ハズレ勇者のメカ武装 〜役立たずと王都を追い出されたので、暇つぶしに魔王を倒す〜   試作品

水先 冬菜

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ハズレ勇者

空からの化け物

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「あ、あなたは…………!?」


 馬車を吹き飛ばしたと思しき、化け物を見て第一王女の顔が強張る。


 どうやら、第一王女はこの化け物の事を知っているらしい。


『漸く見つけた…………』


 心なしか、その化け物が邪悪に笑っているように見える。


『今日こそ、お前を殺す…………』


 その化け物が真っ直ぐに第一王女の方を指差す。


 やっぱり、狙いは第一王女様なのね。


 なら、俺は関係ないな…………。


『ついでに、そこの男も殺す…………』


「……………………」


 さいですか…………。


 世は無情。


 世知辛いねぇ…………。


「逃げるか…………」


 咄嗟に森へと入って、駆け出す俺。


 第一目標はあの王女らしいし、すぐには追って来ないだろう。


 そう踏んでいたのだが…………。


「何で俺の方に来んのっ!?」


 何故か、あの化け物は王女ではなく、俺を追って来た。


 何か、火球のようなもんを吐き出して来る。


「おいっ!!


 お前の狙いは王女の方だろっ!?


 何で、俺の方に来るんだよっ!!!」


『お前が逃げたからだ…………』


 そうですか!!


 分かり易く助かりますよ!!!!


「しゃあねえな…………。


 椿つばき


 起きてるか?」


 俺は走りながら、手の甲に描かれた《紋章》に語り掛けた。



『何でしょうか?』


 すると、その紋章から女性の声ろしきものが発せられる。



「悪いんだが、すぐに武装の展開を頼む!」


『了解致しました』


 紋章が輝き出し、俺の身を包んで行く。


 そして、光が止んだ瞬間、俺は鋼の鎧を纏い、空へと飛び立った。


 これが俺の力の一端たる-------------魔法エンジン搭載型パワードスーツ《黒椿》の姿だ。
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