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第二章 水の都市の大罪

連行されました

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 どうしてこうなった……?

 もう一度、振り返ろう。

 ギルドのクエストを受けて、偶然、水蛇と遭遇。

 《神電》の新装備のテストがてら、水蛇を倒して、素材を回収しようとしたら、あのストーカー聖女に会って…………。

 何故か、その聖女が率いる騎士達に捕縛され、簀巻きにされたまま、馬車に揺られ、都に向かっていた。


(……………………何故に……?)

 そりゃあ、俺は勇者パーティーの連中に追い掛け回されていたが、それだけで、何で犯罪者みたく連行されなきゃならん!!

 そんでもって、何で、俺が乗っている馬車に、このストーカーが乗っているんだ?

「今日は随分と静かなのね」

「果てさて、何の事か私には分かりかねますがね?

 何の罪もない一冒険者を不法に拘束して、連行している聖女様?」

「否定はしないわよ」

 澄ました顔しやがって…………。

 それにしても、何で、聖女がこんな所にいるんだ……?

 あの隣町で、あの悪魔共の掃討をしている筈なんだが…………。

 というか、そもそも、何処に向かってるんだ?


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 それから、数分が経ち------------

 
 余計に訳が分からなくなった。


 俺が連れて来られたのは、都でも、一番有名な神殿だった。

 そこの応接間に通され、拘束を解かれるや否や、今度は豪勢な料理を出され、美女や美少女達に囲まれながら、接待を受け、歓迎されていた。

 人を攫っておいて、何がしたいんだ……?

 あのストーカー聖女。

「お待たせ…………」

 待ってねぇよ!

「あら? お気に召さなかった?」

「見れば分かると思うが……?」

 俺はここに通されてから、一切、料理には手を付けず、俺を囲んでいた女共に至っては俺がひと睨みしたら、怖がって、部屋の隅で固まって、怯えて切っていた。

「それは、ごめんなさいね」

 聖女は無言で、女共に出ていくように相槌を送る。

 それに合わせて、女達は部屋を出て行った。

「それでね。あなたにどうしてもお願いしたい事がある------------」

「断る! んじゃ、そういう事で…………」

 聖女は俺の前に座ると、本題を切り出す前に、拒絶して部屋を出て行こうとする。

「まあまあ、そう言わずに…………」

 だが、聖女も強引に俺の腕に抱き付いて、引き留めようとする。

「断ると言った」

 しかし、俺も聞く耳など持つ訳がない。

 聖女を振り払って、部屋を出て行く。

 それから、何度も、しつこいくらいに邪魔して来る聖女。

 最終的に、俺の前に立ち塞がり、道を塞いで来たので、殴って撃退したら…………。

「貴様! 聖女様になんたる事を!!」

「皆の者! そこの無礼者を捕えよ!!」

 神殿の警護をしていた騎士達が、殺気立った騎士達が向かって来た。

 ああっ!!

 もう面倒くせええええなああああっ!!!?
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