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セレスタ 波乱の婚約式編
マールアの王子たち
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部屋に戻って運ばれたお茶を飲みながらユースティスの話を思い出す。
ユースティスと話ができたのは僥倖だった。彼は積極的にマリナをどうこうするつもりはないようだし、できればこのまま関わらずにいたい。
マールアにはマリナも会った三王子がいるが、実は王太子は決まっていない。
貴族たちを纏め上げ支持を得ている第一王子ユースティスに反乱部族の鎮圧で力を示すラムゼス、どちらかが後継者になるだろうと目されている。
しかしここにきて第三の勢力となりかねないのがユリノアスだ。
マリナを連れ去ってきたことを魔術師の獲得だと考えたならユリノアスに価値を見出す者もいるだろう。
物凄く巻き込まれたくない争いだ。
ユリノアスも兄たちと対立する気はないようだし今のところは心配いらないみたいだけど。
マリナのところにそういった客人が訪ねて来ないのはそういうことだろう。
マリナと国内の貴族を合わせたら否応なしに後継者争いに名を連ねることになる。
欲を持って近づいて来る人たちをどこかで止めていることは予測が付く。
そこだけはユリノアスに感謝しないこともない。
「何を考えてるんだ?」
黙って思案にふけっているとカイゼが声を掛けてくる。
隠すことでもないので素直に答えた。
「三王子のことを考えていました」
先ほどユースティスと会ったので思考がそちらに向かうのは自然なことだ。
「ああ……」
納得したようにカイゼが頷く。
「それにしてもお二人はよく似ていましたね」
ユースティスとユリノアスは雰囲気が全く違うのに本当によく似ていた。
色彩だけでなく、細い顎や眉の形などいくつも挙げられるくらいに。
二人が良く似ているのは母親が同じなことも影響しているのかもしれない。
あの二人の特徴そのままの女性ならさぞ美人だろう。
ラムゼスだけ母親が違うのだが、ユリノアスへの接し方を見る限り険悪というほどではないように思える。
ユリノアスが無力で権力争いの相手とは見なされていなかったから、という可能性もあるが。
ユースティスとはどうだろう。
どちらもユリノアスとの仲は悪くないようだけど、ユースティスとラムゼスは。
どう思っていようと周りがうるさそうだ。
「それぞれ仲はいいんですか?」
「ユリノアス様とはどちらも、まあ悪くはないな」
カイゼが曖昧に答える。考えながら言ってそれか。
まあ仕方がない気はするが。
「大変そうですね」
適当な感想を口にする。
それはどちらの陣営からも誘いが来るということでもある。
セレスタの後継者は王子一人なのでそういった揉め事とは無縁だ。
王子がいなかったとしたら国王陛下の弟、そしてその子供と移っていく。
セレスタでは継承順がはっきりと定められている。
余程のことがなければそれが覆されることはない。
「他人事みたいな台詞だな」
「他人事ですからね」
間髪入れずに返すと呆れた顔が返ってきた。
「伴侶にと望まれてる関係だろ。 少しは取り繕うとかないのか」
そんな無駄な労力を使う意味が分からない。
油断してくれないのがわかっているのに、心配する振りなんてしても仕方ないと思う。
マリナがしおらしい態度を取ったところでユリノアスはともかく、カイゼや他の王子たちは騙されてくれない。
寧ろ何か企んでいると警戒されるのがオチだ。
そこまで言うとその通りの警戒をすると思ったのかカイゼが黙った。
ユースティスと話ができたのは僥倖だった。彼は積極的にマリナをどうこうするつもりはないようだし、できればこのまま関わらずにいたい。
マールアにはマリナも会った三王子がいるが、実は王太子は決まっていない。
貴族たちを纏め上げ支持を得ている第一王子ユースティスに反乱部族の鎮圧で力を示すラムゼス、どちらかが後継者になるだろうと目されている。
しかしここにきて第三の勢力となりかねないのがユリノアスだ。
マリナを連れ去ってきたことを魔術師の獲得だと考えたならユリノアスに価値を見出す者もいるだろう。
物凄く巻き込まれたくない争いだ。
ユリノアスも兄たちと対立する気はないようだし今のところは心配いらないみたいだけど。
マリナのところにそういった客人が訪ねて来ないのはそういうことだろう。
マリナと国内の貴族を合わせたら否応なしに後継者争いに名を連ねることになる。
欲を持って近づいて来る人たちをどこかで止めていることは予測が付く。
そこだけはユリノアスに感謝しないこともない。
「何を考えてるんだ?」
黙って思案にふけっているとカイゼが声を掛けてくる。
隠すことでもないので素直に答えた。
「三王子のことを考えていました」
先ほどユースティスと会ったので思考がそちらに向かうのは自然なことだ。
「ああ……」
納得したようにカイゼが頷く。
「それにしてもお二人はよく似ていましたね」
ユースティスとユリノアスは雰囲気が全く違うのに本当によく似ていた。
色彩だけでなく、細い顎や眉の形などいくつも挙げられるくらいに。
二人が良く似ているのは母親が同じなことも影響しているのかもしれない。
あの二人の特徴そのままの女性ならさぞ美人だろう。
ラムゼスだけ母親が違うのだが、ユリノアスへの接し方を見る限り険悪というほどではないように思える。
ユリノアスが無力で権力争いの相手とは見なされていなかったから、という可能性もあるが。
ユースティスとはどうだろう。
どちらもユリノアスとの仲は悪くないようだけど、ユースティスとラムゼスは。
どう思っていようと周りがうるさそうだ。
「それぞれ仲はいいんですか?」
「ユリノアス様とはどちらも、まあ悪くはないな」
カイゼが曖昧に答える。考えながら言ってそれか。
まあ仕方がない気はするが。
「大変そうですね」
適当な感想を口にする。
それはどちらの陣営からも誘いが来るということでもある。
セレスタの後継者は王子一人なのでそういった揉め事とは無縁だ。
王子がいなかったとしたら国王陛下の弟、そしてその子供と移っていく。
セレスタでは継承順がはっきりと定められている。
余程のことがなければそれが覆されることはない。
「他人事みたいな台詞だな」
「他人事ですからね」
間髪入れずに返すと呆れた顔が返ってきた。
「伴侶にと望まれてる関係だろ。 少しは取り繕うとかないのか」
そんな無駄な労力を使う意味が分からない。
油断してくれないのがわかっているのに、心配する振りなんてしても仕方ないと思う。
マリナがしおらしい態度を取ったところでユリノアスはともかく、カイゼや他の王子たちは騙されてくれない。
寧ろ何か企んでいると警戒されるのがオチだ。
そこまで言うとその通りの警戒をすると思ったのかカイゼが黙った。
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