烏木の使いと守護騎士の誓いを破るなんてとんでもない

時雨

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第56話

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 短い休憩の間はサリウスさんがすっかり周囲の人間から囲まれてしまい、先程の植物園に関する質問の意味も見掛けた少年についても質問出来ないでいた。

 隣のヴィルヘルムと話をしたかったがサリウスさんを取り囲みつつも周囲の人々がオレ達の様子を窺っている空気を察し下手な会話も出来ず、ただ卓上に並べられたグラスに口を付けるのみだった。

 数分もしない内に再開した話し合いでもサリウスさんの理路整然とした話術は冴えていた。
「フジシロ・イツキ氏によって精霊様への接触があれば王都は安泰そのもの、また既にご存じの方も多いですが騎士団との繋がりも強く護衛志願者は多く集まることでしょう」

 距離はあるが向かいに座るオスカー団長がしっかりと頷いた、騎士団全体の総意という事らしい。
 またこの精霊への接触?をオレの職務とカウントするなら、その俸給こそ莫大な額となるはずだとサリウスさんが涼しい顔で畳み掛けた。

「王国への謀反及び国家転覆についての懸念は、氏の人格に限って有り得ない事だと当方では判断しますが、心配であれば法務部での関連事項法整備に異存はありません」
 先程の植物園の話から上がった室内の温度は一向に落ち着く気配を見せないが、反論の余地が無いのだろう国内に留め置く事すら否定的だった人も口を開こうとしない。


 一瞬このまま強い制限も受けずに解放されるのかと希望が見えたが、思慮深そうな壮年の女性と軍人然とした男性がそれぞれに発言した。
「それでもフジシロ・イツキ氏をなんの制約も無しに城下へ解放する事には、正直賛同し兼ねます」
「国政部の意見全てが我々の総意ではない!そもそもそれだけの権限を与え得るならば、それこそ厳重に彼の行動を管制する義務が我々にはある筈だっ!!」
 つまり”何をするか分からないから監視を付けるべきだ”という事だろう。
 目に見える手錠などを掛けられていないだけで、実質オレは逮捕でもされている状況なのかもしれない。
 サリウスさんもこの点に関しては反論する言葉が無いようで、オレ以上に悔しそうな表情を浮かべ卓上からは見えないように握られた彼の拳は強い力で白く血の気を失っていた。

 監視をつけろ強い権限を与えるのは危険だと、室内の人々の視線が雄弁に語っていた。

 こんなに頑張ってくれたサリウスさんに申し訳ないが、オレにはこの場の人々を一瞬で納得させられるような人徳も説得力も無い。
 ここで暮らしてみるには少しの不便は受け入れるしかない、オレの方から折れるしかないと発言するべく片手を上げようとした所で隣に座っていたヴィルヘルムがオレの上げかけた手を押し止め椅子から立ち上がった。


「王立騎士団第三隊所属エルドラン・ヴィルヘルム・ルイスです。発言をお許しください」
 進行役の男性が許可を出し、室内の視線は一気に隣のヴィルヘルムに集中した。

「この度は独断で王国の古き風習である”守護騎士の誓い”を彼に立てた事、まずはこの場でお詫びいたします」
 王様が控えていると言っていた隣室の方に向かってだろう、丁寧に頭を下げたヴィルヘルムはゆっくり話し始めた。

「私の王国を想う気持ちに偽りはありませんが、今は誰よりも彼を護りたいという気概にもまた偽りはありません」

「彼の護衛及び彼の行動の管制について、我々の”守護騎士の誓い”の確立を以て持ち合いとなしていただけないでしょうか」

 静かになった室内に凛と響いた彼の言葉の意味は、すぐにはオレの頭には入って来なかった。
 ヴィルヘルムがオレとの守護騎士の誓いを継続する事で、護衛の問題とオレの監視役を買って出るという意味だろう。ヴィルヘルムの命を縛る呪いのような誓いを取り消す為に王都まで来たのにこれでは本末転倒だ。

