幸せを噛みしめて

ゆう

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新しい世界

体育祭とお弁当2

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「ゆきちゃんおまたせ~~ってあれ、秋人さんもいる!」
 
「おー、頑張ってきたか?」
 
「もっちろん!勝ち進んでるよ♪」
 
 お昼の時間になると試合が終わった順に生徒会メンバーが集まる。
 せっかく集まるなら全員でと思っていたし、秋人も休みが少しでも取れて良かった。皆も秋人を慕っていて嬉しそうに話していた。
 お手伝いさんが重箱や飲み物をもってきてくれて、まさしく運動会のお昼の図が出来た。
 
「わ~~これこれ!これやってみたかったんだ~!」
 
 と渚が目を輝かせて嬉しそうでよかった。
 他のメンバーもなんだか新鮮なものをみるような表情で広げた重箱を見ていた。
 
「じゃあいただきまーす」

 俺の掛け声でみんなも箸をとり、重箱へと手を伸ばす。
 
 みんなの好きなものは入れておいた。
 好みが変わってなければだが。
 あとは定番のおかずにした。
 
「ねぇねぇ!このくまのおにぎり可愛い!」

「渚の為に作ってみたよ」
 
 いわゆるキャラ弁と言う要素も入れてみた。渚は絶対喜んでくれると思ったので良かった。
 
「…なんか懐かしい味がする…」
 
 圭が小さく呟いた。
 祐希もやっぱりミートボールが好きなようでぱくぱくと食べている。
 みんなの箸が止まる事なく進んでいたので、お弁当作りは成功のようだ。
 秋人も嬉しそうだし。
 
 まさか生まれ変わって、元気にみんなでこうしてご飯を囲む事が出来るなんて夢にも思わなかった。
 俺はこの時間の大切さを噛みしめた。
 
 
「お弁当…美味しかったです…こういうのも悪くないですね…」
 
 祐希が褒めてくれた…かなり嬉しい。
 祐希はあんまり話しかけてくれないので、今日の事ももしかしたら付き合いだったかな~と思っていたのでほっとした。
 他の皆もそれぞれ感謝の言葉を言ってくれて、思わず目頭が熱くなる。
 プロ職人が作るのも美味しいが、家庭の味はいいぞ!
 

 穏やかな時間もあっという間に過ぎて、皆それぞれ次の試合の準備時間になった。
 みんなを送り出して、お弁当などを片づけると俺は洗い物をすべく調理室へ向かった。
 秋人は先に皆の試合を見てくると言っていたので、秋人ともそこで別れた。
 
 
 片づけが終わって、体育館は人がいっぱいなので、俺はグラウンドに向かった。

(わー、渚頑張ってる)

 サッカーを選んだ渚は相手を軽々抜いてゴールを決めていた。
  その姿はまるで少女漫画に出てくるヒーローだ。

 俺をみつけて手を振る渚にひらひらと手を振り返すと、最前列を陣取ってみていたファンクラブの人達に一斉に振り向かれたのでそそくさと退散した。

(あー怖い怖い)

 体育館の方は、第一体育館と第二体育館と分かれていて、片方がバスケ、片方はバレーの試合が行われている。
 バスケの方は生徒会メンバー四人がいるせいか人がいっぱいだが、バレー側の体育館は明らかに人が少ない。
 バレー側の掲示板にトーナメント表が貼ってあり、確認してみると現在どこも準決勝を行っているようだった。
 直人と圭、祐希と修斗のクラスも順調に勝ち上がっていて、やはり予想通りバスケの決勝戦はこの二チームが戦う事になるだろう。
 
「雪、決勝戦見るなら二階で見ようか」
 
「あ、あき…理事長いたのか…」
 
 皆試合に集中していて周りに人が居ないとはいえ、一応理事長呼びに変える。
 
「一階は人が多いが、二階は比較的人が少ないぞ」
 
 そう言われたので、俺は秋人の後をついていく。
 二階でも観戦出来るのか。
 入口からすぐの所に階段があって、すぐ二階に上がれた。
 上からだと試合全体が見れていい感じだ。
 でもきっとみんな近くで見たいのだろう。一階の方が人が多く、上はまばらだった。バスケなんか特に一階で見た方が臨場感があり、人気なのだろう。
  手すりに手をかけて、下を覗く。
 少し中心から離れているが、比較的空いてる所から見ることにした。
 人混みは苦手だし、あまり近くにいるといろんな視線が痛そうなので、俺は秋人とは距離を離して観戦する事にした。
 勿論秋人もそれを理解していて、特に何も言って来なかった。

 (あ、準決勝も終わった…)
 
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