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◉第一話◉
しおりを挟む~地球 エレックベース~
地球再生の糸口が掴めず、人類の火星移住計画を推す声が次第に大きくなっていた。
マンレン:では今日の会議はこれまでとする。各自支部に戻ったらそれぞれの隊員への連絡を徹底するように。以上、解散!
その声と同時に皆席を立ち各々帰路に着く。ガランとした室内にはマンレンとカメオが残っているだけである。
マンレンはふぅっと溜め息を吐くとカメオの方へ目を向ける。
マンレン:なぁ、どう思う?
カメオ:どうって火星移住の件?
マンレン:ああ、まだ水を生成する技術も試作段階だってのに。少し話が飛び過ぎじゃないか?
マンレンは呆れたような顔で話す。
カメオ:まあ確かにそうだけど、皆んなの焦る気持ちも分かるよ。今の地球を見てたら他の星の方がまだ可能性があるんじゃないかって、思っちゃうのも仕方ないよ。
そう言って窓の外に目をやる。そこに広がるのは一面茶色の砂漠世界。人間以外の生物も最近ではあまり見かけなくなった。
マンレンも同じように外に目をやると、ふぅっとまた溜め息をついた。
マンレン:なんだかなぁ。俺たちが生まれ育ったこの地球を見捨てるような事、簡単に決めちまっていいのかな。
カメオ:それはそうだけど…。日に日に備蓄資源は減っている訳だし早々に打開策を取らないと人類は全滅だよ。
マンレン:なんだよカメオ。お前は火星移住に賛成か?
カメオ:賛成と言う訳では無いけど、択の一つとしては有りじゃないかなとは思うよ。そうする事で皆んなが助かるならね。
まあ水の生成技術が完成しない事にはどちらにしても全滅は免れないけどさ。
マンレン:全くお前の冷静さには頭が下がるよ。ま、だからこそ水の方はお前に任せてるんだけどな。さてと、そろそろ俺たちも帰るか?
そう言うとマンレンは席を立ち出口に向かって歩き始める。カメオもその後に続いて2人はベースを後にした。
それから数日後、今日もマンレンは朝からベースに詰めていた。これからの事を考えようにもどうにも纏まらずぼーっと窓の外を眺めていると、入口のドアがけたたましい音を立てた開いた。
カメオ:マンレン!!!!!
すると息を切らせたカメオが興奮冷めやらぬといった様子で勢いよく飛び込んできた。
マンレン:おいおいどうした?珍しく興奮してるなぁ。
カメオ:はあはあ…。ご、ごめん。そんな事より凄いよ!もしかしたら人類生存の目があるかもしれない!
マンレン:ちょっと待て、ちゃんと落ち着いて説明してくれよ。
そう言ってマンレンは淹れたばかりのコーヒーをカメオに差し出す。
カメオはそれを一口飲むと、ふーっと深呼吸してから話し始めた。
カメオ:実はね、火星移住計画が本格的に決定した時に一刻も早く始動する為に僕の支部から数人火星の調査に出していたんだ。
マンレン:あ!!お前やっぱり賛成なんじゃねーかよ!
カメオ:まあ待ってよ、そこはさして重要ではないんだよ。それでね調査に出ていた人間が現地でとんでもない物を発見したんだ。
マンレン:とんでもない物…?
カメオ:そう、それは水素が固形化した物なんだけどね。それのサンプルを採取出来たんだ!!!
マンレン:おいマジかよ!!!………で、それが何になるの?
カメオ:………マンレン…。水は何で出来てるか知ってるよね?
マンレン:え?えーっとH2Oだから酸素と水素だろ?…あ!
カメオ:そう!これを火星から大量に持ち込こんで地球の酸素と結合させる事が出来れば…。
マンレン、カメオ:水が作れる!!
カメオ:それと同じ鉱物で出来た山が有ったらしいんだ。これが上手くいけば当分水には困らないし、農業も始められる。
マンレン:よし、各支部に召集をかけて輸送団を結成しよう。先人達が苦労して完成させた大型宇宙艦[万海]がようやく日の目を浴びる時が来た。
カメオ:あれは人を一気に火星に送り込むために作ったんだけどね。
マンレン:こうなりゃ用途はどうでもいいんだ!じゃあ俺は各支部への連絡をするからカメオは万海の整備の方を頼む。あ、あと輸送団の頭はホリロボにしよう。あいつはあいつで水を作るためになにやら研究しているらしいからな。
カメオ:ホリロボか、確かに適任だね。了解!
かくしてエレックは人類存続のための第一歩を踏み出そうとしていたのだった。
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