双翼の魔女は異世界で…!?

桧山 紗綺

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セレスタ 帰還編

爆発音 2

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 煙が晴れたのを確認してお互いを確認する。
 王子が無事なのを確認して息を吐く。
 何が起こったのか、早くここから離れた方がいいかもしれない。
「ご無事ですか!?」
 駆けつけてきたジークやミヒャエルたちが辺りを警戒しながら王子に聞く。
 無事を確認しても警戒を緩めはしない。
 突然の轟音と煙に辺りは騒然としていた。
 ハルトが工房を確認して戻ってくる。
「工房には誰もいません!」
「何?」
 王子たちが向かう前に工房が開いているのは確認しているし、道中にも異常があったとは聞いてない。
「何があったんだ? そもそもさっきの爆発はいったい…?」
「工房内から火の気は感じられませんでしたので普通の爆発ではないと思われます」
 考えられるのは魔石や魔道具の暴発。しかし工房内に人がいないというのが事故ではないと感じさせた。
 煙は晴れたものの、火事が起こったのかと通りにはどんどん人が増えている。
 この街の騎士団が来る前に王子は離れた方がいい。
「王子、とりあえずここを離れましょう」
 ジークが王子を促す。
 状況説明は他の者が残ってすればいい。
「何人か残って事情説明と技師の捜索をします。
 王子は一度伯爵邸に戻り我々の報告を待ってください」
「わかった」
 ヴォルフも当然王子と共に戻る。近衛騎士たちも半数は屋敷に戻るようだった。
 まったく、どうしてこうなるのか…。
 戻る者と残る者それぞれに指示を出していたジークが全員を見回して眉間に皺を寄せた。
「マリナは?」
 ディルクたちが顔を見合わせる。
 見ると確かにマリナがいない。
 ミヒャエルの問いに答えたのは王子だった。
「多分追いかけて行ったんだと思う。
 私にこれを渡して行ったからには近くにいないんじゃないか」
 王子が手に持っていた魔道具を見せる。
「これは…」
 マリナが発信機とか呼んでいた魔道具だ。
 どういう効果を持つのか詳しくは知らないが、遠くからでも所持者を感知できるという。
 マリナ自身が持っていかなかったのはこちらに探知できるものがいないからか。
「頭が痛いな…」
 マリナが飛び出して行ったなら何かがあったのは確実だろう。
 技師は攫われたのか?
「それにしても…」
「ああ…」
「何でマリナが飛び出して行くのかな」
「あいつ、帰ってきてから活発だな」
 ミヒャエルが呆れたような声にジークが答える。
 異世界から戻って活動的になったのは本当だが…。
 活発で済ませていいものかと王子が額を押さえる。
「取りあえず屋敷に戻るぞ」
 ヴォルフは言いたいことを呑み込んで声を掛ける。
 文句は戻ってきた本人にぶつけることにして意識を他に向けることにした。
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