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プロローグ
ボイコットの結果
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「何故来なかった!!?」
仕事を終えて、ギルドホームで同業の冒険者達と飲んでいたら…………。
昨日の脳筋剣聖シルヴィア・ドールが怒鳴り散らして、乗り込んで来た。
もちろん、向かう先は俺の所。
「何のようですか?」
「決まっている決闘の事だ!!
何故、来なかった!!
昨日、約束した筈だ!!」
「そんな約束した覚えはないですよ」
「何だと!?」
「だって、そうでしょ?
あなたが一方的に言って来ただけで、俺はいつ…………それを了承しましたか?
しませんでしたよね?」
「それは…………」
言い淀む彼女に、自然と俺の口調が説教じみたものになっていくが…………。
俺は追撃を手を止めなかった。
「大体、俺はEランク冒険者。
自慢じゃないですが、俺はスライムにやられればまず間違いなく、負ける自信がある。
そんな俺にSSSランク級の剣聖様が有無も言わせず、決闘を強要する。
それって、世界を救う勇者パーティーの一員として、恥ずかしくないんですか……?
権力を振りかざして、弱い者いじめをして…………。
楽しいんですか……?」
「ぇ…………ぅぅ…………」
「ねぇ、教えてくださいよ…………?
弱い者いじめして楽しいんですか……?
答えてくださいよ。
世界を救う勇者パーティーの一員にして、史上最強の剣聖シルヴィア・ドール様!」
「ぅぅ…………ぅぅ…………」
「そこまでにしてあげてください」
「あぁ?」
酒も入っていた所為か。
思わず、ガン付けて、声を掛けて来た奴を睨んでしまった。
そこには、あの勇者の隣で、柔和に微笑む大人びた女性が佇んでいた。
「初めまして、わたくし、勇者パーティーで聖女の職についている。
ビルへルミナ・ホークスと申します。
この度は、わたくし共の仲間が多大なご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
聖女と名乗る女性が深々と頭を下げて来る。
意外と礼儀正しいな、と思っていると…………。
「付きましては、こちらで宿の方を取らせて頂きますので、よろしければ、御同行願えないでしょうか?」
前言撤回だ。
遠回しに俺を連行して行こうとしやがる。
何て、腹黒い聖女なんだ。
「嫌に決まってんだろうが…………!」
「なら、仕方ありません。
ルヴィ、メル。
やっておしまい!!」
お前は何処ぞの悪女か!?
てか、ルヴィとメルって…………。
剣聖シルヴィアと勇者エメラルダの愛称か!?
意外に可愛らしい愛称で呼ばれてんだな…………。
「分かったぜ!!」
「大人しくしろ!!」
って、それどころじゃねぇか…………。
「ちょっ…………!?」
「捕まえた!!」
「いだい!! いだいです!!?」
「あぁ!? 誰だこいつは!?」
揉みくちゃになりながらも、剣聖が組み伏せて、掴んでいたのは俺の腕ではなく、近くにいた冒険者の男の腕だった。
「逃げられた!!」
「二人とも行きますよ! まだ、近くにいる筈です!!」
「待ちやがれ!!」
逃げられたと悟った勇者パーティー一向が慌ててギルドホームを後にして行く。
その後を追うようにして、俺は彼女達の後を付ける。
「きゃあああっ!?」
そして、ギルド近くで歩いているのを装って…………。
彼女--------聖女ビルへルミナに技とぶつかり、尻餅を着いた。
「ごめんなさい。大丈夫だった……?」
「はい。何とか…………」
聖女が心配そうに手を伸ばして来たので、その手を取って立ち上がると、お礼を言ってその場を離れた。
それが女冒険者に化けた俺だったとも知らず…………。
彼女は再び俺の捜索に戻って行く。
そんな後ろ姿を眺めていた俺は、彼女が離れて行くにつれ、自然と笑みを零した。
うまくいけば、彼女達を出し抜けるかもしれないと期待を抱いて…………。
仕事を終えて、ギルドホームで同業の冒険者達と飲んでいたら…………。
昨日の脳筋剣聖シルヴィア・ドールが怒鳴り散らして、乗り込んで来た。
もちろん、向かう先は俺の所。
「何のようですか?」
「決まっている決闘の事だ!!
