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セレスタ 波乱の婚約式編
双翼の魔女殿の行方
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居並ぶ面々に緊張で喉が鳴る。
双翼の魔術師、マリナ殿がいないと聞いて集まってきたのは、魔術師長ジグムント様、その弟子であるメルヒオール様、次期魔術師長フィル様。
近衛騎士のディルク殿にギュンター殿、ミヒャエル殿。
そして双翼の騎士ヴォルフ殿が一室に集まり額を付き合わせている。
正直、近衛騎士としては下っ端の自分がここにいる意味がわからない。
ギュンター殿がヴォルフ殿に知らせに来たときにそれとなく席を外せば良かったと後悔している。
自分は少し席を外しているだけではないかと思ったが、この部屋にいる方々は微塵もそう思っていないようだ。
「師長もフィルもこれ使ってみて。 マリナの持っている方と繋がるかどうか試してくれない?」
「繋がる? まずはどういった魔道具なのか説明してくれませんかね、メルヒオール」
「マリナもこれと同じ物を持ってる。 対になった魔道具同士でメッセージを送る機能があるらしい」
「それはまた、マリナは本当におもしろいものを作りますね」
のんびりと答えたフィル様に、焦れたようにメルヒオール様が声を荒げる。
「いいから早く試せって!」
「落ち着け、メルヒオール」
魔術師長がメルヒオール様の肩を叩いて諭す。
急かされたフィル様が苦笑して魔道具を手にした。
魔道具を手の平で包むようにしてフィル様が魔力を流し始める。
輝き始めた魔道具はそれ以外の反応を見せず、やがて光が消えた。
「ダメですね。 何も感じません」
フィル様が魔術師長へ魔道具を手渡す。
魔術師長も同じように魔道具を使用してみるが、反応は同じだった。
落胆するメルヒオール様にヴォルフ殿が言葉をかける。
「一つの石を割って作った対の魔道具だから、捉えやすいと言っていたんだがな……。
やはり駄目か」
「ダメってなんだよ、心外だな」
噛みつくメルヒオール様をフィル様が止める。
「ちょっと待った、一つの石を割ったって言った? この魔石を?
……流石マリナだな、思いきった作り方だ」
フィル様が呆れたようにも感心したようにも聞こえる声で呟く。
「ケチるより性能を重視したんだろ。 アイツ魔石溜め込んでそうだし、このくらいの魔石ならまだ持ってるんじゃない?」
いつの間にか話が逸れている。
話を戻そうとディルク殿が口を開いた。
「お二人とも魔石の話はその辺で。 反応がないというのは具体的にどういう意味ですか?」
「魔道具が反応しない。 魔力の届かないところにあると思う」
簡潔にメルヒオール様が答える。フィル様が補足するように言葉を足した。
「その魔道具が効果範囲外にあるか、あるいは魔力を遮断するような場所にいるということです」
王宮内で魔力を遮断するような場所は限られている。宝物庫や牢屋がその筆頭だが、そんな場所にいるとは考えがたい。
「その範囲外、って王都の外ってことか?」
ミヒャエル殿がフィル様に確認する。
「ええ。 魔道具がメルヒオールが言った通りの機能なら、対の魔道具の存在を私たちの誰も感じ取れないのはおかしい。
マリナは王都にいないと思いますよ」
断定したフィル様の言葉に沈黙が落ちた。
双翼の魔術師、マリナ殿がいないと聞いて集まってきたのは、魔術師長ジグムント様、その弟子であるメルヒオール様、次期魔術師長フィル様。
近衛騎士のディルク殿にギュンター殿、ミヒャエル殿。
そして双翼の騎士ヴォルフ殿が一室に集まり額を付き合わせている。
正直、近衛騎士としては下っ端の自分がここにいる意味がわからない。
ギュンター殿がヴォルフ殿に知らせに来たときにそれとなく席を外せば良かったと後悔している。
自分は少し席を外しているだけではないかと思ったが、この部屋にいる方々は微塵もそう思っていないようだ。
「師長もフィルもこれ使ってみて。 マリナの持っている方と繋がるかどうか試してくれない?」
「繋がる? まずはどういった魔道具なのか説明してくれませんかね、メルヒオール」
「マリナもこれと同じ物を持ってる。 対になった魔道具同士でメッセージを送る機能があるらしい」
「それはまた、マリナは本当におもしろいものを作りますね」
のんびりと答えたフィル様に、焦れたようにメルヒオール様が声を荒げる。
「いいから早く試せって!」
「落ち着け、メルヒオール」
魔術師長がメルヒオール様の肩を叩いて諭す。
急かされたフィル様が苦笑して魔道具を手にした。
魔道具を手の平で包むようにしてフィル様が魔力を流し始める。
輝き始めた魔道具はそれ以外の反応を見せず、やがて光が消えた。
「ダメですね。 何も感じません」
フィル様が魔術師長へ魔道具を手渡す。
魔術師長も同じように魔道具を使用してみるが、反応は同じだった。
落胆するメルヒオール様にヴォルフ殿が言葉をかける。
「一つの石を割って作った対の魔道具だから、捉えやすいと言っていたんだがな……。
やはり駄目か」
「ダメってなんだよ、心外だな」
噛みつくメルヒオール様をフィル様が止める。
「ちょっと待った、一つの石を割ったって言った? この魔石を?
……流石マリナだな、思いきった作り方だ」
フィル様が呆れたようにも感心したようにも聞こえる声で呟く。
「ケチるより性能を重視したんだろ。 アイツ魔石溜め込んでそうだし、このくらいの魔石ならまだ持ってるんじゃない?」
いつの間にか話が逸れている。
話を戻そうとディルク殿が口を開いた。
「お二人とも魔石の話はその辺で。 反応がないというのは具体的にどういう意味ですか?」
「魔道具が反応しない。 魔力の届かないところにあると思う」
簡潔にメルヒオール様が答える。フィル様が補足するように言葉を足した。
「その魔道具が効果範囲外にあるか、あるいは魔力を遮断するような場所にいるということです」
王宮内で魔力を遮断するような場所は限られている。宝物庫や牢屋がその筆頭だが、そんな場所にいるとは考えがたい。
「その範囲外、って王都の外ってことか?」
ミヒャエル殿がフィル様に確認する。
「ええ。 魔道具がメルヒオールが言った通りの機能なら、対の魔道具の存在を私たちの誰も感じ取れないのはおかしい。
マリナは王都にいないと思いますよ」
断定したフィル様の言葉に沈黙が落ちた。
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