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肩と足
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「次は肩に移ります。防具は外せますか?」
「はい」
助手に手伝ってもらいながら防具を脱いでいく。
起きてやった方が良かったんじゃないかと思ったが、手当されている方なのでおとなしく寝たままでいるようだ。
布の服も脱がされる。
チラリと見たが、服の肩部分が見事に破れていた。
「こちらも出血は止まっていますね。でも洗浄すると薄くふさがった傷が痛むかもしれません」
そうかも。
そうなっても血が出ないように流れは控えめにな。
「はい、わかりました」
大きな器が肩の下に通され、ぶら下がっている自分はカークの手につかまった。
器の水につかりそうだったから助かった。
「痛みはどうですか?」
顔の向きも肩の治療が見える向きにしてくれている。
治療中な方の手だけど、無理してないか?
「だいじょうぶです」
「肩は頭部ほどの傷ではありませんが範囲が広いので両肩とも包帯を巻かせていただきますね。
動きづらいですが傷が塞がるまではご辛抱を」
左肩の洗浄と何かの貼り付けが済んだらカークはうつぶせにされた。
視界を確保する為、自分は首の横に置かれているぞ。
ここからだと治療が良く見える。
右肩に水を流し終わったら器が外されて、助手に押さえさせて神父が黄色くて細長い物を肩に貼っていく。
腕を前に動かさないようにしているので背中に肉を集めて傷を塞いで、あの黄色いので止めているのだろう。
カークはどんな感じだ?
「背中の肉、つっぱる」
「こうしないと傷が広がったままカサブタになって大きな傷跡が残ってしまいますから、ご辛抱を」
ご辛抱が多いな。
「……そう」
そのつっぱるまま上半身を起こされて布の帯の包帯をグルグルに巻かれた。
危うく自分まで包帯の下に巻き込まれるところだった!
「最後に足ですが、これは米松__ユアスタイン__#の樹脂ですね。
水をかけると固まるので固定には優れていますが、これでは骨折がどの程度だったのかわかりませんね」
神父がカークの顔を見てくる。
これは当時を教えろって事だな。
つま先が上向いてた。としか言えないけど。
「つま先、上向いてた」
「はい? だとしたら良く動かせましたね」
今は正常な向きだからな。
「……いえ」
違うのか?
「変な向きの方が、痛い」
「確かにそうでしょうが……まあいいでしょう」
神父は助手共々足を固定していた蔓を解き木の皮に刃物を立てる。
切込みが入ったら、握ると開くハサミのようなもので隙間を広げていく。
痛そうだ。
「だいじょうぶ」
むき出しになる足。
靴ごと固定してたから靴が脱がされ足の指をつままれての触診。
スライムが体を巡っているはずだから感覚は無事なはずだ。
「はい」
神父が足を持ち上げ、そーっと本来は動かない方向に動かして骨折状況を確認。
「ぐっ」
「わかりました」
カークが顔を歪めたらすぐやめてくれた。
「骨折はしていますが、血管は正常に機能しているようですので、このまま固定しましょう」
樹脂と思われる黄色い物体を大きな布に貼り付けて足をクルリと包む。
器に水を張って足を沈める事で固める。
「あなたが使ったのと同じ米松__ユアスタイン__#の樹脂を商品化したものでキャスキューと言います」
人間は何でも自分の力として取り込む生き物らしい。
まあ、スライムの力を自分の力として使っている自分には言えた事ではないが。
※キャスキューは工業製品として普及しています。実際に人体には使用しないでください。
「はい」
助手に手伝ってもらいながら防具を脱いでいく。
起きてやった方が良かったんじゃないかと思ったが、手当されている方なのでおとなしく寝たままでいるようだ。
布の服も脱がされる。
チラリと見たが、服の肩部分が見事に破れていた。
「こちらも出血は止まっていますね。でも洗浄すると薄くふさがった傷が痛むかもしれません」
そうかも。
そうなっても血が出ないように流れは控えめにな。
「はい、わかりました」
大きな器が肩の下に通され、ぶら下がっている自分はカークの手につかまった。
器の水につかりそうだったから助かった。
「痛みはどうですか?」
顔の向きも肩の治療が見える向きにしてくれている。
治療中な方の手だけど、無理してないか?
「だいじょうぶです」
「肩は頭部ほどの傷ではありませんが範囲が広いので両肩とも包帯を巻かせていただきますね。
動きづらいですが傷が塞がるまではご辛抱を」
左肩の洗浄と何かの貼り付けが済んだらカークはうつぶせにされた。
視界を確保する為、自分は首の横に置かれているぞ。
ここからだと治療が良く見える。
右肩に水を流し終わったら器が外されて、助手に押さえさせて神父が黄色くて細長い物を肩に貼っていく。
腕を前に動かさないようにしているので背中に肉を集めて傷を塞いで、あの黄色いので止めているのだろう。
カークはどんな感じだ?
「背中の肉、つっぱる」
「こうしないと傷が広がったままカサブタになって大きな傷跡が残ってしまいますから、ご辛抱を」
ご辛抱が多いな。
「……そう」
そのつっぱるまま上半身を起こされて布の帯の包帯をグルグルに巻かれた。
危うく自分まで包帯の下に巻き込まれるところだった!
「最後に足ですが、これは米松__ユアスタイン__#の樹脂ですね。
水をかけると固まるので固定には優れていますが、これでは骨折がどの程度だったのかわかりませんね」
神父がカークの顔を見てくる。
これは当時を教えろって事だな。
つま先が上向いてた。としか言えないけど。
「つま先、上向いてた」
「はい? だとしたら良く動かせましたね」
今は正常な向きだからな。
「……いえ」
違うのか?
「変な向きの方が、痛い」
「確かにそうでしょうが……まあいいでしょう」
神父は助手共々足を固定していた蔓を解き木の皮に刃物を立てる。
切込みが入ったら、握ると開くハサミのようなもので隙間を広げていく。
痛そうだ。
「だいじょうぶ」
むき出しになる足。
靴ごと固定してたから靴が脱がされ足の指をつままれての触診。
スライムが体を巡っているはずだから感覚は無事なはずだ。
「はい」
神父が足を持ち上げ、そーっと本来は動かない方向に動かして骨折状況を確認。
「ぐっ」
「わかりました」
カークが顔を歪めたらすぐやめてくれた。
「骨折はしていますが、血管は正常に機能しているようですので、このまま固定しましょう」
樹脂と思われる黄色い物体を大きな布に貼り付けて足をクルリと包む。
器に水を張って足を沈める事で固める。
「あなたが使ったのと同じ米松__ユアスタイン__#の樹脂を商品化したものでキャスキューと言います」
人間は何でも自分の力として取り込む生き物らしい。
まあ、スライムの力を自分の力として使っている自分には言えた事ではないが。
※キャスキューは工業製品として普及しています。実際に人体には使用しないでください。
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