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最終章
誓いと祝福
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並ぶおふたりの姿を見たら言葉が出なくなってしまった。
共に歩いていくことを誓い合う王子とレイフェミア様は幸せに満ち溢れているとわかる笑顔で、こちらまで幸せな気持ちで満たしてくれる。
感動にマリナの目の端にも涙が滲む。
父である国王陛下だけでなく内務卿も感慨深い顔をして喜びを噛み締めている。
レイフェミア様のご家族も、嫁いで数年で夫の不幸に見舞われたレイフェミア様が新たな縁を得たことを喜んでいた。お母様の伯爵夫人などは式が始まった時から溢れる涙を抑えるのに忙しい。
娘の子供は見られないかもしれないと感じていたようだからこの結婚を誰よりも喜んでいるのは母だとレイフェミア様が言っていた。
後継ぎをどこから出すか方針がはっきりしないと再婚相手を探すことも出来なかったのだから、王子との婚約が内々に決まったと聞かされたときの驚きは想像に難くない。
その後継ぎの問題も王子がレイフェミア様を伴侶に望んだことで一応の決着がついた。
王子とレイフェミア様の間に二人以上お子が生まれたときは一人を公爵家の継嗣にすること、一人しか授からなかった場合は亡き公爵の弟さんにお子がいればその方を継嗣に据えることに決められた。
レイフェミア様は天窓から注ぐ光を受けて輝かんばかりの美しさだった。
王子と合わせた白のドレスはセレスタには珍しく袖のない形。
ドレスも細い腕を覆う長手袋も黄緑の糸で繊細な刺繍が施されている。身を飾る宝石と花は黄と薄緑の物があしらわれていて、どこから見てもセレスタの花嫁だ。
王妃になる方はセレスタの国旗の色を式のドレスに取り入れるのが習わしだった。
セレスタの色を纏ったレイフェミア様の姿はとても美しい
花嫁の姿を見た王子が言葉を無くして立ち尽くすくらい素敵だった。
そのまま瞬きもせずに見つめているからレイフェミア様がとても恥ずかしそうにしていた。
結婚を誓い合う書類に署名をし筆記具を渡そうとした王子の動きがぎこちなくなる。
ペンを受け取ろうとしたレイフェミア様に微笑まれて動揺したのが手に取るようにわかった。
筆記具を滑らせてレイフェミア様が署名を終える。
「ではここにお二人の婚姻は成立いたしました」
宣誓を受けて室内は拍手に包まれた。
「実にめでたい。 レイフェミア、息子を頼むぞ。
そなたも王太子妃として大変なこともあるかもしれぬが、よく支え合って行くようにな」
「はい、陛下!
至らぬ身ではありますが共に歩んでいけるよう、力を尽くします」
国王陛下のお言葉にレイフェミア様は感動に頬を紅潮させる。
その横で王子が自分にも支えさせてほしいとレイフェミア様に微笑みかける。嬉しそうにはにかむレイフェミア様に周囲も口元が緩んだ。
「おめでとうございます! 王子、レイフェミア様!」
内務卿が王子に祝いの言葉を贈る。王子を見る目は今までになく穏やかだった。
「内務卿、今日まで私を支えてくれて感謝している」
王子も同じように穏やかな目で答える。
「フェミアとこうして結ばれたのはそなたの後押しがあったからこそ。
これからも私を支えてくれ、よろしく頼む」
「もったいないお言葉でございます」
レイフェミア様への想いを打ち明けた直後の内務卿の奮闘を思い出したのか、王子は少し面映ゆそうだ。
王子の言葉に内務卿も感じ入ったのか声を震わせ、王子の晴れ姿を目に焼きつけるように見つめている。
「レイフェミア……!」
レイフェミア様の母上、伯爵夫人は名前を呼んだあとはもう言葉にならないようで、取った手を両手で包み込みレイフェミア様を見つめた。
「母上、そんなに泣いていてはいけませんよ。 姉上の晴れ舞台なのだから」
「ええ、そうね。 幸せになってね、レイフェミア。 きっとお父様もあなたが幸せになってくれることを願っているわ」
「そうですよ姉上。 どうぞお幸せに」
「ありがとう……。 きっと幸せになるわ、約束する!」
満面の笑みで答えるレイフェミア様にお二人も顔を綻ばせた。
一人一人と言葉を交わすおふたりを見守る。
徐々に入り口に近づいていき、やがてマリナとヴォルフの前で足を止めた。
「ヴォルフ、マリナ。 本当にありがとう。
君たちは私にとって得難い友だ。 出会えたことに感謝している。
双翼は盾であり、剣であり、自身の一部。 欠くことのできない存在だ。
今日この扉を出た後も、変わらず私を支えてくれ」
「「はい!!」」
胸の奥から喜びが溢れてくる。
過分な言葉に戸惑いよりも喜びが先に立つ。
この方は本当にもう……!
