すべてはスライムで出来ている。

霧谷水穂

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スライム

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 今日はセキの食料になる物を探しながら進むことにしよう。
 セキ達は片手を上げ、ケイ達は羽根を掲げ上げる。

 セキの使う動物の体は木登りが得意らしく、自分を包んだセン達が進む様子を枝を渡りながら見ていて、上から木の実などを落としてくる。
 硬い物でもこちらはぷにぷにボディなので衝撃はない。
 保管はケイの担当になったので、自分はセンに運んでもらっている。

 担当決めの時に何故か聞いたら、センは水ボディなので木の実類は発芽を促してしまうそうだ。
 地面に生えている果実なども自分の指示で保管してもらい、夕方には食べられるかをセキに選別してもらう。

 ちなみに進行方向は適当だ。
 朝起きて太陽のある方にと一応して、直進方向に樹があれば横にそれ横にそれを繰り返しているだけだ。

 それでも三日もしたら樹の間隔がまばらになり、下草が減って代わりに低い木が増えてきた。
 もう木の実は取れそうもない。

 空が開けているので慎重に進んでいると、川があって何かがうごめいているのを見つけた。
 形はかなり崩れているけど、上下運動を繰り返すことで体の一部を前に押し出す動きはミミズのそれ。
 色は濁った緑色。
 体を川に伸ばし、しばらくすると濁りが消えて若草色になった。

 どうやらセンと同系統の生き物のようだ。

 接触してみようと近づくと、草のざわつく音に反応して飛び跳ねて逃げ出した。
 あ、セキ、囲い込め!

 セキ達がダッと駆け出して三方向から睨んで動きを封じると、若草色の塊はプルプルと震えた。
 これは何だろう。
 ピコンッ
  ――――――――――---‐
   スライム 草系
  ――――――――――---‐
 スライム?
 じゃあ自分はスライムを作っていたのか?
 皆に頷かれた。
 ……なるほど。

 まだまだ知らない事がたくさんあるようだ。
 セキ達に囲われてまだプルプルしているスライムだが会話は可能か?
 ケイ達が羽根を掲げ上げた。

 ケイ達が近づくと、何かを訴えるように上下運動を始めた。
 ケイ達がセキ達と並ぶと体をねじって見せた。
 羽根でセキ達を撫でてみせるとプルプルが治まった。

 落ち着いたらしい。

 会話できるなら突起を作って見せてくれないか?
 ……動きが無い。
 自分の心の声は届かないらしい。

 それを見て何か感じたのかケイ達が羽根を振り始めた。
 下から上に振り上げている。
 するとどうだろう!
 スライムがぐぐぐっ持ち上がり、縦長になった。
 ケイ達が激しく羽根を振り、途端に元の潰れ形状に戻った。

 どうやら突起が作れなかったようだ。
 無理をさせたようですまない。
 ……プルプルしている。隣に並んだケイが羽根を横に振っている。代理か?

 質問と観察をさせてもらってもいいか?
 ……少し立ち上がった。羽根は縦だな。
 よろしくな。
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