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セレスタ 波乱の婚約式編
ある冬の日に 2
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執務室に内務卿と外務卿が揃って訪ねてきた。
何かあったのかと訝ったが婚約式のことで訪ねてきたらしい。
外務卿が出席が決まった来賓のリストを王子に見せ、大まかな挨拶の順番などを話し始める。
隣で聞きながら頭の中に入れていると内務卿がこちらを向いた。
「マリナ、言い忘れていましたが婚約式や結婚式で纏う衣装は王宮で用意しますのでそのつもりでいなさい」
「それは……」
内務卿が発した言葉に目を見開く。
王宮で用意する、つまり……。
「双翼として出席するということですよ」
内務卿の言葉を補足するように外務卿が言葉を足した。
「……!」
双翼としての礼服を新たに作らせる、その言葉に歓喜が湧き上がる。
これまでマリナは式典などに必ずしも双翼として出席していたわけではない。
それはまだマリナが若輩だったこともあるし、マリナが双翼になることを反対していた貴族たちへの配慮でもある。そして彼らが反対する理由の一つにある国の文化的背景があった。
「婚約式にはマールアの使者も来るそうです。
彼の国は女性が表に出るのを好まない。
故にこれまであなたにはただの参加者として傍に控えてもらいましたが、今後はそうもいかないでしょう」
双翼の参加が必須とされているセレスタ国内の式典はともかく、他国の人間が出席する場では相手の国によって出席したりしなかったりと、定まっていなかった。もちろん会場内にはいたが。
双翼になってからの2年は、そんな機会が少なかったというのもある。
「あなたが双翼の魔術師であることを周知し、セレスタの要の一つであることを示していきます」
うれしい。震えるほどに嬉しくて、上手く言葉が出てこない。
「マールアは貴女の存在に眉を顰めるかもしれませんが、セレスタの国内のことに口を出させはしません。
これまで我々が配慮し過ぎたことも彼らの増長の理由の一つでしょうからね。
貴女を見せることにはセレスタの文化や背景を知ってもらうという側面があります」
外務卿がわかりやすく解説する。
「双翼の魔術師が女性で、しかも年若い。
彼らの文化からしたら庇護するべき存在を国の中心に置くなど考えられないでしょうが、ここはセレスタです。
合わせる理由がないのですから堂々としていなさい」
「はい!」
浮かされるままに大きな声で返事をする。
現実味を帯びて双翼の責任が肩に掛かってくる。そのプレッシャーは、重く感じるどころか心地よいくらいだった。
何かあったのかと訝ったが婚約式のことで訪ねてきたらしい。
外務卿が出席が決まった来賓のリストを王子に見せ、大まかな挨拶の順番などを話し始める。
隣で聞きながら頭の中に入れていると内務卿がこちらを向いた。
「マリナ、言い忘れていましたが婚約式や結婚式で纏う衣装は王宮で用意しますのでそのつもりでいなさい」
「それは……」
内務卿が発した言葉に目を見開く。
王宮で用意する、つまり……。
「双翼として出席するということですよ」
内務卿の言葉を補足するように外務卿が言葉を足した。
「……!」
双翼としての礼服を新たに作らせる、その言葉に歓喜が湧き上がる。
これまでマリナは式典などに必ずしも双翼として出席していたわけではない。
それはまだマリナが若輩だったこともあるし、マリナが双翼になることを反対していた貴族たちへの配慮でもある。そして彼らが反対する理由の一つにある国の文化的背景があった。
「婚約式にはマールアの使者も来るそうです。
彼の国は女性が表に出るのを好まない。
故にこれまであなたにはただの参加者として傍に控えてもらいましたが、今後はそうもいかないでしょう」
双翼の参加が必須とされているセレスタ国内の式典はともかく、他国の人間が出席する場では相手の国によって出席したりしなかったりと、定まっていなかった。もちろん会場内にはいたが。
双翼になってからの2年は、そんな機会が少なかったというのもある。
「あなたが双翼の魔術師であることを周知し、セレスタの要の一つであることを示していきます」
うれしい。震えるほどに嬉しくて、上手く言葉が出てこない。
「マールアは貴女の存在に眉を顰めるかもしれませんが、セレスタの国内のことに口を出させはしません。
これまで我々が配慮し過ぎたことも彼らの増長の理由の一つでしょうからね。
貴女を見せることにはセレスタの文化や背景を知ってもらうという側面があります」
外務卿がわかりやすく解説する。
「双翼の魔術師が女性で、しかも年若い。
彼らの文化からしたら庇護するべき存在を国の中心に置くなど考えられないでしょうが、ここはセレスタです。
合わせる理由がないのですから堂々としていなさい」
「はい!」
浮かされるままに大きな声で返事をする。
現実味を帯びて双翼の責任が肩に掛かってくる。そのプレッシャーは、重く感じるどころか心地よいくらいだった。
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