3 / 61
序章 刻の始まり
瞬間付呪
しおりを挟む
木々が揺れ野草が舞う。その中でソイツは居た。
蛇のような体躯をしながらも雄雄しき翼を持つ圧倒的な存在を示す。
バサバサと翼を動かすだけで烈風が起きる。漆黒の体にある深紅の瞳が僕を捉えた瞬間、咆哮する。
「アレはまさかドラゴン」
どんなファンタジー小説にも登場する言わず知れた存在。文字通りの最強であることが多くある種族。チュートリアルで出てきて良い存在ではないはずだが。
「そんなクロノスドラゴンがなぜ此処に?…いや条件は満たしている?」
ミコトの呟きを拾うにやはり本来はここで出てこないはずらしいが事実として此処に居る。
【辰之刻が開始されます】
まるで無慈悲な勧告のようにシステムウインドが立ち上がり脳内メッセージが流れる。
その直後にクロノスドラゴンは息を大きく吸うと少し溜める。それを理解した瞬間に僕はミコトを抱き寄せてその眼の標準から外れるように逃げる。5秒後に最初の位置が爆ぜる。危ない。
太腿に銃を収めたホルスターと腰に佩く剣と鞘。
正直、武装としては心持たなすぎる。唯一の利点は不壊であることくらいだろうか?
「大丈夫か?」
「えぇ。おかげさまで助かりました」
「なら良かった。少し隠れていてくれ」
返事を聞かずに木から飛び出して銃を抜き3連射。ショートブレードを抜き放ち銃を収納する。そして唱える。
「瞬間付呪雷 対象:剣」
瞬間付呪 異能 付呪の力の一つで効果は一定時間、対象武器に属性を宿し物理・魔法攻撃が可能となる。
剣が黄色の光に包まれる。するとクロノスドラゴン周辺に魔法陣が幾つか出現して岩の散弾を撃ち出してくる。これはなんとかなる。
「天埜流剣術 連仭」
X字を書くような斬撃で散弾を打ち返して他の散弾を無力化する。そこに追撃を加えようと一歩踏み出した時に空気が震え始める。術を此処から繰り出そうにも届かない。滅蒼角なら貫通突破出来るだろうがアレにはタメがいる。なら
「——エネルギーアロー」
その大きく吸い込みをしている口目掛けて1条の無垢な光が突き刺さろうとするが届く前に光の粒子となりて消える。ダメか。コンスタンスにダメージを与えるとはいえまだまだ低級。なら異能だ。
「瞬間付呪爆 対象:銃」
クイックドロー&フルバーストで銃に込めた瞬間付呪を使い切る。ただその一撃で咆哮で相殺しようとすると反動が強く左腕が跳ね上がる。その上中間距離でぶつかり互いに爆ぜる。その衝撃波により僕は吹上飛ばされる。その上、土煙が上がり視界が上手く確保できないし何よりクロノスドラゴンの気配を捉えきれない。しかも瞬間付呪は再発動まで時間がかかる。ってLPのゲージが既に赤い。そんなに反動が強いのかよ。
「——ヒール」
唱えると柔らかな光が身を包み傷を癒す。ただ今の今まででダメージをほぼ与えられていない。銃は銃身が熱を持っており幾ら引き金を引こうとも魔力弾は出ない。無属性魔法も現状使えるのはエネルギーアローのみ。それに無理に術理を使用したせいか体全体が軋む。
ちなみに術理とは倫理や法則に基づき修練を経て得た技術だと天埜流武闘では定義している。特に連仭は本来は片刃で行うはずだし弾き返すのではなく切り捨てるのだから無理に改変したために起きた反動だ。
ただ無抵抗のまま殺されるのは嫌だし僅かでも攻撃が入る以上理論上は討伐が可能なわけだ。体勢を立て直そうにも空中だしな。はあ。仕方ない。
「天埜流幻刀術」
身を捩り溜める。本来なら存在しない幻の技術。
「霹靂迅仙」
雷の如き斬撃を飛ばされる方向に向けて放ち衝撃を緩和して着地と同時に全ベクトルを運動エネルギーに変換する。
「———ヒール」
短い呪文を何とか唱えて未だ土煙が上がる場所へと踏み込む。その直後不意に腕の振り払い攻撃を咄嗟に引いた剣の腹で受け流そうとしたが変化した運動エネルギーも相まってか軽く飛ばされる。不味いこの位置はミコトがいる。
それを理解した直後。
木々が破裂する音が聞こえた。
蛇のような体躯をしながらも雄雄しき翼を持つ圧倒的な存在を示す。
バサバサと翼を動かすだけで烈風が起きる。漆黒の体にある深紅の瞳が僕を捉えた瞬間、咆哮する。
「アレはまさかドラゴン」
どんなファンタジー小説にも登場する言わず知れた存在。文字通りの最強であることが多くある種族。チュートリアルで出てきて良い存在ではないはずだが。
「そんなクロノスドラゴンがなぜ此処に?…いや条件は満たしている?」
ミコトの呟きを拾うにやはり本来はここで出てこないはずらしいが事実として此処に居る。
【辰之刻が開始されます】
まるで無慈悲な勧告のようにシステムウインドが立ち上がり脳内メッセージが流れる。
その直後にクロノスドラゴンは息を大きく吸うと少し溜める。それを理解した瞬間に僕はミコトを抱き寄せてその眼の標準から外れるように逃げる。5秒後に最初の位置が爆ぜる。危ない。
太腿に銃を収めたホルスターと腰に佩く剣と鞘。
正直、武装としては心持たなすぎる。唯一の利点は不壊であることくらいだろうか?
