忘却の檻 〜あなたは誰〜

ぐう

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 晩餐を二人で済ませたその夜、二人は夫婦の寝室にいた。レオンハルトとユリアは事後の気だるさの中にいた。レオンハルトはユリアの豊満な乳房に顔を埋めていた。ふと顔を上げて

「さっきマルコに言った私とやり直すと言う言葉を信じていい?」

 と言った。ユリアは黙って半身を起こし、レオンハルトに脱がされた寝間着を片手で引き寄せたが、レオンハルトに取り上げられた。

「どっち?」

 そう言いながらユリアをまたベッドに押し倒した。ユリアは大人しく自分の上に覆い被さって来るレオンハルトの重さを引き受けた。

「私はもうあなたを盲目的に愛していたユリアじゃないわ。これからあなたが私を裏切れば復讐もする。あなたを心底信用もしてないわ。そんな女と一緒にいられる?」

 ユリアは自分の唇に己の唇を近づけて来るレオンハルトに言った。

「信用はしてもらえなくても仕方がない。自分のして来た事があまりにもクズすぎる。でも何も言わないでいなくなられるより、こうやってはっきり復讐すると言われた方がいい」

「あなたは昔も今も女性に人気だわ。私に嘘を吹き込んだ伯爵令嬢の様な女はきっとこれからも出てくる。そう言う女に引っ掛かって離縁だ第二夫人だと言い始めたら、黙ってはいないわ。夫の愛妾を認めることが貴族の夫人の嗜みとしても見逃さないわよ。いいの?」

「もうクズの行いは懲りているし、女性に対する用心が足りないのも身に染みた」

 ユリアはくすくす笑いながら

「じゃあ 契約書作って。あなたが不倫して私を蔑ろにしたら、公爵家の私の事業によってもたらした利益全て私が持って離縁すると」

 口付けをしようとしたレオンハルトは場所をそらし、顔を再びユリアの乳房に埋めた。くぐもった声で

「ユリアが私の側からいなくならなければなんでもいい。なんにでもサインする」

 と言ったら、ユリアがその美しい金髪を引っ張って顔を上げさせた。

「痛いなぁ。ユリア 乱暴だよ」

「何おっしゃってるの。契約書はきちんと隅から隅まで読んで調べてサインして下さい。騙されたらどうするのですか」

「君になら騙されたい」

 ユリアは起き上がって今度はガウンを引き寄せて着た。そしてベッドの上で裸のレオンハルトに向き直った。

「私が記憶を無くしてからおかしいですわよ。この結婚はユリアはあなたに愛があってもあなたは渋々だった金のためだったとみんなが証言してるのですけれど」

 レオンハルトも自分のガウンを引き寄せて着て、ベッドを降りて側のソファにユリアを引き寄せて座らせた。

「急ではないよ。母が亡くなって葬儀に領地に行ったときに君に膝まづいて許しを請うた。でも君は三年間商会を盛り立ててくれて女性と問題を起こさなかったら考えると言ったんだ」

 そうかそれなのに伯爵令嬢の問題が起きてすぐ離縁する様にユリアは動いたのか……
 自分が不利益になる様に。は!馬鹿らしい事。では先程の契約書は作ってサインさせるわ。
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