「待ってください!彼とはその誓いを取り消す為にここまで来たんです!」

 急に立ち上がり声を上げる形になったがこれには黙っていられない、黙っていたら守護騎士の誓いはこのままになりそうだという漠然とした確信があった。
 隣に立つヴィルヘルムの肩を掴んでこちらを向かせる。
「聞き入れてくれ、イツキ」
「なんで!別に良いよ監視が付こうが町に出れなくても、それよりヴィルヘルムの命の方が大事だろ!?」
 お互いに声量は控えているが、静かな室内では誰もによく聞こえているだろう。

 音も無く隣室と繋がる扉から出てきた書記官のような男性と、進行役の眼鏡の男性が何事か話してから咳払いの後に話始めた。
「国王からのお言葉を伝える『我が王国の騎士との”守護騎士の誓い”を以て我が王国の来賓となす』と」


「そんな……」

 こんな大勢の前でまるでヴィルヘルム1人を人柱にするような、退路を塞がれたような気持ちで彼を見るとこんな場面なのに彼は少し笑っていた。
「本当は王都で君に”守護騎士の誓い”を再び捧げようと、ずっと考えていたんだ」
 晴れやかな彼の表情に疑問が浮かぶ、どうして?それにオレはそんな相談受けてない。
 頭に疑問符ばかりが浮かぶオレを置いてヴィルヘルムは言い募る。

「国を護る事は大切だ、だが私以上の騎士などいくらでもいる」

「君を一番傍で護りたい、そう思った瞬間から私の心は決まっていた」

 あぁ今止めないと本当に駄目だと思うのに、目の前の騎士の一挙一動から目が離せない。
 ヴィルヘルムが一歩下がってその場で片膝をつき、立ったままでいたオレの右手を取った。

「イツキ、どうか私に君の守護騎士に成る栄誉を与えてくれないか」

 真っ直ぐに向けられた瞳は出会った時のまま綺麗な空色だ、それでもこれまで一緒にいた時間によって彼が本当にオレの為だとか国がどうとか関係無く、今自分の意思でオレに誓いを立てたいと思っている事が伝わって来た。
 そこまでオレの事を想ってくれる彼に報いることは出来るだろうか。

 彼の命を縛る誓いなんて嫌いだ。
 それでもそれこそが唯一オレ達がこの先一緒にいる理由になるなら、オレは彼の命を危険に晒さない努力を全力でしよう。

「こちらこそ、オレの騎士は貴方しかいないよ」


 次の瞬間室内からは溜め息ともつかない短い声が方々から聞こえて、そういえば自分達だけで話を進めていたと若干気恥ずかしくなった。
「それではフジシロ・イツキ氏と騎士団第三隊所属エルドラン・ヴィルヘルム・ルイスの”守護騎士の誓い”締結を以てこの度の会談は終了とします」
 進行役の男性が少し晴れやかな表情でそう宣言すると、時間を空けてから別室で守護騎士の誓いの締結式を行うから騎士団団長と関係者各位は再度集まるようにと指示された。


「お疲れ様でした、イツキさん」
「ヴィルヘルムもご苦労だったな」
 労ってくれた2人の方こそひどく疲れた顔をしていて思わず肩の力が抜けた。
「サリウスさん……団長さんも、本当にありがとうございました」
 オレが2人にお礼を言うとヴィルヘルムも一緒に頭を下げた、彼にこそ言いたい事は沢山あったがもう今更という気もする。ヴィルヘルムが守護騎士の誓いを続けようと言った時と、今目の前のサリウスさんと団長さんの様子を見るに2人には事前に相談をしていたのだろう。

 肝心な所でずるい……というか確かに事前に相談されていたらオレは絶対承諾しなかったと思うので、彼のやり方は効果的ではあった訳だが。
 はじめ言葉が通じない時に守護騎士の誓いを結ばれた状況と、なんだか似ているなと思って少し笑ってしまった。この場合今度は相談を受けていたサリウスさんも団長さんも彼の共犯だ。

 それでもオレの自由のために考えてくれたのかと思うと心苦しく感じてしまいそうだが、自分から誓いを立てたいのだと言ってくれたヴィルヘルムの意思を尊重したいので、もうこの件についてオレから謝ったり後悔したりはしない事にする。

「そういえば……会談中ずっと気になっていたんですが”守護騎士の誓い”の確立とか締結式?って、もう既に立てられた誓いをどうして結び直す必要があるのかな?」
 オレの言葉に3人共ピタリと動きを止めた、これはまだ自分だけ聞いていない事がありそうだ。
「イツキ、話しておかなければいけない事がある……」
 意味も無く式服の襟元を直すヴィルヘルムの態度に、一体どんな話が飛び出すのかと彼の目を見て覚悟を決めた。


「実は私がイツキに立てた”守護騎士の誓い”は、完全な物ではなかったようだ」

「……え?」

 ヴィルヘルムの言葉にオレは思わず場所も忘れて間抜けな声が出た。
 完全じゃないという事は不完全だったって事で、不完全だと……どういう事だ?馬鹿みたいに口を開けたまま固まっていると、ヴィルヘルムがぽつりぽつりと状況を説明してくれた。

「えーと……つまり今まで”守護騎士の誓い”のせいでヴィルヘルムが死ぬような事はなかったって事!?」
 この世界に来てから一番驚いたかもしれない。
 正式な手順を踏んで立てた誓いではなかった為、その効力は完全な物ではないという事が王都に戻って来てやっと分かったらしい。
「……オレになにかあっても、ヴィルヘルムはなんともなかったって事?」
 ヴィルヘルムにサリウスさんと団長さんの顔を順に見て、脱力感からその場にへたり込んでしまった。

「なんだよそれ……オレずっとヴィルヘルムの命まで預かってるって思ってたのに……」

 暗い路地でエルミアさんの代わりに誘拐犯について行った時も、崖や船から飛び降りた時だって自分がどうというよりも魂が紐付けされていると聞いていたヴィルヘルムの事を心配していた。
 今までの心労はなんだったのか……サリウスさんがオレに立ち上がるよう促してくれたが猛烈な脱力感から身体に力が入らない。

「いや~死にこそしなかったかもしれんが、実際相当な障りはあったと思うぞ」
 所在なさ気に立つヴィルヘルムをフォローするような団長さんの言葉に思わず噛み付いた。
「……団長さんもしかして知っていたんじゃないですか?誓いが不完全だって」
 じとりと恨みがましく視線を送ると団長さんは慌てて両手を振った。

「流石に俺だってそんな意地の悪いコトしねーよ!」
 うーん慌てる所が益々怪しいかもな……と思って見ていると、オレの視線から逃れるように団長さんが頭を振った後なにかを思い付いた様子でこちらを見た。

「という事はイツキ君はコイツの命を危険に晒さないように、これまでそれはそれは慎重~な行動を心掛けていた訳だよなぁ?」
 あっ何かその言い方はちょっと話の雲行きが怪しい、思わずサリウスさんの手を借りてしっかりと立って案内はまだかな……と我ながらわざとらしく扉のある壁の方へ視線を外した。
「あれが慎重な……行動?イツキ、頼むからもう少し危機管理能力を……」
「ごめん、分かったオレが悪かったよ」
 本当に困ったように諭してくるヴィルヘルムに申し訳なさが勝って先に謝った。


 やっとオレ達にも声が掛かり騎士団の団長達と一緒にまた別の扉の前に案内された。
 部屋へ入る前に全員帽子や兜などの被り物は外すように言われ、ベールのような帽子を近くにいた衛兵に預けた。
 先程までいた会談の間よりも豪華で謁見の間よりも大きな扉が、両側に立つ衛兵の手によって左右に大きく開かれた。



 室内は正面の大きなステンドグラスの窓から差し込む光で、色とりどりの光彩に照らされていた。

 今までの部屋とは明らかに違うこの広間は、部屋というよりもただただ大きな空間だ。
 玉座と思われる豪奢な椅子がステンドグラスの大窓を背負う形で、何段か段差の上に確認出来るだけで他に調度品らしい物は一切無い。

