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【6】少女、終わりました。
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先輩と俺は俺が大学3年の頃に付き合い始めて、先輩が就職した歳に席を入れた。最初は冗談で「結婚してくれ」と言っていたのが本気になっていたのはいつからか俺は知らず、最後に「結婚してくれ」と言ったのは先輩ではなく俺だった。学生の間に結婚する事になるなんて思っても見なかったけど、二人で暮らし始めると何となくその生活は心地よく、何事も上手く回っているような気がした。朝起きれば先輩の笑顔がそこにあって、夜寝る時には先輩のくたびれた顔を撫でられる。互いの人生に取って掛け替えの無い存在になっていくというのはこういう事なのかと、柄にも無く新婚生活に呆けていた。けれど2人だけの時間を得た一方、三人で過ごす時間も大切にしていた。“もし二人がプロポーズして来たらどちらを選ぶか”なんて冗談も飛ばして、大抵振られるのは俺の方だった。でも、それはそれで心地よい空間だったんだ。
俺と先輩、そして荒太。
収まるべき所に互いを収め合い、三人で初めてその関係が成り立っていた。
誰かが欠けるだなんて事、想像すらしてなかった。これからもずっと三人で笑い合い、時にはぶつかって過ごして行くんだと思っていた。そして必ず俺の隣には彼女がいるのだと――。
なのに、なのに先輩は逝ってしまった。荒太とともに俺の世界から消えて行ってしまった。訪れたのは言いようも無い喪失感と、当たり前にそこにあった物が無くなってしまった戸惑い。
朝起きても隣には誰もいない、家の中を探してもその姿は見つからない。何かが上手く行かなかったとき愚痴をこぼす姿も、疲れ果てて帰って来る姿も見る事が出来無くなってしまった。
日に日に掃除や洗濯の回数が減って行く――。
片付いていた部屋の中は荒れ果て、部屋の中は散らかり放題だった。
広く、冷たい部屋を前に先輩と出会う前に戻ったなんて、そんな風には考えられなかった。
先輩がいない、先輩の姿が何処にも無い。
その事が辛く、悲しく、どうしようもない現実に一度押しつぶされそうになった。
何度もその命を絶とうと思った。何度もあの日の事を悔やんだ。
それでも尚、それでも俺が今日まで生き続けられたのはきっと――、
「起きてるか、荒太」
コイツが、いつか戻ってくると何処かで信じていたからなのだろう。
「少し付き合え」
先輩のいなくなった世界でも、もしかしたら、コイツと二人なら、先輩の抜けたこの世界でも先輩を感じられると思っていたのかもしれない。
俺たちはきっと、誰よりもあの人の事を大切に思い、その毎日を過ごして来たハズだから。
ベットの上で半身を起こしていた荒太は静かにこちらを振り向き、静かに「わかった」と呟くと微笑む。窓から差し込む日差しが何となく部室の窓から見えた景色に重なり、浮かんだ景色を無理矢理押し込めた。
俺と先輩、そして荒太。
収まるべき所に互いを収め合い、三人で初めてその関係が成り立っていた。
誰かが欠けるだなんて事、想像すらしてなかった。これからもずっと三人で笑い合い、時にはぶつかって過ごして行くんだと思っていた。そして必ず俺の隣には彼女がいるのだと――。
なのに、なのに先輩は逝ってしまった。荒太とともに俺の世界から消えて行ってしまった。訪れたのは言いようも無い喪失感と、当たり前にそこにあった物が無くなってしまった戸惑い。
朝起きても隣には誰もいない、家の中を探してもその姿は見つからない。何かが上手く行かなかったとき愚痴をこぼす姿も、疲れ果てて帰って来る姿も見る事が出来無くなってしまった。
日に日に掃除や洗濯の回数が減って行く――。
片付いていた部屋の中は荒れ果て、部屋の中は散らかり放題だった。
広く、冷たい部屋を前に先輩と出会う前に戻ったなんて、そんな風には考えられなかった。
先輩がいない、先輩の姿が何処にも無い。
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何度もその命を絶とうと思った。何度もあの日の事を悔やんだ。
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コイツが、いつか戻ってくると何処かで信じていたからなのだろう。
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俺たちはきっと、誰よりもあの人の事を大切に思い、その毎日を過ごして来たハズだから。
ベットの上で半身を起こしていた荒太は静かにこちらを振り向き、静かに「わかった」と呟くと微笑む。窓から差し込む日差しが何となく部室の窓から見えた景色に重なり、浮かんだ景色を無理矢理押し込めた。
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