最強の魔術師になれなかった俺、弟子になった天才少女を前世の知識を使って最強にしてみた

Crosis

文字の大きさ
10 / 36

第10話 気付けたのだから良しとしよう

しおりを挟む

 しかし、なんだかんだでこの二十分も嫌いではない為馬は買わずにそのまま徒歩でもいいような気もする。

 前世で自転車が好きだと言って一時間かけて自転車通勤をしていたいた友人の気持ちが今なら少しわかる。

「ただいま」
「おかえりなさい。意外と早かったのね」
「意外とって何だよ」
「いえ、彼女もそのまま手籠めにしてくるのかと」
「何度も言うがそれは無い。俺はロリコンに魂を売った覚えは無いからな」

 家に帰るなり我が家の我が儘姫はご機嫌斜めのようで妬いているのかチクチクと少し棘のある声音と言葉で出迎えてくれる。

 しかしながら普段は見れない彼女の妬いている姿はそれはそれでギャップもあり可愛いいものだと目に焼き付けておく。

 それと同時にリーシャにすっかり惚れてしまっている自分に少し情けなく思い思わず苦笑いをしてしまう。

 男のプライドであるとか、始めは拒んでいた奴隷契約も蓋を開ければ惚れている事実だとか、しかしながらそれら感情を圧倒的に押しのけて彼女と出会えて幸せであると思ってしまう自分がいることに。

「はぁ、惚れた方が負けとはよく言ったものだな」
「ええ、本当にね。まさかこの私が小娘一人にここまで感情を乱されてしまうなんて考えもしなかったですわね………どうしました?」
「いや、何でもない」
「? ……そうですか。とりあえず晩御飯にしましょうか」

 そんな俺の独り言を聞きリーシャは自分の事だと勘違いしてしまった様だがそこは最早残りカス程度しか残っていない俺のプライドが自分の事を言っているのだと訂正せずにそのまま誤魔化す。

 それに、口では平常心を装いながらも顔を真っ赤にして頬に両手を当てながら「私恥ずかしいです」と言ったリーシャの表情が可愛いのでそれをもっと見ておきたいという理由もある。

 間違いなく彼女はそれが可愛いと分っていながらの計算されたあざとい反応であったとしても、実際可愛いのだから仕方ない。

 とりあえずそんなリーシャを横目に見つつ食事の準備に取り掛かる。

 と言ってもすでにリーシャは晩御飯を作ってくれているので食器を運び、この国に米は珍しい為代わりに主食であるパンを出すだけなのだが。

 そしてリーシャは俺が時おり口ずさんでいた前世での流行歌の一つを鼻歌で奏でながら本日の食事をお皿によそっていくのでそれを食器とパンを並べたテーブルへと持っていく。

 そんな何気ない日常こそが幸せなのだと心から、今なら言える。

 前世から含めて大分遠回りしてしまってはいるのだが気付けたのだから良しとしよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

処理中です...