僕の考えた最強ホラー

からし

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カノコさんは4階にいる

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俺の通っていた高校には、ある都市伝説があった。

「カノコさん」という女が、夜の校舎に現れる。
彼女は4階に“いる”が、校舎には4階がない。

構造上は3階建てなのに、深夜0時を過ぎると、
階段の先に“もう一段、上”が現れるらしい。

当時はみんな、笑いながらその話を肴にしてた。
「じゃあ今度、肝試しで行ってみようぜ!」なんて盛り上がって。

そして、夏休みのある夜、俺たちは集まった。
男女5人。鍵は教師の一人からこっそり借りた。

午後11時57分。
時計のアラームが鳴ると同時に、3階の階段の先に――影が差していた。

最初に「上った」のは、リーダー格の優斗だった。

「マジで、あるぞ……階段」

彼が1段、また1段と昇るたびに、影が濃くなっていった。
そして“その時”、彼がぽつりと呟いた。

「……あ、上に……誰か、いる」

その言葉を最後に、彼の姿は見えなくなった。
階段も、上の階も、まるで最初から存在していなかったかのように“消えた”。

その後、学校内で奇妙なことが起きはじめた。

・3階の教室で、誰もいないのに椅子の音がする
・誰かが階段を「上から」降りてくる気配がする
・夜の清掃中、先生が“4階の鍵”を拾ったと騒ぎになった

でも、俺たちは言えなかった。
「自分たちが、優斗を連れていってしまった」なんて。

ある日、ネット掲示板にその都市伝説が投稿された。
「4階に行った奴がいなくなった」という噂が、拡散され始めた。

でも、俺には分かっていた。
誰かが、意図的にそれを“広めていた”。

IDを調べていくと、発信元のひとつに見覚えがあった。
……優斗のメールアドレス。

今、深夜0時。
スマホに通知が届いた。

【カノコさんからメッセージが届きました】
「あなたの番だよ。4階で、待ってるね」

部屋の外から、階段を上がる音がする。
――ここ、俺のマンションは3階建てなんだけど。

……カノコさんって、どこにでも来れるんだな。
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