1 / 7
前編
しおりを挟む
私は貧しい子爵家の娘です。15の年に学園に通うのが貴族の義務でございますが、我が家にはそんなお金はございません。
そんな時は高位の貴族令嬢のメイドとしてお仕えして入学するのが常でございます。
私は我が家の親戚筋の侯爵家の御令嬢のメイドとなって入学いたしました。学園でお嬢様に付き従い、寮に帰ってからも身支度をお手伝い致しますと、学園の学費と寮の使用料は侯爵家で負担していただけます。
私のお仕えするお嬢様は美しい方でいらっしゃいます。艶のある赤毛を縦ロールにお巻きになって大きなリボンをつけていらっしゃいます。侯爵家で他のメイドがお似合いになっていませんから髪型を変えましょうと進言しても、頑としてお変えになりません。あの髪型にこだわりがお有りになるようです。そして時々悪役令嬢なんだからこれでなきゃと呟いておられます。
そしてそんなお嬢様の婚約者は、幼馴染の侯爵家令息のフレデリック様です。お嬢様より二つ年上でいらっしゃいます。優秀でいらっしゃるから第一王子殿下の側近候補で長身で見目麗しく学園で憧れている令嬢は少なくありません。
私は侯爵家でフレデリック様がお嬢様をお迎えにいらしたときに一目惚れいたしました。もちろん誰にも漏らせませんし、態度に現すなどあり得ません。自分がフレデリック様とどうにかなるなどと身分を弁えないことを考えたこともありません。
学園の入学式の際お嬢様はどなたかをお待ちでした。中庭でベンチの陰に隠れておられました。私もお供として一緒に隠れておりましたが入学式が始まる時間になっても、お嬢様のお目当ての方はいらっしゃらないようでした。イベントが起きないなんておっかしいなぁと呟きながら入学式に遅刻して参加いたしました。
壇上ではこの国の第一王子殿下が在校生代表で挨拶されておられました。遅刻して入場したお嬢様と私は第一王子殿下に睨まれてしまいましたので、そっと隅の椅子に座りました。
お嬢様はヒロインどこ?と呟いておられまして、ピンクの髪の子いなかった?と私にお尋ねになられましたが、ピンクの髪など見たこともございませんので、そう申し上げるとあれぇと首を傾げていらっしゃいましたました。
またお嬢様は入学式で誰か倒れなかったか、周りの学生達に聞き回っておられましたが、そんな人はいなかったようで、第一王子のイベントなのにおっかしいなぁとおしゃってました。
お嬢様は時々訳のわからないことを呟かれますが、使用人にもお優しくてお仕えしやすい方です。
私はいったい誰をいじめればいいの!などと恐ろしいこともおっしゃるので、お嬢様のような方はいじめなどお出来になれませんよと言わせていただきました。
入学後の試験で一年生一位に私がなってしまいました。生徒会に入るように誘われたのですが、私は使用人ですのでお断りをさせていただきました。
ですがフレデリック様や第一王子殿下にお嬢様も生徒会に入ってもらうので一緒にと言われてしまいました。
お嬢様も是非そうしなさいと言われるのでお嬢様の言われることには逆らうことなどできないので従わせていただきました。
生徒会ではフレデリック様と生徒会活動でお話しさせていただく機会が多くて、嬉しくて嬉しくて毎日が天国のようでした。
お嬢様も第一王子殿下とお二人でお話しされることも多く仲良くされているようでした。
お嬢様はヒロインはフラグ放棄なの?誰ルートなの?イベントは起きないの?と首を捻っておられました。お嬢様の独り言はよくわかりません。
フレデリック様は私のような下々のようなものにもお優しい方です。お嬢様に花束をお持ちになったときに必ず一輪私にもそっと贈って下さいます。
お嬢様のお好きな赤い薔薇の大きな花束に比べますとたった一輪の赤い薔薇でございますが、私にとって宝石にも当たる贈り物でございます。いただいた後は押し花にしております。いつか集まって花束のようになったら、青春のほのかな初恋の形見としてトランクの底にしまいましょう。
第一王子殿下と側近方、そしてフレデリック様のご卒業の日がやって参ります。フレデリック様がご卒業されたらもう私はフレデリック様とお話することなどできなくなります。
私は二年後に卒業したら子爵家領地に戻り親の決めた方と婚姻することになるでしょう。
フレデリック様が卒業されるまでの短い初恋でございます。
そんな時は高位の貴族令嬢のメイドとしてお仕えして入学するのが常でございます。
私は我が家の親戚筋の侯爵家の御令嬢のメイドとなって入学いたしました。学園でお嬢様に付き従い、寮に帰ってからも身支度をお手伝い致しますと、学園の学費と寮の使用料は侯爵家で負担していただけます。
私のお仕えするお嬢様は美しい方でいらっしゃいます。艶のある赤毛を縦ロールにお巻きになって大きなリボンをつけていらっしゃいます。侯爵家で他のメイドがお似合いになっていませんから髪型を変えましょうと進言しても、頑としてお変えになりません。あの髪型にこだわりがお有りになるようです。そして時々悪役令嬢なんだからこれでなきゃと呟いておられます。
そしてそんなお嬢様の婚約者は、幼馴染の侯爵家令息のフレデリック様です。お嬢様より二つ年上でいらっしゃいます。優秀でいらっしゃるから第一王子殿下の側近候補で長身で見目麗しく学園で憧れている令嬢は少なくありません。
私は侯爵家でフレデリック様がお嬢様をお迎えにいらしたときに一目惚れいたしました。もちろん誰にも漏らせませんし、態度に現すなどあり得ません。自分がフレデリック様とどうにかなるなどと身分を弁えないことを考えたこともありません。
