はないだろうか?」
「え?……ルノが?いや、でも……」
 確かにオレがルノについて知っているのは、可愛らしい容姿とスリをしても悪びれず近付いて来る憎めない性格の少年という事くらいだが。

「でも……ルノは薬か魔法かなにかで眠らされているようだったし、第一オレがあの時エルミアさんを逃がして交代で店の裏口で待っていた事をあの男は知らなかった訳だから……山道を担いで歩くのも大変そうだったし、あまりメリットが無いんじゃないかな……」
 ルノについて確かに知らない事が多いが、あの男と仲間だったとしたら流石に荷物のように扱ったりはしなかったのではないかと思う。

「少なくても、オレにはそうは見えなかった」
 あくまで主観ではあるがと付け足すと、そうかと返事したヴィルヘルムは何事か考えている様子だ。
「イツキがなにか見聞きした情報はあるか?」
 ヴィルヘルムと別れてからだから、この山まで来る道中や廃墟で聞いた銀髪の男の話と、廃墟には子ども達が沢山いた事と、明日どこかに引き渡す予定らしいという要点だけを伝えた。

「あの男は明日、誰かにオレ達を引き渡すまでが仕事でその後の事は何も知らないと言ってたよ」
「明日か……どちらにしても時間が無いようだ」
 ぼそりと呟いたヴィルヘルムの言葉にオレは今更ながら重要な事を思い出した。


「そうだ!時間だ!!」

 オレの突然の声に驚いたヴィルヘルムが目を丸くしているが、構っていられない。
 話したい事が多過ぎてすっかり忘れていたのだ。

「時間が!止まってたんだ!!オレの魔法、だから気が付かなかったんだよ!」

 つい興奮して捲くし立てるように話してしまうオレと、反対に”何を言っているのかサッパリ分からない”という表情の彼を置いて、説明を始めた。

「ヴィルヘルムが崖から落ちる時、魔法を使ったんだよ!効果があるとは思わなかったんだけど、とにかくどんな効果でも良いから今しかないと思って」

「それで魔力を放った瞬間に自分以外の動きが……人もだけど多分雲も止まって見えたから、水なんかも止まるのかも?止まっていた時間は計ってないから、いやそもそも時計も止まっているだろうから計れないのか……」
 驚いた様子で何も言わないヴィルヘルムに、なるべく分かりやすいように伝えたいが自分でも未知の経験にやや興奮していて話がまとまらない。

「つまり、数秒だけど時が止められる。今までオレが魔法の練習をしている時も、静か過ぎて不安になる時があったけどまさか時間が止まっているなんて、想像もしていなかったから気が付かなかった」
 一気に喋ってしまい呆れられただろうか、この世界では一般的な魔法であるかどうかもよく分からないが、彼の驚きようからそうではないような気もする。


「……時を、止める?イツキ……君は、いや、しかし……」
 また考え込む様子のヴィルヘルムに、もしかしたら飛んでもない事を言ってしまったのかもしれないと今更ながら気が付いた。だがこの世界でオレがなんでも相談出来るのは彼以外に有り得ないので、遅かれ早かれ伝えておくべきだ。

 “時を止める魔法は法律で堅く禁止されている”とかだったら、どうしよう……。魔法の性質は矯正が効くのだろうか?もし時を止める魔法が禁止されているのなら、このままオレは魔法を使えないという可能性もある。

「すまない、驚いてしまって“時を止める”という魔法は今までに聞いた事がない」

「あっそうか……えーとオレの気のせいとかではないと思うんだけど、信じてもらえるかな」
 一瞬1人で“時を止めたぞ”と主張する危ない人物になるかと思ったが、すぐにヴィルヘルムが首を横に振ってくれたので、そんな心配は無用そうだ。

「イツキはその髪と瞳の色だけでも稀有な存在だ、魔法についてもむしろ聞いた事のない効果で当然かもしれない」
「そっか、良かった。危ない魔法で逮捕でもされるかと思ったよ」
 オレが冗談めかして言うと、今度はヴィルヘルムも肩から力を抜いたようだ。

「確かに使い様によっては危険な魔法だろう、それにより君の希少価値が上がったとも言える」
 ああ、それは全く嬉しくないなと思わず薄ら笑いを浮かべると、彼も困ったように眉を下げた。
 役に立てるかと思って覚えた魔法もまた、自分の首を絞める事になるかもしれず前途多難だ。



 急ぎ話しておくべき事を話して、2人して並んで随分位置の低くなった満月を見上げる。
 目の前が茂みになっているとはいえ、大木の大きな葉の隙間から差し込む月は、少ししか見えていないのにその存在を主張していた。

 月の明かりは自分達の手元や周囲を確認出来る分、オレ達を追って来ているであろう男達も動きやすい筈だ。

 オレも流石に今夜は疲労困憊であるが、ヴィルヘルムもそうなんだろう先程から口数も少ない。
 夜明けを待って山を下りようと打ち合わせた今、特にするべき事はない。かといって眠る訳にもないがただ黙っているとどうしても緊張状態が保てなくなりそうで、オレはここでやっと彼に黙っていた話を聞いてもらう事にした。


「ヴィルヘルム」
「……なんだイツキ」
 もしかしたら彼くらいになると、黙って休んでいれば少しは体力が快復するのかもしれない。傷も痛むだろうし体温も奪われる中、少しでも黙って体力温存したいのかもしれない。

「返事はいらないからさ、オレがこの国でヴィルヘルムに会うまでの話をさせてよ」


 どこからどうやってこの国に来たのか、そしてどうして帰れないし帰りたくないと思ったのか。
 正直オレにも分からない事が多く話せる事はほんの僅かだが、今彼に聞いてほしいと思った。

 返事が無いので彼の顔を見上げると、穏やかな湖畔の水面のような翡翠色の瞳にぶつかった。

「ありがとう。君が話したい時が、私の聞きたい時だ」
 どうしてそんな言葉が出てくるのか、頑なに話さなかった自分との人としての器の違いを感じそうになるが、そんな言葉は呑み込んだ。
「いや、こちらこそありがとう……待っててくれて」

 少々頭が変だと思われても良い、オレはこの時全てをヴィルヘルムに話す決意をした。


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