36 / 50
36
しおりを挟む
その後もレオンハルトと使用人達の戦いは続いた。執事のマルコがレオンハルトを客間に案内しようとしたのを、夫婦の寝室にとレオンハルトが強く主張したのだ。マルコは動揺もせず、大人しく主寝室に案内しながら
「こちらのお邸は奥様と旦那様の私室の間にご夫婦の寝室がございます。旦那様の私室にご案内いたします」
と言ってその部屋に通した。ユリアも自分の部屋と言われた部屋に通されて、幼い頃から来ていた邸なのにやはり見覚えがないとがっかりした。その時にいきなり扉が音を立てて開きレオンハルトが飛び込んで来た。
「公爵様 どうされましたか?お部屋に何か不備がございましたか?」
ノンナはそう言って、マルコを呼びに行こうとした。
「なぜ 私室と夫婦の寝室の間の中扉の鍵が掛かっているんだ!」
レオンハルトが大きな声を出して、こちらの部屋の中扉のドアノブに手を掛けた。
「開かない」
愕然としたレオンハルトの言葉を聞いて、ノンナがレオンハルトに言った。
「今までご夫妻の寝室は使われた事ありませんので、中扉の鍵はずっと掛かったままです」
それを聞いたレオンハルトは自分のして来た事を今更ながら思い出したのだろう恥ずかしげに
「中扉の鍵をマルコからもらって来てくれ」
と言った。ノンナはそれに従わずにユリアに向かって
「お嬢様はそれでよろしいのですか?」
と訊ねた。レオンハルトまですがる様にユリアを見た。
「ええ ノンナ 悪いけれど、鍵をもらって来て」
それを聞いてびっくりするほどレオンハルトの顔が緩んだのだ。ノンナは恐ろしいものを見た様に後退って部屋を出て行った。レオンハルトはユリアが座ってる三人掛けのソファの対面でなく、隣に座った。
「ありがとう。てっきり鍵を掛けたままでと言われると思った」
あらあら自覚があるのね。ノンナはきっと心の中でレオンハルトを罵倒しているのだろうなと思った。それでもユリアはレオンハルトを逃すわけにはいかないので
「だって今更でしょう?もう実質夫婦ですし。それともレオンハルトはまだどこかに愛人や恋人隠しているの?」
と言ってやった。レオンハルトはちょっと傷ついた様に頭を下げて
「いい加減信用して」
と呟いた。執事のマルコが鍵を持って入室してきた。
「お嬢様 本当によろしいのですか」
と念を押して来た。ユリアはしっかりとマルコの目を見て
「本当にいいのよ。これは軽はずみに決めたことじゃないから。レオンハルトとやり直すの」
ユリアがそう言うとマルコはそっと息を吐き出した。
「使用人達はお嬢様の意向に逆らうわけにいきません。それでは鍵でございます」
と同じ鍵を一つずつレオンハルトとユリアに渡した。
「こちらのお邸は奥様と旦那様の私室の間にご夫婦の寝室がございます。旦那様の私室にご案内いたします」
と言ってその部屋に通した。ユリアも自分の部屋と言われた部屋に通されて、幼い頃から来ていた邸なのにやはり見覚えがないとがっかりした。その時にいきなり扉が音を立てて開きレオンハルトが飛び込んで来た。
「公爵様 どうされましたか?お部屋に何か不備がございましたか?」
ノンナはそう言って、マルコを呼びに行こうとした。
「なぜ 私室と夫婦の寝室の間の中扉の鍵が掛かっているんだ!」
レオンハルトが大きな声を出して、こちらの部屋の中扉のドアノブに手を掛けた。
「開かない」
愕然としたレオンハルトの言葉を聞いて、ノンナがレオンハルトに言った。
「今までご夫妻の寝室は使われた事ありませんので、中扉の鍵はずっと掛かったままです」
それを聞いたレオンハルトは自分のして来た事を今更ながら思い出したのだろう恥ずかしげに
「中扉の鍵をマルコからもらって来てくれ」
と言った。ノンナはそれに従わずにユリアに向かって
「お嬢様はそれでよろしいのですか?」
と訊ねた。レオンハルトまですがる様にユリアを見た。
「ええ ノンナ 悪いけれど、鍵をもらって来て」
それを聞いてびっくりするほどレオンハルトの顔が緩んだのだ。ノンナは恐ろしいものを見た様に後退って部屋を出て行った。レオンハルトはユリアが座ってる三人掛けのソファの対面でなく、隣に座った。
「ありがとう。てっきり鍵を掛けたままでと言われると思った」
あらあら自覚があるのね。ノンナはきっと心の中でレオンハルトを罵倒しているのだろうなと思った。それでもユリアはレオンハルトを逃すわけにはいかないので
「だって今更でしょう?もう実質夫婦ですし。それともレオンハルトはまだどこかに愛人や恋人隠しているの?」
と言ってやった。レオンハルトはちょっと傷ついた様に頭を下げて
「いい加減信用して」
と呟いた。執事のマルコが鍵を持って入室してきた。
「お嬢様 本当によろしいのですか」
と念を押して来た。ユリアはしっかりとマルコの目を見て
「本当にいいのよ。これは軽はずみに決めたことじゃないから。レオンハルトとやり直すの」
ユリアがそう言うとマルコはそっと息を吐き出した。
「使用人達はお嬢様の意向に逆らうわけにいきません。それでは鍵でございます」
と同じ鍵を一つずつレオンハルトとユリアに渡した。
0
あなたにおすすめの小説
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる