愛はひとつが良いと思うの

聖 りんご

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浮気の代償

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カフェでリックとミグの浮気現場を見た後のララの行動は素早かった。

「メリー、役所で離婚届を五枚と銀貨を十枚渡すから弁護士を連れて私の実家に来てくれない?」

「分かったわ。」

「サム、貴方にはミグの交友関係を調べて来て欲しいの。父親に事の次第を話して同伴してもらいながらがいいわ。まずは三ヶ月前に離婚したメリッサからかしら。そのあとはメリッサが教えてくれるわ。一通り話を聞いたら私実家に来て。」

「わ、分かった。」

二人が歩き出すとララはまずリックの実家に向かった。
カフェからは乗り合い馬車で十五分程だからそんなには遠くない。リックの実家に着きドアをノックするとリックの両親が出迎えてくれた。

「あら、ララ久しぶりね。」

「今日は一人なのか?」

「お義父さんお義母さんコンニチワ。…少し込み入った話があるの。」

いつもよりピリついた雰囲気を纏う嫁に二人は顔を見合わせ入るように促す。ララは座って早々にリックの浮気現場を目撃した事を伝えた。今日が結婚記念日である事もリックの相手の事も事細かく伝えていくと、最初は信じられないという表情をしていたリックの両親の顔は次第に真っ赤になっていった。

「アイツは何をしているんだ!」

「なんてバカな事を…。」

「私は離婚したいと思っています。お二人には今から私の実家に来て話し合いに参加して貰えないでしょうか。」

ララの言葉にリックの両親は残念そうに頷き頭を下げて謝罪した。それを受け入れ、ララがリックの両親を引き連れ実家に行くとすでにメリーが弁護士を連れて来ていた。
先にララの両親に今日の話をしていたらしく、ララの両親はカンカンでリックの両親は早々に深々と頭を下げる。

「父さん、母さん。私、離婚するわ…。」

「ええ…辛かったわね、ララ。」

優しく抱きしめられプツリと何かが切れたララは母親の胸の中で滝のように涙を流す。涙が落ち着いてくる頃には雑貨屋の店主を連れたサムが真っ青な顔で到着した。
そして、そこから数時間で情報の共有や書類の作成を済ませた面々は眠れぬ夜を過ごした後、ララとリックの暮らす家でリックの帰りを待ったのだ。

「す、すまなかった!!どうか許してくれっ!!ミグに、ミグに誑かされただけなんだ!!!」

「安い手にのって裏切った貴方を信じることなんて無理よ!早くこの離婚届にサインをしてちょうだい!!」

二枚目の離婚届を取り出したララは土下座するリックを見下し床にペンと離婚届を投げ置いた。
リックは一時間程粘りに粘ったが状況は変わらず、仕方なく離婚届にサインをしララはそれをすぐ様それを回収するとサインを確かめる。

「ふふふ…何も見てないのねおバカさん。私の苦しみを少しは感じてね。慰謝料もきっちりちょうだいね。」

「慰謝料…?」
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