「大丈夫か?」
「えぇ。おかげさまで助かりました」
「なら良かった。少し隠れていてくれ」
返事を聞かずに木から飛び出して銃を抜き3連射。ショートブレードを抜き放ち銃を収納する。そして唱える。
「瞬間付呪雷 対象:剣」
瞬間付呪 異能 付呪の力の一つで効果は一定時間、対象武器に属性を宿し物理・魔法攻撃が可能となる。
剣が黄色の光に包まれる。するとクロノスドラゴン周辺に魔法陣が幾つか出現して岩の散弾を撃ち出してくる。これはなんとかなる。
「天埜流剣術 連仭」
X字を書くような斬撃で散弾を打ち返して他の散弾を無力化する。そこに追撃を加えようと一歩踏み出した時に空気が震え始める。術を此処から繰り出そうにも届かない。滅蒼角なら貫通突破出来るだろうがアレにはタメがいる。なら
「——エネルギーアロー」
その大きく吸い込みをしている口目掛けて1条の無垢な光が突き刺さろうとするが届く前に光の粒子となりて消える。ダメか。コンスタンスにダメージを与えるとはいえまだまだ低級。なら異能だ。
「瞬間付呪爆 対象:銃」
クイックドロー&フルバーストで銃に込めた瞬間付呪を使い切る。ただその一撃で咆哮で相殺しようとすると反動が強く左腕が跳ね上がる。その上中間距離でぶつかり互いに爆ぜる。その衝撃波により僕は吹上飛ばされる。その上、土煙が上がり視界が上手く確保できないし何よりクロノスドラゴンの気配を捉えきれない。しかも瞬間付呪は再発動まで時間がかかる。ってLPのゲージが既に赤い。そんなに反動が強いのかよ。
「——ヒール」
唱えると柔らかな光が身を包み傷を癒す。ただ今の今まででダメージをほぼ与えられていない。銃は銃身が熱を持っており幾ら引き金を引こうとも魔力弾は出ない。無属性魔法も現状使えるのはエネルギーアローのみ。それに無理に術理を使用したせいか体全体が軋む。
ちなみに術理とは倫理や法則に基づき修練を経て得た技術だと天埜流武闘では定義している。特に連仭は本来は片刃で行うはずだし弾き返すのではなく切り捨てるのだから無理に改変したために起きた反動だ。
ただ無抵抗のまま殺されるのは嫌だし僅かでも攻撃が入る以上理論上は討伐が可能なわけだ。体勢を立て直そうにも空中だしな。はあ。仕方ない。
「天埜流幻刀術」
身を捩り溜める。本来なら存在しない幻の技術。
「霹靂迅仙」
雷の如き斬撃を飛ばされる方向に向けて放ち衝撃を緩和して着地と同時に全ベクトルを運動エネルギーに変換する。
「———ヒール」
短い呪文を何とか唱えて未だ土煙が上がる場所へと踏み込む。その直後不意に腕の振り払い攻撃を咄嗟に引いた剣の腹で受け流そうとしたが変化した運動エネルギーも相まってか軽く飛ばされる。不味いこの位置はミコトがいる。
それを理解した直後。
木々が破裂する音が聞こえた。
10
あなたにおすすめの小説
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる