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第二章
本当にいい性格してんな
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スズメはまず手下達にも使ったプリムラ・オブコニカの花を投げつけてトビを怯ませようとした。皮膚がかぶれるあの植物だ。しかし投げた花々はことごとく真っ赤な炎に焼き尽くされる。
「炎を使う称号持ちか!」
「そう。俺の称号、『葬儀屋』の称号は骨まで焼き尽くす業火を生み出す力だ!」
スズメはゴールデンバレルカクタスというサボテンを壁のように一面に生やしてトビの攻撃をなんとか回避する。サボテンは八十パーセントから九十パーセント程が水分で出来ており、一度くらいならトビの攻撃を受け止めることが出来た。しかし防戦一方ではこちらが不利になる。どうにか敵の隙を作って攻撃を叩き込まなければ。
そう考えていると、隣に立っていたハークが手元で何やらカチャカチャとやり出した。小さな鉄屑が淡く光り、そこにショットガンが現れる。
「便利ですね、それ」
「『鍛冶屋』の称号。武器を作り出す力だ。ていうかお前、啖呵切った割には敵との相性めちゃくちゃ悪いじゃねぇか!」
「勝算はあります!」
スズメはサボテンを、ハークはショットガンを撃ちながら徐々に敵と距離を詰める。
「勝算って?」
「宿木ですよ」
「宿木? 他の植物みてえにすぐ焼き尽くされるんじゃねえか?」
「ならば焼かれない場所に植えればいい。この屋敷に来てからあらゆる場所に種を飛ばしておいたんです。いつでもどこにでも発芽させられるように」
ハークはスズメの顔をじっと見詰める。そして数秒後はぁっと溜め息を吐くと手榴弾を作り出し、口で栓を抜いて放り投げた。
「お前のやりたいようにやれ! 援護はしてやる!」
「はい!」
爆風に紛れ、スズメは走り出す。
床に上がる火柱を飛び越え、サボテンが焼き尽くされた時に出来る水蒸気で手に火傷を負いながらも、なんとかトビの懐に飛び込んだ。今、トビの体内には知らぬ間に吸い込んだ宿木の種が入り込んでいるはずだ。それをスズメの力で発芽させたなら。
トビの胸元に右手をあてて能力を発動させると、トビの動きが漸く止まった。
「あんたの身体の中に入った宿木の種を発芽させた。このままいくとどうなると思う?」
「な・・・・・・!?」
「内臓に直接植物が絡んで大変なことになるかもね」
「・・・・・・っ!」
息を飲む敵にもうひと押しだと声に力を入れる。
「それで? 降参する?」
スズメの琥珀色の目がトビの黒目を捉えると、悔しげに顔が歪められた。
「・・・・・・あぁ」
肯定の言葉。
暫しの沈黙の後、スズメは能力を解いた。その瞬間、トビはその場に崩れ落ちる。
「はぁっ、はぁっ」
「じゃ、取り敢えず全員逮捕ね。何やってたか洗いざらい吐いてもらうから」
念の為植物の蔓で全員を拘束して、スズメはハークの方へ向き直った。
「さぁ、支部に帰りましょう!」
「本当にいい性格してんな・・・・・・」
ほぼ一人でマフィアを一網打尽にしておきながら清々しい笑顔で言うスズメにハークは顔を引き攣らせる。
「ていうかお前なんでこんな力持ってて、悪口に反論しなかったんだよ!」
「え? 興味がないので」
「は?」
「どうでもいい人に何を言われてもどうでもいいと思いません?」
首を傾げておどけてみせると、ハークが真っ赤な顔で怒り始めた。
「何だよそれ! 可愛くねー!」
「可愛くない後輩ですみませんね」
喚く先輩にスズメはぺろりと舌を出して少し微笑んだ。
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