愛はひとつが良いと思うの

聖 りんご

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全て失い始めから

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「いらっしゃい。」

「あんたは…リックの…。」

「やっぱり知ってたのね。それにしても…良い顔になったわね。」

バーから出た後、ミグはララは路地裏の小さな家に連れ込まれ手を後ろで縛られ椅子に縛り付けられた。
そして始まったのが夫や恋人を奪われた女達の制裁ビンタ十五連発。終わる頃にはミグの両頬はパンパンだった。ミグは現れたララを見て最後の一発が来ると思い身構えた。しかし、ミグのその読みは外れてララは殴ってこなかった。

「そんな目で見られても私は殴ったりしないわ。私からはコレ。」

ララはミグの顔の前にヒラリと紙を出す。
表題は慰謝料請求書となっており、ミグのバーでの給料の五年分程の金額が書かれている。

「な、何よコレっ!」

「貴女が払う慰謝料に決まってるでしょ?」

「巫山戯んじゃないわ!こんなん払えないし無効よ!!」

「ちゃんと正式な書類でしょ?判子が見えないのかしら。金額に納得出来ないなら内訳を教えてあげるわ。私、リックと離婚する事にしたの。貴女との浮気の証拠集めに探偵さんの力を借りたからたくさんお金がかかってしまったのよ。これは殆どがその経費だからぼったくってなんていないわ。
一括で払って。出来ないなら金貸しを呼ぶわ。拒否する場合はそうね…貴女を奴隷商に売れば回収できるわね。」

ララの本気度が分かりミグは先程とは打って変わって青白い顔で身を震わせる。必死に考えて出した答えは金貸しに借りる事だった。

「もう金輪際こんな事はやめる事ね。まぁ、それどころじゃないとは思うけれど…他人の幸せを奪う事をまだ続けるなら覚悟することね。」

金貸しを呼ばれ手続きと支払いが済むとミグはすぐに解放された。
全てが終わりミグは騎士団の駐留所に行き拉致され不当な借金を負わされ金をとられたと訴えたがまともに聞いてくれない。失意のまま部屋に戻るとドアには家主から二週間以内に身元保証人を立てられなければ退去するよう張り紙がされていた。父親が家主に縁を切った件を連絡したのだろう。

「なんなのよぉ…。」

張り紙を剥ぎ取り部屋に入るとそのままベッドに倒れ込む。そのまま意識を手放したミグは翌朝、起き上がる頃には昨日の事を教訓に新しい一日を迎えた。

「やっぱり狙うなら金持ちの男しかないわっ!身分が高い人達って好き同士で結婚する訳じゃないもの。愛人くらい普通なはずっ!」

ミグは両頬を強く打つと行動を開始した。

一月後、ミグの様子を監視しているメリッサはミグが庶民の噂に疎い金持ちにシフトチェンジした事を確認したのでまわりの女性達と共有する事にした。残念ながらララの言葉が届かなかったミグがきっちり破滅するまで見届けるつもりだとも伝える予定だ。

「命が惜しくないのかな…バカな女。」
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