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しおりを挟むそして、今日はとうとう王宮舞踏会。主催は国王夫妻だ。
ノンナやエーレンフェスト家から付いてきた侍女達は朝から大わらわでユリアを磨き立てた。
「おじょ…奥様。毎日ハーブ香油でお手入れしている甲斐がありましたわ。この光沢、指で持ち上げるとさらさらと細やかに落ちていく髪。うっとりですわ」
ノンナがそう言うと、近くの他の侍女もほうとため息をついた。
「本当に、ノンナの言うとおりですわ。それにお肌もつやつやでしっとりなこと。私達も奥様から頂いている香油できれいにしませんと」
「あら、元が奥様と違うから、私達は上手くいくかしら」
と言いながら笑い合う。
「あら、私って平凡ですもの。あなた方の方がきれいよ」
ユリアが後ろを振り返って言うと、侍女達は一斉に声を上げた。
「何をおっしゃってますの。奥様、女は目鼻立ちだけではありませんわ。奥様の気品有る立ち居振る舞い、優しく甘く響くお声。私達はそんな奥様が自慢ですのよ」
それだけ言うと、侍女達は最後の仕上げに、レオンハルトから送られた装身具を付けていく。
「それにしても、公爵様の独占欲のすごいこと。お買いになった宝石すべて金の地金に碧の宝石ですわね」
そう言って背中が広く開いたドレスに、金の鎖にブルーサファイアをちりばめた飾りを付けていく。
首元まで詰まった光沢のある金のマーメイドラインのドレス。背中の繊細な金の鎖にブルーサファイアがいくつもあしらわれている飾り以外おそろいの耳飾りのみ。
「まあぁあ、お美しいですわ」
侍女達が声をそろえると、ノックの音が聞こえて、マルクを従えたレオンハルトが入ってきた。
目を大きく見開いて、そのまま固まるレオンハルト。後ろのマルクにコホンと咳払いされて、はっとしてユリアに駆け寄った。
「綺麗だよ。私の色を身にまとって貰ってこんなにうれしいことはない。本当に綺麗だ……綺麗だ……」
壊れた楽器のように綺麗しか言わないレオンハルトに、疑り深いユリアも思わず笑いがこみ上げて来て、クスクス笑い声を上げてしまった。
「ユリア、笑っている君もかわいいよ。そんな風に笑ってもらえてうれしい……」
今度はかわいい攻撃だった。
「申し訳ありませんが、馬車が待っています。公爵家の入場は最後ですが、もう行きませんと」
冷静なマルコの声にレオンハルトははっと気がついて、ユリアに腕を差し出した。
「いってらっしゃいませ」
玄関ポーチで皆に頭を下げられ見送られる。
「ユリアと出かけられて、とてもうれしいけれど、自分の言動でこれからが決まると思うと武者震いをするな」
とレオンハルトがもらすと、ユリアがそんなレオンハルトの手に自分の手を重ねた。
「そうですわね。あなたがどういう対応をするかで、私達のこれからが決まります。私とやり直したいなら……」
ユリアがそこまでいうと、レオンハルトが慌てて、ユリアの手を握り返して言った。
「リリアンヌ夫人に特訓して貰った。ユリアのためだけでなく、自分の幸せも掛かっているんだ頑張る」
そんな話をしていると、馬車がかたりと停まり、王宮の馬車寄せのフットマンが馬車の扉を開けて、足台を馬車の扉の前に置いた。
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