13 / 55
序章、第一話
誰だ!?
しおりを挟む
◆
「ん・・・・・・?」
スズメは真っ暗な部屋の中で目を覚ました。此処があの世だろうか。でもその割には絞められた首は痛いし、手足を縛り上げられている感触がある。
(生きてる・・・・・・?)
てっきり殺されたとばかり思っていたので少々混乱した。その混乱を打ち消すように誰もいないと思っていた部屋にランプの灯りが灯る。
「目が覚めたか」
そこには黒いフードを被った男が立っていた。
「誰だ!? ていうかなんで俺は生きてんだよ!」
湧き上がる疑問と恐怖にスズメは叫ぶ。しかし男の方は動じることなく落ち着き払っていた。
「御当主様だよ。執事長がお前を殺そうとしている時に、お前と話をしに来た御当主様が部屋を訪れたんだ」
「俺と・・・・・・話を?」
「御当主様はヨル様の影響で昼行性の鳥人に興味深々でね」
お前がどういう鳥人か確かめに行ったみたいだ、と男は語る。
「突然現れた御当主様に執事長は動揺して、お前が突如失神したことにした。結果お前はギリギリ助かった訳だ」
「じゃあなんで俺は捕まったままなんだ?」
「下っ端の俺にわかる訳ねぇだろ。俺は御当主様にお前を捕まえて隠しておけと言われただけだ」
友好的に見えた当主がスズメを閉じ込めておくように命じたという。命を救っておきながら、そんなことをする理由が全くもって分からない。一体鴉族の当主は何を考えているのだろう。
「安心しろ、殺せとは命じられていない。食事や水も与えるように言われている。後でパンでも持ってきてやるさ」
そう言うと、ひとまず水の入った瓶を前に置かれる。
「手足縛られててどうやって飲むんだよ」
「お前の能力については聞いている。そのままでも飲めるだろう?」
さりげなく縄を解かせようとしたが失敗に終わり、スズメは仕方なく『庭師』の力を使ってつる植物を操ると、器用に水の瓶を掴み口元に持ってきた。そこでピタリと動きを止める。
「安心しろ、毒なんか入れてないさ。言っただろう。殺せとは命じられていない」
「お前は執事長や『お嬢様』とやらの仲間じゃないのか」
「俺は御当主様に命を救われた身でね。あの方は身寄りの無い子供だった俺を引き取って育ててくれた。だから御当主様の為にしか動かないのさ」
男の言葉には力強さが宿っていた。
恐らく嘘では無い。そこには確かに裏付けされた忠誠心が垣間見えた。
「でも私兵団なんだろう?」
「ああ私兵団員だ。だから表向きは私兵団長の言うことを聞く。しかし私の心は御当主様にある。・・・・・・まぁ私兵団の中じゃそれ程位が高い訳でもないがね」
色々と複雑なのさと男は笑った。そしてこの話はもう終わりだとばかりに踵を返すと、静かに部屋を出ていく。
錠の閉まる音がして、漸くスズメは諦めて瓶の中の水を飲んだ。
「ん・・・・・・?」
スズメは真っ暗な部屋の中で目を覚ました。此処があの世だろうか。でもその割には絞められた首は痛いし、手足を縛り上げられている感触がある。
(生きてる・・・・・・?)
てっきり殺されたとばかり思っていたので少々混乱した。その混乱を打ち消すように誰もいないと思っていた部屋にランプの灯りが灯る。
「目が覚めたか」
そこには黒いフードを被った男が立っていた。
「誰だ!? ていうかなんで俺は生きてんだよ!」
湧き上がる疑問と恐怖にスズメは叫ぶ。しかし男の方は動じることなく落ち着き払っていた。
「御当主様だよ。執事長がお前を殺そうとしている時に、お前と話をしに来た御当主様が部屋を訪れたんだ」
「俺と・・・・・・話を?」
「御当主様はヨル様の影響で昼行性の鳥人に興味深々でね」
お前がどういう鳥人か確かめに行ったみたいだ、と男は語る。
「突然現れた御当主様に執事長は動揺して、お前が突如失神したことにした。結果お前はギリギリ助かった訳だ」
「じゃあなんで俺は捕まったままなんだ?」
「下っ端の俺にわかる訳ねぇだろ。俺は御当主様にお前を捕まえて隠しておけと言われただけだ」
友好的に見えた当主がスズメを閉じ込めておくように命じたという。命を救っておきながら、そんなことをする理由が全くもって分からない。一体鴉族の当主は何を考えているのだろう。
「安心しろ、殺せとは命じられていない。食事や水も与えるように言われている。後でパンでも持ってきてやるさ」
そう言うと、ひとまず水の入った瓶を前に置かれる。
「手足縛られててどうやって飲むんだよ」
「お前の能力については聞いている。そのままでも飲めるだろう?」
さりげなく縄を解かせようとしたが失敗に終わり、スズメは仕方なく『庭師』の力を使ってつる植物を操ると、器用に水の瓶を掴み口元に持ってきた。そこでピタリと動きを止める。
「安心しろ、毒なんか入れてないさ。言っただろう。殺せとは命じられていない」
「お前は執事長や『お嬢様』とやらの仲間じゃないのか」
「俺は御当主様に命を救われた身でね。あの方は身寄りの無い子供だった俺を引き取って育ててくれた。だから御当主様の為にしか動かないのさ」
男の言葉には力強さが宿っていた。
恐らく嘘では無い。そこには確かに裏付けされた忠誠心が垣間見えた。
「でも私兵団なんだろう?」
「ああ私兵団員だ。だから表向きは私兵団長の言うことを聞く。しかし私の心は御当主様にある。・・・・・・まぁ私兵団の中じゃそれ程位が高い訳でもないがね」
色々と複雑なのさと男は笑った。そしてこの話はもう終わりだとばかりに踵を返すと、静かに部屋を出ていく。
錠の閉まる音がして、漸くスズメは諦めて瓶の中の水を飲んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】
忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる