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そこに夕食の準備が出来たとリリーが扉の外から声を掛けて来た。
「続きは夕食後にしましょうか」
立ち上がったユリアの腰にレオンハルトが抱きついた。
「愛人なんかいない。信じてくれてるのか?」
ユリアは含み笑いをした。レオンハルトがユリアにすがるなんて、なんて愉快なこと。記憶を無くす前のユリアだったらどう思うだろう?喜んで手を差し伸べる?レオンハルトの幸せを優先したユリアだったら、どうぞ好きな方と幸せになってとか言いそうよね。馬鹿らしい。自分が幸せになるための努力でなく、レオンハルトが幸せになる努力してきたユリア。今の私はユリアが愛してたこのレオンハルトを檻に入れてやるつもりよ。
「信じたいわ。あなたが信じさせてくれるなら努力する」
「もう間違いたくないんだ」
ユリアはレオンハルトに微笑みかけて、レオンハルトの手を引いた。
「夕食に行きましょう。待たせたら悪いわ」
レオンハルトは引かれたユリアの手をそのまま握り込んで手を繋いだ。
それを歩きながら見たユリアは手を繋ぐなど子供の頃それも出会った最初の頃だけだろうと思った。何かと触れて来るのはどう言うつもりなのだろうか。既に身体の関係になったから?そんな風に思いながら歩いていくと食堂の扉の前で立っていたノンナが驚きに目を見張った。それでも使用人だから言葉をかけることなく食事のサーブに向かった。
「ノンナ帰って来たのか」
「エーレンフェストのお兄様が寄越して下さったのよ。もう帰れなんて言わないわよね?」
「今更だね。ノンナが居ればユリアも困らないだろう」
食事を取る間もレオンハルトはユリアから目を離さなかった。
「そんなに見られたら食事が喉を通らないわ」
「ご ごめん ユリアが一緒にいるなんてと思って」
「ノンナ 食事が終わったら教えて欲しいことがあるので、部屋にお茶の支度してきてくれる?」
「はい お嬢様」
食事が終わって自室に戻る途中に
「ノンナにとってユリアはまだお嬢様なんだね」
ポツリとレオンハルトが言った。
ユリアは答えなかった。二人で自室に戻りソファに座ったところにノンナが入室を願ってワゴンを押して入って来た。ノンナが慣れて手つきでハーブティーを入れて行く。
「お嬢様のお好みのブレンドを王都の店で買ってこないといけないですね」
「今度王都に戻ったら、持って来るよ。何番が好きなんだい?」
ノンナがちらりとレオンハルトを見た。能面のような顔をして
「お嬢様は5番のブレンドが一番お好きです。公爵様はご存知ないのですね」
と皮肉を言った。
「ユリアとは手紙のやり取りをしていたけれど、ユリアは自分の希望を私が聞いても教えてくれない。自分が何を好んで何をしたいのか」
ノンナは何かいいたげだったが、ユリアの方を向いて
「お嬢様のお話とは?」
「私達が王都に出てきた理由なのだけれど、離婚承諾書をレオンハルトに渡すためだけ?舞踏会を見た覚えがあるのよ」
「続きは夕食後にしましょうか」
立ち上がったユリアの腰にレオンハルトが抱きついた。
「愛人なんかいない。信じてくれてるのか?」
ユリアは含み笑いをした。レオンハルトがユリアにすがるなんて、なんて愉快なこと。記憶を無くす前のユリアだったらどう思うだろう?喜んで手を差し伸べる?レオンハルトの幸せを優先したユリアだったら、どうぞ好きな方と幸せになってとか言いそうよね。馬鹿らしい。自分が幸せになるための努力でなく、レオンハルトが幸せになる努力してきたユリア。今の私はユリアが愛してたこのレオンハルトを檻に入れてやるつもりよ。
「信じたいわ。あなたが信じさせてくれるなら努力する」
「もう間違いたくないんだ」
ユリアはレオンハルトに微笑みかけて、レオンハルトの手を引いた。
「夕食に行きましょう。待たせたら悪いわ」
レオンハルトは引かれたユリアの手をそのまま握り込んで手を繋いだ。
それを歩きながら見たユリアは手を繋ぐなど子供の頃それも出会った最初の頃だけだろうと思った。何かと触れて来るのはどう言うつもりなのだろうか。既に身体の関係になったから?そんな風に思いながら歩いていくと食堂の扉の前で立っていたノンナが驚きに目を見張った。それでも使用人だから言葉をかけることなく食事のサーブに向かった。
「ノンナ帰って来たのか」
「エーレンフェストのお兄様が寄越して下さったのよ。もう帰れなんて言わないわよね?」
「今更だね。ノンナが居ればユリアも困らないだろう」
食事を取る間もレオンハルトはユリアから目を離さなかった。
「そんなに見られたら食事が喉を通らないわ」
「ご ごめん ユリアが一緒にいるなんてと思って」
「ノンナ 食事が終わったら教えて欲しいことがあるので、部屋にお茶の支度してきてくれる?」
「はい お嬢様」
食事が終わって自室に戻る途中に
「ノンナにとってユリアはまだお嬢様なんだね」
ポツリとレオンハルトが言った。
ユリアは答えなかった。二人で自室に戻りソファに座ったところにノンナが入室を願ってワゴンを押して入って来た。ノンナが慣れて手つきでハーブティーを入れて行く。
「お嬢様のお好みのブレンドを王都の店で買ってこないといけないですね」
「今度王都に戻ったら、持って来るよ。何番が好きなんだい?」
ノンナがちらりとレオンハルトを見た。能面のような顔をして
「お嬢様は5番のブレンドが一番お好きです。公爵様はご存知ないのですね」
と皮肉を言った。
「ユリアとは手紙のやり取りをしていたけれど、ユリアは自分の希望を私が聞いても教えてくれない。自分が何を好んで何をしたいのか」
ノンナは何かいいたげだったが、ユリアの方を向いて
「お嬢様のお話とは?」
「私達が王都に出てきた理由なのだけれど、離婚承諾書をレオンハルトに渡すためだけ?舞踏会を見た覚えがあるのよ」
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