双翼の魔女は異世界で…!?

桧山 紗綺

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セレスタ 弟さんの結婚式編

小動物

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 宿屋に着いて荷物を下ろし終わったので街を見に行こうとする。
「ヴォルフ、ちょっと散歩して来ていい?」
 声を掛けると渋い顔で反対された。
「お前結局寝てないだろ、出かけないで休んだらどうだ」
「えー?」
 つまんない。眠気は吹っ飛んだし。
「ちょっと宿屋の周りを回って来るだけよ」
 二十分もかからないと思う。
「…俺も行く」
 今舌打ちが聞こえた気がしたけど気のせい?
「すぐ戻る」
 御者をしてた人に荷物の番を頼んでヴォルフもついてきた。


 立ち寄った街は小さくてのんびりした雰囲気をしている。
 道行く人も急ぐでもなくゆっくりと歩いている人が多い。
 王都やレグルスとは空気が違う。
「良いところねー」
 馬車で固まった身体をほぐすように腕を伸ばす。
 普段も机に座っているばかりだけれど、合間には書類を取りに行ったり身体を動かしているので、ここまでじっとしていることはない。
 ヴォルフがついてきたので少しだけ回る範囲を大きくした。
 泊まる宿屋があるのは街に一本しかない大きな通り。
 大通りは宿屋から端が見えるくらいの距離しかない。
 行って戻ったら丁度二十分弱くらいかな。
 小さな街。誰もが顔見知りというほど小さくもないだろうけれど、商店を見てると大体顔見知りなんだなと知れる。
 宿の手続きは侯爵様が用意してくれた御者さんがしてくれた。
 後ろから見てたからなんとなく泊まり方はわかった。次は実践もなんとかなると思う。
 知識に偏りがあるのはわかってたけど、あれはうっかりしてた。
 シャルロッテのことを箱入りなんて言えない。
 ちょっとは王宮の外に出た方がいいのかな。
 最近は結構外に出ることが続いてるけど、休みの日にも王都に出るくらいはしてみようか。
 通りの建物を眺めながら歩く。
 赤い煉瓦に蔦が這っている。外壁は温かみのある色で統一されてて可愛い。
 来た道を戻るのもつまらないので、曲がって一本裏の道から戻る。
 同じような煉瓦で建物が作られているため、目的の建物がわかりにくく思えるけれど、どの建物でも同じ位置に看板が掛けられていてお店を探すのには困らない。
 看板も工夫を凝らしていて見ていて楽しい。
 宿に戻る途中気になる物を見つけた。
 ふらふら~っと見つけたお店に向かって行こうとすると手を引っ張られる。
「何も言わずに行くな」
 レグルスと違って人が少ないから見失うことはないと思うんだけど。
 そう思ったけど一応一言断る。
「ちょっと見ていい?」
 マリナが気になったのは小さな置き物だった。
 動物を模した置き物が店頭に飾ってある。可愛くてついふらっと近づいてしまった。
 素材は紙みたいだけど、糊で固めてあるのか少し触ったくらいでは崩れない。
 細くった紙を編み合わせて作られた小動物たちがつぶらな瞳でこちらを見ている。
 その可愛さに暫し見惚れてしまった。
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