 中央に敷かれた細かな織柄の広幅な絨毯を挟むように左右に並んで立つように言われ、玉座に近い順に騎士団第一隊の団長から第十三隊団長までが等間隔に立ち並んだ。
 その後に付け足されるように並んだオレとヴィルヘルムは少しこの空間から浮いている。


「只今よりエーネルフリート王国儀礼、守護騎士の誓いの締結式を執り行う」
 書記官のような男性が高らかに宣言すると同時に、先程入って来たばかりの大きな扉が大きく開き国王が護衛など数人を引き連れて姿を見せた。
 中央の絨毯をゆっくりと歩み玉座に辿り着くと振り返って右手を軽く上げた。

「王国来賓フジシロ・イツキ氏、並びに王立騎士団第三隊所属エルドラン・ヴィルヘルム・ルイスは前へ!」
 書記官の男性の声を受け緊張しながらも足を踏み出した。
 思ったよりも厚く柔らかい絨毯の上を一歩一歩踏み締めると、まるで雲の上でも歩いているようだった。

「現国王エーネルフリート・アマリク・コルテの名の下に、守護騎士の宣誓を許す」
 国王が宣言すると共に、腰の剣を鞘ごと抜くと傍に立つ補佐官と思われる男性に渡した。
 その補佐官がそのまま剣を優雅に回してからまた王へ剣を返すと、国王は持ち手を此方に向けた体勢で動きを止めた。

 事前に打ち合わせしていたのか自然な所作で頭を下げたヴィルヘルムが、自身の剣を一旦後ろに控えていた衛兵に預けてゆっくりと玉座へ歩み寄ると数段登った所で王様から剣を受け取った。
 そのまま剣を捧げて持つ形で王様にもオレ達にも背中を見せないように戻って来たヴィルヘルムが、小声で身体ごと自分の方を向くようにとオレに言った。

 国王から受け取った剣をヴィルヘルムがゆっくりと目の前で鞘から抜いた。
 乾いた音と共に現れた綺麗な鏡面のようなその刀身は、ステンドグラスの窓からの光りを浴びて一層不思議な光を放っていた。
 跪いたヴィルヘルムの少し癖のある鈍い金の髪に様々な色が反射して、瞳は元々の空色に七色の虹が掛かったようで幻想的な光景だった。

「貴方の心音が止まるその時まで、私が貴方の守護騎士だ」

 刀身を下ろして剣を抱えたヴィルヘルムが、オレを見上げて微笑んだ。
 彼の命を掛けた誓いがオレの生涯にわたって有効と聞き、こんな時なのに泣きそうになった。少し前はこの誓いの重圧に悩んでいたが、今この瞬間は彼がオレの人生と共にあると言ってくれた事が嬉しかったからだ。

 思えばこれまでにここまで強く誰かと共に生きたいと、思った事があっただろうか。
 実の両親とはどこか心の距離があり他人との関わりの中にはいつでも見えない溝があった。
 どこまでも自分は自分で、他人は他人なのだとそう分かったつもりでいた。

 オレは彼ほど他者に献身出来ない、自分の命も投げ出して騎士として生きるヴィルヘルムの事を心から尊敬している。
 きっとこの世界に来なければ、彼に出会わなければ、オレは人の為に誘拐犯や盗賊に立ち向かったり、ましてやこんな場所に立てていなかったと思う。
 この世界に来る前の自分よりも、この世界に来てからの自分を誇らしく思う。

「……ありがとう、オレの騎士に恥じない自分になるよ」

 上手く笑えただろうか、視界がぼやけていたので自信がない。大きな拍手が室内に響いた。
 いつの間にか立ち上がったヴィルヘルムが肩を抱いてくれたので、騎士団長の方々にはこれ以上酷い顔は見られずに済みそうだ。

「国鳥のような烏木うぼくの使いと守護騎士の誓いを今日ここに締結する。私とここにいる全ての騎士団団長が証人だ」
 王様の言葉により更に温かい拍手に包まれた室内で、この場にいる人達だけでも自分達の味方だと良いなと漠然と思った。

 なんとかつつがなく式が終わり、最後に宣誓書類にサインをすると国王から順に退室をしていき最後にはヴィルヘルムと2人部屋の外に出る事を許された。


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