ネガティブ・クリエイト〜史上最弱と呼ばれた暗殺者は世界最強であることを知らない〜

水先 冬菜

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勇者パーティーを抜けます!

きっかけ

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 女盗賊団の頭は目を覚ますと本拠地の牢の中だった。

 ご丁寧なことに口に布をまされ、手足を縄で縛られている。

 周りを見渡してみると、本拠地内にいた部下達も同様に拘束されていた。

「あ、ようやく起きたみたいだね」

 声がする方へ私が顔を向けるとそこには一人の少年らしき人影があった。

 背後を向いていて、顔は見えないが、テーブルに置かれたわずかなランプの光である程度の体格と話し声の特徴から、ある程度は予想できる。

「へぇ~…………。流石は世界的にも指折りとされる女盗賊団、"黒の茨城いばら"のボスってところかな…………。割と冷静なんだね。素直に感心するよ」

 少年はまるで背後にでも目があるかのように背を向けたままで会話を続けた。

 少年は何か楽しげに何かを手に読んでいる。

「ふむ。これはすごいね!  驚いたちゃったよ!」

 少年はわざとらしく大げさな仕草を取ると、これまたわざとらしく右手の紙の束を私に見えるように見せびらかしてくる。

 私はその紙の束を見た瞬間、まずい、と思った。

 少年が手にしている紙の束は、私達盗賊団と繋がりを持っている貴族や商人達のリスト表だ。

 いつどんな依頼を受けたのか。

 どんな相手との依頼だったのか。

 契約相手の弱みに関する重要な情報などが事細かに記されている。

 私達盗賊団に取っては生命線とも言える貴重な資料だ。

「かなりの大貴族様もお前らと関わりがあったとは…………。正直、呆れてものが言えないよ。うんうん…………」

 少年の姿が消えた。

 いや、消えたのではない。

 いつの間にか、私の正面に腕を組み、口元を三日月に歪ませて、佇んでいた。

 さも、そこに初めからいたかのように…………。

 女ボスは何とも形容しがたい少年の不気味さに段々と恐怖が込み上げ、顔を強張らせていく。

「それでな。色々と考えてみたんだ。元とはいえ、勇者パーティーの一員であったからには君達のような輩は殺すべき何だろうけど…………」

 少年はそっとしゃがみ込むと女ボスの顔を除き込むように目を合わせ----------------不敵に笑う。

「君達粒揃いで、結構可愛いからさ----------------これからずっと、可愛がってやるよ…………」

 その日を境に黒の茨城と呼ばれた盗賊団は姿を見せなくなった。

 それどころか、世界各国では、黒の茨城と繋がりがあった貴族や商人の悪事が明るみに出たがため、その多くが粛清しゅくせいされていった。

 ある国では、政変に追われ------------

 ある国では、貴族達による反乱が起き------------

 ある国では、難を逃れた商人達が魔王側に寝返ったりなど、世界は混乱の一途を辿っていった。

 その話を聞き付けた勇者一行の活躍によって、事態は沈静化していくのだが--------

 まだ彼らは知らない。

 この騒動かきっかけとなり、世界が混迷の時代を迎えていく事を----------------

 勇者一行を待ち受ける悲劇を------------
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