本来ならマリナはそこまでの言葉を掛けてもらえるような存在じゃない。
それでもそんな垣根を捨て、マリナ自身を見て言ってくれた言葉。
うれしくないわけがない。
隣を見ればヴォルフも感じ入ったように息を詰めて王子を見つめている。
「「あなたの剣にも盾にもなり、私たちの持てる全てであなたを守り、お支えすることを誓います」」
自然と合わさった言葉に王子が破顔した。
「ああ! これからもよろしく!!」
「もちろんです」
「では、行きましょうか」
笑み交わしたところで扉が開かれる。
これからの未来を象徴するかのように、扉の向こうにも光が満ちていた。
共に歩いていくことを誓い合う王子とレイフェミア様は幸せに満ち溢れているとわかる笑顔で、こちらまで幸せな気持ちで満たしてくれる。
感動にマリナの目の端にも涙が滲む。
父である国王陛下だけでなく内務卿も感慨深い顔をして喜びを噛み締めている。
レイフェミア様のご家族も、嫁いで数年で夫の不幸に見舞われたレイフェミア様が新たな縁を得たことを喜んでいた。お母様の伯爵夫人などは式が始まった時から溢れる涙を抑えるのに忙しい。
娘の子供は見られないかもしれないと感じていたようだからこの結婚を誰よりも喜んでいるのは母だとレイフェミア様が言っていた。
後継ぎをどこから出すか方針がはっきりしないと再婚相手を探すことも出来なかったのだから、王子との婚約が内々に決まったと聞かされたときの驚きは想像に難くない。
その後継ぎの問題も王子がレイフェミア様を伴侶に望んだことで一応の決着がついた。
王子とレイフェミア様の間に二人以上お子が生まれたときは一人を公爵家の継嗣にすること、一人しか授からなかった場合は亡き公爵の弟さんにお子がいればその方を継嗣に据えることに決められた。
レイフェミア様は天窓から注ぐ光を受けて輝かんばかりの美しさだった。
王子と合わせた白のドレスはセレスタには珍しく袖のない形。
ドレスも細い腕を覆う長手袋も黄緑の糸で繊細な刺繍が施されている。身を飾る宝石と花は黄と薄緑の物があしらわれていて、どこから見てもセレスタの花嫁だ。
王妃になる方はセレスタの国旗の色を式のドレスに取り入れるのが習わしだった。
セレスタの色を纏ったレイフェミア様の姿はとても美しい
花嫁の姿を見た王子が言葉を無くして立ち尽くすくらい素敵だった。
そのまま瞬きもせずに見つめているからレイフェミア様がとても恥ずかしそうにしていた。
結婚を誓い合う書類に署名をし筆記具を渡そうとした王子の動きがぎこちなくなる。
ペンを受け取ろうとしたレイフェミア様に微笑まれて動揺したのが手に取るようにわかった。
筆記具を滑らせてレイフェミア様が署名を終える。
「ではここにお二人の婚姻は成立いたしました」
宣誓を受けて室内は拍手に包まれた。
「実にめでたい。 レイフェミア、息子を頼むぞ。
そなたも王太子妃として大変なこともあるかもしれぬが、よく支え合って行くようにな」
「はい、陛下!
至らぬ身ではありますが共に歩んでいけるよう、力を尽くします」
国王陛下のお言葉にレイフェミア様は感動に頬を紅潮させる。
その横で王子が自分にも支えさせてほしいとレイフェミア様に微笑みかける。嬉しそうにはにかむレイフェミア様に周囲も口元が緩んだ。
「おめでとうございます! 王子、レイフェミア様!」
内務卿が王子に祝いの言葉を贈る。王子を見る目は今までになく穏やかだった。
「内務卿、今日まで私を支えてくれて感謝している」
王子も同じように穏やかな目で答える。
「フェミアとこうして結ばれたのはそなたの後押しがあったからこそ。
これからも私を支えてくれ、よろしく頼む」
「もったいないお言葉でございます」
レイフェミア様への想いを打ち明けた直後の内務卿の奮闘を思い出したのか、王子は少し面映ゆそうだ。
王子の言葉に内務卿も感じ入ったのか声を震わせ、王子の晴れ姿を目に焼きつけるように見つめている。
「レイフェミア……!」
レイフェミア様の母上、伯爵夫人は名前を呼んだあとはもう言葉にならないようで、取った手を両手で包み込みレイフェミア様を見つめた。
「母上、そんなに泣いていてはいけませんよ。 姉上の晴れ舞台なのだから」
「ええ、そうね。 幸せになってね、レイフェミア。 きっとお父様もあなたが幸せになってくれることを願っているわ」
「そうですよ姉上。 どうぞお幸せに」
「ありがとう……。 きっと幸せになるわ、約束する!」
満面の笑みで答えるレイフェミア様にお二人も顔を綻ばせた。
一人一人と言葉を交わすおふたりを見守る。
徐々に入り口に近づいていき、やがてマリナとヴォルフの前で足を止めた。
「ヴォルフ、マリナ。 本当にありがとう。
君たちは私にとって得難い友だ。 出会えたことに感謝している。
双翼は盾であり、剣であり、自身の一部。 欠くことのできない存在だ。
今日この扉を出た後も、変わらず私を支えてくれ」
「「はい!!」」
胸の奥から喜びが溢れてくる。
過分な言葉に戸惑いよりも喜びが先に立つ。
この方は本当にもう……!
本来ならマリナはそこまでの言葉を掛けてもらえるような存在じゃない。
それでもそんな垣根を捨て、マリナ自身を見て言ってくれた言葉。
うれしくないわけがない。
隣を見ればヴォルフも感じ入ったように息を詰めて王子を見つめている。
「「あなたの剣にも盾にもなり、私たちの持てる全てであなたを守り、お支えすることを誓います」」
自然と合わさった言葉に王子が破顔した。
「ああ! これからもよろしく!!」
「もちろんです」
「では、行きましょうか」
笑み交わしたところで扉が開かれる。
これからの未来を象徴するかのように、扉の向こうにも光が満ちていた。
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