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頭
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「神父様、いるかい」
カークの背中に通した方の手で器用に扉を叩いた兵士が呼ぶと、扉はすぐに開いた。
「どうされました?」
出てきた灰色の服の人間、おそらく神父とやらに聞かれて、兵士はカークを差し出す。
「怪我人だ。今頼めるか?」
「どうぞ、お入りください」
扉が大きく開かれて、その先に入って行く。
ずいぶん天井の高い穴だな。
さらにもう一つ扉をくぐって、体を伸ばして休める場所に下ろされた。
仰向けだと傷が見えないので、カバンを降ろし、傷が酷い左肩を上にして横向きだ。
自分はカークの気遣いで顔のある面を上にしてもらっている。
「左足は骨折。頭と肩は挫創だな」※出血を伴う擦り傷の事
兵士が告げて神父が頷く。
一度奥に下がって直ぐに同じ灰色服の人間を連れて何か運んできた。
「足の方はキレイに固定されているので、頭から処置いたします。
止血帯を解いてください」
神父の指示で来ていた二人で頭を持ち上げる係と皮の帯を解く係になって動き始める。
神父自身は持ってきた箱のへりに何かをペタペタ貼り付けていた。
帯を解いていた人間の手が急にビクンとする。
「神父様」
呼ばれて傷を覗いた神父は小さく頷く。
「出血は止まっています。頭皮と断面の洗浄を。野外で負った傷ですから血管に気を付けて丁寧にお願いします」
「「はい」」
真剣な声音で答えた二人が大きな平たい器と水差しを頭の位置にセット。
「冷たいと思いますが我慢してくださいね」
「痛かったら言ってください」
「はい」
「では、精製」
一人が水差しに手を当てて呟くと、水差しがぼんやり光った。
器に入れられた頭に水差しで水が注がれる。
痛覚が鈍くなっているカークは何とも無いようだ。
「出血はありません」
「髪の毛の固定できました」
傷に対して垂直または放射状になでつけ、浮かないように油で固めて布の帯を貼っていた。
神父が箱を持って死角になる後ろに移動して、助手二人がカークの頭を鷲づかむ。
「では傷を閉じます。しっかり押さえてくださいね」
「「はい」」
しばらく見えない位置で何かごそごそしていた。
カーク、痛いか?
「……や」
そうか、ならいいが。
「痛いですか?」
あ~こっちに返事したから痛くて声が出たと思われたようだな。
大丈夫って言っとけばいいだろ。
「だいじょうぶ、です」
「もう少し、ご辛抱ください」
カークがそのまま動かないでいると、傷を塞ぎ終わったとのことで新しく布の帯で頭をグルグル巻きにされた。
神父が箱に貼り付けていたものは一つも残っていなかった。
「次は肩に移ります」
カークの背中に通した方の手で器用に扉を叩いた兵士が呼ぶと、扉はすぐに開いた。
「どうされました?」
出てきた灰色の服の人間、おそらく神父とやらに聞かれて、兵士はカークを差し出す。
「怪我人だ。今頼めるか?」
「どうぞ、お入りください」
扉が大きく開かれて、その先に入って行く。
ずいぶん天井の高い穴だな。
さらにもう一つ扉をくぐって、体を伸ばして休める場所に下ろされた。
仰向けだと傷が見えないので、カバンを降ろし、傷が酷い左肩を上にして横向きだ。
自分はカークの気遣いで顔のある面を上にしてもらっている。
「左足は骨折。頭と肩は挫創だな」※出血を伴う擦り傷の事
兵士が告げて神父が頷く。
一度奥に下がって直ぐに同じ灰色服の人間を連れて何か運んできた。
「足の方はキレイに固定されているので、頭から処置いたします。
止血帯を解いてください」
神父の指示で来ていた二人で頭を持ち上げる係と皮の帯を解く係になって動き始める。
神父自身は持ってきた箱のへりに何かをペタペタ貼り付けていた。
帯を解いていた人間の手が急にビクンとする。
「神父様」
呼ばれて傷を覗いた神父は小さく頷く。
「出血は止まっています。頭皮と断面の洗浄を。野外で負った傷ですから血管に気を付けて丁寧にお願いします」
「「はい」」
真剣な声音で答えた二人が大きな平たい器と水差しを頭の位置にセット。
「冷たいと思いますが我慢してくださいね」
「痛かったら言ってください」
「はい」
「では、精製」
一人が水差しに手を当てて呟くと、水差しがぼんやり光った。
器に入れられた頭に水差しで水が注がれる。
痛覚が鈍くなっているカークは何とも無いようだ。
「出血はありません」
「髪の毛の固定できました」
傷に対して垂直または放射状になでつけ、浮かないように油で固めて布の帯を貼っていた。
神父が箱を持って死角になる後ろに移動して、助手二人がカークの頭を鷲づかむ。
「では傷を閉じます。しっかり押さえてくださいね」
「「はい」」
しばらく見えない位置で何かごそごそしていた。
カーク、痛いか?
「……や」
そうか、ならいいが。
「痛いですか?」
あ~こっちに返事したから痛くて声が出たと思われたようだな。
大丈夫って言っとけばいいだろ。
「だいじょうぶ、です」
「もう少し、ご辛抱ください」
カークがそのまま動かないでいると、傷を塞ぎ終わったとのことで新しく布の帯で頭をグルグル巻きにされた。
神父が箱に貼り付けていたものは一つも残っていなかった。
「次は肩に移ります」
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