何故、来なかった!!
昨日、約束した筈だ!!」
「そんな約束した覚えはないですよ」
「何だと!?」
「だって、そうでしょ?
あなたが一方的に言って来ただけで、俺はいつ…………それを了承しましたか?
しませんでしたよね?」
「それは…………」
言い淀む彼女に、自然と俺の口調が説教じみたものになっていくが…………。
俺は追撃を手を止めなかった。
「大体、俺はEランク冒険者。
自慢じゃないですが、俺はスライムにやられればまず間違いなく、負ける自信がある。
そんな俺にSSSランク級の剣聖様が有無も言わせず、決闘を強要する。
それって、世界を救う勇者パーティーの一員として、恥ずかしくないんですか……?
権力を振りかざして、弱い者いじめをして…………。
楽しいんですか……?」
「ぇ…………ぅぅ…………」
「ねぇ、教えてくださいよ…………?
弱い者いじめして楽しいんですか……?
答えてくださいよ。
世界を救う勇者パーティーの一員にして、史上最強の剣聖シルヴィア・ドール様!」
「ぅぅ…………ぅぅ…………」
「そこまでにしてあげてください」
「あぁ?」
酒も入っていた所為か。
思わず、ガン付けて、声を掛けて来た奴を睨んでしまった。
そこには、あの勇者の隣で、柔和に微笑む大人びた女性が佇んでいた。
「初めまして、わたくし、勇者パーティーで聖女の職についている。
ビルへルミナ・ホークスと申します。
この度は、わたくし共の仲間が多大なご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
聖女と名乗る女性が深々と頭を下げて来る。
意外と礼儀正しいな、と思っていると…………。
「付きましては、こちらで宿の方を取らせて頂きますので、よろしければ、御同行願えないでしょうか?」
前言撤回だ。
遠回しに俺を連行して行こうとしやがる。
何て、腹黒い聖女なんだ。
「嫌に決まってんだろうが…………!」
「なら、仕方ありません。
ルヴィ、メル。
やっておしまい!!」
お前は何処ぞの悪女か!?
てか、ルヴィとメルって…………。
剣聖シルヴィアと勇者エメラルダの愛称か!?
意外に可愛らしい愛称で呼ばれてんだな…………。
「分かったぜ!!」
「大人しくしろ!!」
って、それどころじゃねぇか…………。
「ちょっ…………!?」
「捕まえた!!」
「いだい!! いだいです!!?」
「あぁ!? 誰だこいつは!?」
揉みくちゃになりながらも、剣聖が組み伏せて、掴んでいたのは俺の腕ではなく、近くにいた冒険者の男の腕だった。
「逃げられた!!」
「二人とも行きますよ! まだ、近くにいる筈です!!」
「待ちやがれ!!」
逃げられたと悟った勇者パーティー一向が慌ててギルドホームを後にして行く。
その後を追うようにして、俺は彼女達の後を付ける。
「きゃあああっ!?」
そして、ギルド近くで歩いているのを装って…………。
彼女--------聖女ビルへルミナに技とぶつかり、尻餅を着いた。
「ごめんなさい。大丈夫だった……?」
「はい。何とか…………」
聖女が心配そうに手を伸ばして来たので、その手を取って立ち上がると、お礼を言ってその場を離れた。
それが女冒険者に化けた俺だったとも知らず…………。
彼女は再び俺の捜索に戻って行く。
そんな後ろ姿を眺めていた俺は、彼女が離れて行くにつれ、自然と笑みを零した。
うまくいけば、彼女達を出し抜けるかもしれないと期待を抱いて…………。
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