『庭師』の称号

うつみきいろ

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第三章

物好きな人ね。また来たの?

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『物好きな人ね。また来たの?』

 コマドリは紙に書いてハークにみせた。

「外の世界の話また聞きたいだろ?」
『・・・・・・』

 コマドリは黙りこくったまま、肯定も否定もせずに膝を抱えて座る。ハークはそれを勝手に肯定と捉えて町人に用意させたらしい椅子を手繰り寄せて座った。

 このところハークは毎日コマドリに会いに来る。外の世界がどんなところか話してくれたり、写真を見せてくれたり。時にはコマドリ自身の話を聞きたがった。

 正直に言うとコマドリは困っていた。今までがそうだったように全てのことには終わりがくる。ハークといるのは楽しい。でもこの毎日もいつか終わってしまうのだ。

 それがとても恐ろしい。更に恐ろしいのは自分がハークを傷付けないかということだ。小さなお友達のように廃人にしてしまったらどうしようとコマドリはいつも気が気ではなかった。そんなコマドリの思いも露知らず、ハークは今日も笑顔だ。両手を忙しなく動かして、コマドリの知らない世界の話を紡いでいく。

「なぁ聞いてるか?」
『え?』
「なんかぼーっとしてるからさ」

 心配そうにコマドリの顔を覗き込む新緑の目に居た堪れなさを感じて視線を逸らす。
 しかしそれだけでコマドリの不安や怯えが伝わってしまったらしい。
 ハークはふっと笑うとコマドリの両手を取った。

「大丈夫」

 その声はコマドリの心に染み入るようにどこまでも優しく響いた。まるで凪いでいた水面に花が一輪落ちて波紋を起こすように。

「お前はもう誰も傷付けたりしない。怯えなくて大丈夫だ」
『・・・・・・っ』
「信頼してついてきてほしい」

 両手を一回り大きな手で包み込まれた瞬間、コマドリが今まで見ないようにしていた感情が決壊する。涙腺がおかしくなってひとりでに涙がぼたぼたと溢れ落ちた。声を押し殺して泣くコマドリをハークが檻越しにそっと抱き締める。初めて知る人の体温。そのあたたかさにまた目頭が熱くなって、結局その日は日が落ちるまでハークのぬくもりに甘えていた。
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