学園の入学式の際お嬢様はどなたかをお待ちでした。中庭でベンチの陰に隠れておられました。私もお供として一緒に隠れておりましたが入学式が始まる時間になっても、お嬢様のお目当ての方はいらっしゃらないようでした。イベントが起きないなんておっかしいなぁと呟きながら入学式に遅刻して参加いたしました。
壇上ではこの国の第一王子殿下が在校生代表で挨拶されておられました。遅刻して入場したお嬢様と私は第一王子殿下に睨まれてしまいましたので、そっと隅の椅子に座りました。
お嬢様はヒロインどこ?と呟いておられまして、ピンクの髪の子いなかった?と私にお尋ねになられましたが、ピンクの髪など見たこともございませんので、そう申し上げるとあれぇと首を傾げていらっしゃいましたました。
またお嬢様は入学式で誰か倒れなかったか、周りの学生達に聞き回っておられましたが、そんな人はいなかったようで、第一王子のイベントなのにおっかしいなぁとおしゃってました。
お嬢様は時々訳のわからないことを呟かれますが、使用人にもお優しくてお仕えしやすい方です。
私はいったい誰をいじめればいいの!などと恐ろしいこともおっしゃるので、お嬢様のような方はいじめなどお出来になれませんよと言わせていただきました。
入学後の試験で一年生一位に私がなってしまいました。生徒会に入るように誘われたのですが、私は使用人ですのでお断りをさせていただきました。
ですがフレデリック様や第一王子殿下にお嬢様も生徒会に入ってもらうので一緒にと言われてしまいました。
お嬢様も是非そうしなさいと言われるのでお嬢様の言われることには逆らうことなどできないので従わせていただきました。
生徒会ではフレデリック様と生徒会活動でお話しさせていただく機会が多くて、嬉しくて嬉しくて毎日が天国のようでした。
お嬢様も第一王子殿下とお二人でお話しされることも多く仲良くされているようでした。
お嬢様はヒロインはフラグ放棄なの?誰ルートなの?イベントは起きないの?と首を捻っておられました。お嬢様の独り言はよくわかりません。
フレデリック様は私のような下々のようなものにもお優しい方です。お嬢様に花束をお持ちになったときに必ず一輪私にもそっと贈って下さいます。
お嬢様のお好きな赤い薔薇の大きな花束に比べますとたった一輪の赤い薔薇でございますが、私にとって宝石にも当たる贈り物でございます。いただいた後は押し花にしております。いつか集まって花束のようになったら、青春のほのかな初恋の形見としてトランクの底にしまいましょう。
第一王子殿下と側近方、そしてフレデリック様のご卒業の日がやって参ります。フレデリック様がご卒業されたらもう私はフレデリック様とお話することなどできなくなります。
私は二年後に卒業したら子爵家領地に戻り親の決めた方と婚姻することになるでしょう。
フレデリック様が卒業されるまでの短い初恋でございます。
82
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
婚約破棄されたのに、王太子殿下がバルコニーの下にいます
ちよこ
恋愛
「リリス・フォン・アイゼンシュタイン。君との婚約を破棄する」
王子による公開断罪。
悪役令嬢として破滅ルートを迎えたリリスは、ようやく自由を手に入れた……はずだった。
だが翌朝、屋敷のバルコニーの下に立っていたのは、断罪したはずの王太子。
花束を抱え、「おはよう」と微笑む彼は、毎朝訪れるようになり——
「リリス、僕は君の全てが好きなんだ。」
そう語る彼は、狂愛をリリスに注ぎはじめる。
婚約破棄×悪役令嬢×ヤンデレ王子による、
テンプレから逸脱しまくるダークサイド・ラブコメディ!
悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する
青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。
両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。
母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。
リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。
マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。
すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。
修道院で聖女様に覚醒して……
大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが
マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない
完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく
今回も短編です
誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~
犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる