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神聖な場所
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教会、それは神に祈りを捧げたり、告解したりと人々が心を丸裸にして神という存在を求めて集まる場所。
ある者は誓いを立て、ある者は祈り、ある者は懺悔する。
このリンバース公爵領にも悩める者は多い。
司祭は一人一人に神の御加護があらん事を司祭はシスターと共に祈っていました。
「今日もいい天気です。神がお喜びになっているかのようです。」
「そうですね、司祭様。」
「シスター、あなたもたまには懺悔室の利用をしませんか?」
「そうですね…では、そうさせていただきます。」
「では、行きましょう。」
司祭とシスターは懺悔室に向かい、それぞれ別の扉から中に入ります。
司祭はシスターがあまり告解したがらない事を気にしていたので、今日は素直に応じてくれて嬉しく思いました。
司祭は迷える子羊の為に、小窓を開きます。
「改心を呼びかけておられる神の声に心を開いてください。神のいつくしみに信頼して、あなたの罪を告白してください。」
「はい。神よ…私はシスターという職業柄、清らかにありたいとは思っております。
しかし、私もか弱き人間。現実はそう上手くいきません。」
(なんと、やはりシスターも悩んでいたのですね。)
司祭は心の中でシスターの悩みに気付けなかった自分の未熟さを感じた。
「実は、司祭が大切にしている食器類を全て割ってしまいました。」
(……ぇ?)
「あれはお掃除をしていた時です。一人だったので歌いながらハタキをかけていたところ、熱が入りすぎてぶつかり全て割れましたが、接着剤でくっつけました。
」
(……形あるものは何れ壊れます。悲しいですがシスターに怪我がなく良かった……)
司祭は悲しみに耐えました。
自分は神の代わりに懺悔を聞いているという誇りが耐えさせました。
「それから司祭様の育ててる薔薇を枯らしました。水と間違え除草剤をかけてしまったのです。」
(あ……あれもシスターが?!もうすぐ蕾が開くという時期にいきなり枯れてしまった薔薇たちも……)
司祭の肩は震え出しました。しかし今は懺悔中、頑張って耐えました。
「そして最後に、司祭様が作成中の自作の絵本をミサに来た人に間違えて渡してしまった事があります。
その方は中をみた瞬間に気持ちが悪くなったと帰られました。
私も司祭様の絵は気持ちが悪いと思っていたので、間違えてしまって申し訳なかったです。」
(なっ…き、気持ちが悪い?私の絵が……)
司祭は心に多大なるダメージをおった。
「罪を告白しました。許しをお願いします。」
「貴女は……落ちついて行動する事を心がけましょう……」
「頑張ります。」
「それでは、神のゆるしを求め、心から悔い改めの祈りを唱えてください。」
「神よ、いつくしみ深くわたしを顧み、豊かなあわれみによって私をお許し下さい。」
「神が貴女に許しと平和を与えてくださいますように。わたしは父と子と聖霊の御名によって、貴女の罪を……許します……」
「アーメン」
懺悔室を出ると、シスターは清々しい顔をしていた。
「ありがとうございます。たまには告解も良いですね。心が軽くなりました。」
「そうですか……それは良かった……。私は少し休ませてもらいます。何かあったら声をかけて下さい。」
司祭は、自身の心を癒すために暫く自室にこもった。
シスターの言葉を確かめるようにコレクションを撫で、窓の外の枯れた薔薇を眺め、自身のつくった絵本を開いた。
立ち直るのに丸一日かかりました。
ある者は誓いを立て、ある者は祈り、ある者は懺悔する。
このリンバース公爵領にも悩める者は多い。
司祭は一人一人に神の御加護があらん事を司祭はシスターと共に祈っていました。
「今日もいい天気です。神がお喜びになっているかのようです。」
「そうですね、司祭様。」
「シスター、あなたもたまには懺悔室の利用をしませんか?」
「そうですね…では、そうさせていただきます。」
「では、行きましょう。」
司祭とシスターは懺悔室に向かい、それぞれ別の扉から中に入ります。
司祭はシスターがあまり告解したがらない事を気にしていたので、今日は素直に応じてくれて嬉しく思いました。
司祭は迷える子羊の為に、小窓を開きます。
「改心を呼びかけておられる神の声に心を開いてください。神のいつくしみに信頼して、あなたの罪を告白してください。」
「はい。神よ…私はシスターという職業柄、清らかにありたいとは思っております。
しかし、私もか弱き人間。現実はそう上手くいきません。」
(なんと、やはりシスターも悩んでいたのですね。)
司祭は心の中でシスターの悩みに気付けなかった自分の未熟さを感じた。
「実は、司祭が大切にしている食器類を全て割ってしまいました。」
(……ぇ?)
「あれはお掃除をしていた時です。一人だったので歌いながらハタキをかけていたところ、熱が入りすぎてぶつかり全て割れましたが、接着剤でくっつけました。
」
(……形あるものは何れ壊れます。悲しいですがシスターに怪我がなく良かった……)
司祭は悲しみに耐えました。
自分は神の代わりに懺悔を聞いているという誇りが耐えさせました。
「それから司祭様の育ててる薔薇を枯らしました。水と間違え除草剤をかけてしまったのです。」
(あ……あれもシスターが?!もうすぐ蕾が開くという時期にいきなり枯れてしまった薔薇たちも……)
司祭の肩は震え出しました。しかし今は懺悔中、頑張って耐えました。
「そして最後に、司祭様が作成中の自作の絵本をミサに来た人に間違えて渡してしまった事があります。
その方は中をみた瞬間に気持ちが悪くなったと帰られました。
私も司祭様の絵は気持ちが悪いと思っていたので、間違えてしまって申し訳なかったです。」
(なっ…き、気持ちが悪い?私の絵が……)
司祭は心に多大なるダメージをおった。
「罪を告白しました。許しをお願いします。」
「貴女は……落ちついて行動する事を心がけましょう……」
「頑張ります。」
「それでは、神のゆるしを求め、心から悔い改めの祈りを唱えてください。」
「神よ、いつくしみ深くわたしを顧み、豊かなあわれみによって私をお許し下さい。」
「神が貴女に許しと平和を与えてくださいますように。わたしは父と子と聖霊の御名によって、貴女の罪を……許します……」
「アーメン」
懺悔室を出ると、シスターは清々しい顔をしていた。
「ありがとうございます。たまには告解も良いですね。心が軽くなりました。」
「そうですか……それは良かった……。私は少し休ませてもらいます。何かあったら声をかけて下さい。」
司祭は、自身の心を癒すために暫く自室にこもった。
シスターの言葉を確かめるようにコレクションを撫で、窓の外の枯れた薔薇を眺め、自身のつくった絵本を開いた。
立ち直るのに丸一日かかりました。
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