幸せを噛みしめて

ゆう

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新しい世界

生徒会2

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 生徒会にお試しで一週間入った事を一応秋人に連絡すると、アイツらからは離れられないんだろうなって笑われた。
 噂の事もあるし、人気のある生徒会メンバーとさらに接点を持つことになるから気を付けろって心配された。
 なにかあればすぐ秋人に連絡するって言ってその場は電話を切った。
 
 
 次の日の放課後、一目を避けて生徒会室に向かった。
 基本的に全員の雑用だが、渚の手伝いがメインだ。
 
「この資料変換ミスしてる」
「頼まれた資料のコピー終わったし、ホッチキスも終わった」
「会長、理事長からサインもらってきたぞ」
 




 
「ゆきちゃんゆきちゃんー疲れたー!休憩しよ」
 
「しょうがないなぁ、コーヒー淹れるよ」
 
 最初にそう言ったのは渚。
 本当に雑用が多くて困る。生徒会って忙しいんだな。
 この人数では確かに猫の手も借りたくなるのは納得だ。
 まぁ俺も放課後暇つぶしが出来たし、息子達も頑張ってるんだなーと思うと嬉しくて頑張っている。

 
「僕ミルクと砂糖~」

「ハイハイ」

「ゆきちゃんブラックなの?その顔で?」

「その顔では余計」
 
 
 他の皆にもコーヒーをだして、俺と渚はソファで休憩を挟む。
 
「なぁ渚。一年生交流会のダンスってなんだ?」

「ん?ああ、社交ダンスの事だよ。一年生が二年と三年でペア組んで踊るの」

「社交ダンス!?」

「まぁ親交深めましょ~って感じの軽いイベントだから」
 
 ペアは一年生が二年生から一人、三年生から一人選ぶらしい。
 そして前半と後半で二回踊るみたいだ。
 ここは一貫校だから、お世話になった先輩や仲のいい先輩に頼むのが一般的らしいが、俺は編入してきたばかりで知り合いもいない。
 それに社交ダンスって言われても、おぼっちゃま達からしたら普通なのかもしれないが、ダンスのダの字も触れてきた事ない俺はただ頭を抱えるだけだった。
(さぼりてぇ…)
 二三年生は自由参加らしいが、もちろん一年は強制参加と言う事だ。
(嫌だけど、秋人に社交ダンスならうか…。それよりもペア見つけるのが…)
 
「雪ちゃん友達居なさそうだし、俺が一緒に踊ってあげようか?」
 
 そう切り出したのは圭だった。
 圭も休憩する言ってと、俺の横に座りだす。
 
「友達居なさそうは余計です」
 
「でも本当の事だろ?」
 
 誰のせいだ誰の。
 そう言ってみたが、本当にいないので、背に腹は代えられないと思いお願いすることにする。
 
「俺、全然踊れないと思いますけど本当にいいんですか?」

「俺が上手いから大丈夫♪」
 
 その自信が羨ましいと思いながら、とりあえず三年生の枠は埋まったので、後は二年生を一人探すことになる。
 この件は今資料が仕上がったところで正式には募集を開始していない。
 そんなに焦る必要はないが、二週間後に開催されるので、俺からしたら時間がないなと思った。
 
 
「それでゆきちゃんは理事長と圭とどこまで進んでるの?」
 
「んぶっ…!?」
 
 あ、あぶない。コーヒーを渚の顔にぶちまけるところだった。
 突然脈略もなく何を言い出すんだ。
 
「ごほっ、ど、どこまでも…進んでないよ。二人とはなんでもないし…」
 
「え~もっと女子トークみたいな盛り上がる事ないの?」
 
「なんでもないはひどくない?」
 
「圭先輩は黙っててください」
 
 女子トークってなんだそれ。
 ここは男子ばかりの学園だ、花のある話なんてないぞ!
 
「秋人理事長って30過ぎても独身でしょ~、モテるのに、結婚しないし」
 
「し、知らないよ。独身貴族楽しんでんじゃない?」
 
 小さい時からお世話になっているらしく、秋人との事が気になるらしい。
 俺としてはこの学園生活も平凡に生きたいので、できれば関わりたくはないのだが。
 
「よ、よし!休憩終了!残り時間も頑張りましょう!」

「あ、話すり替えた~」
 



 
 
「時間だ。今日はここまで。明日もよろしく」

「はーい」
 
 会長の言葉で生徒会の仕事は終了。
 ちょっと秋人の所にいって、ダンスのお願いしようかなーなんて思っていると背後からガシッと肩を抱かれる。
 
「ひっ、あ、け…圭先輩か…」
 
「そんな露骨にビビられたら傷ついちゃうなぁ」
 
「あ、すみません…」
 
 俺は電車とかでセクハラによく合っていたから、背後から突然触られると条件反射で反応してしまうのでそこは許されたい。
 
「雪ちゃん今日夜暇~?」
 
「いえ、暇ではありません」
 
「ん~、雪ちゃんガード固い~。俺から誘ったらみんな喜んでついてきてくれるのにね」
 
「今圭先輩は俺の中で要注意人物に入ってるので」
 
「えぇ~なにそれ」
 
 俺は貞操を守り抜くと決めたのだ。すまんな圭。
 けらけらと笑う圭は本当に本気なのか、冗談なのか分からない。
 遊びすぎて誰かに背後から刺されないようになと心の中で圭に注意勧告しておいた。
 
「じゃあさ、ゆきちゃん今日俺と夕飯一緒たべよう?」
 
 と夕食を誘ってくる渚。
 
「それもお断りします」
 
 夕飯は人の少ない時間を狙って、受付終了の少し前に学食に足を運んでいる。
 遅くまで練習に励んだ運動部くらいしかいない学食は騒がしくなくていいのだ。
 渚と食べた日にはファンクラブとやらが煩そうだし、いじめがヒートアップしても困るしな。
 
「圭、渚、あまり人を困らせるな」
 
「「はーい」」
 
 ざんねーんと二人は先に生徒会室を出た。
 長男であった直人の言う事は素直にみんな聞き入れるようだ。
 
「雑用助かった、明日も頼む」
 
 その一言で直人も生徒会室を後にした。
 うーん、流石直人、大人だ。
 と感心する。
 ヘッドホンを付けて、修斗は特に何も言わずに出ていった。
 
「鍵閉めて帰るので、早く出ていって下さい」
 
「あ、すみません」
 
 祐希は相変わらず表情筋が動かない。
 俺も急いでカバンをもって生徒会室を後にした。
 
 


「と、言うわけであと二週間社交ダンスの練習に付き合ってくれない?」
 
「終わったらご褒美」
 
「うっ…えっちな事じゃなければ…」
 
「………………。キスで妥協するか…」
 

 今の長い間はなんだ。
 秋人は俺のキスと引き換えに放課後社交ダンスの練習を手伝ってくれる事になった。
(とりあえず足引っ張らない程度には頑張らなきゃ…)
 
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