8 / 20
姉弟の複雑な関係(前編)
しおりを挟む
リンデルが教会で寝泊まりするようになって数日、リンデルは教会の掃除、孤児たちの世話などをシスターから教わりすっかり教会での暮らしに馴染んでいた。
司祭はリンデルが教会に居てくれる事が皆に良い影響を与えている事がとても嬉しかった。
そしてリンデルに会いにクララが来てくれるのを心から待っていた。
そんな司祭の想いが通じたのか、クララは教会にやってきた。
「クララさんよくいらっしゃいました。」
「司祭様、この度は弟がご迷惑をおかけしております。」
「いいえ。リンデルさんには教会の手伝いも積極的にしていただいて、とても助かっていますよ。
ずっと居ていただきたい程です。」
「そう言っていただけると嬉しいです。」
司祭はこの瞬間もリンデルに感謝し、本当に永住してくれないかと考えていた。
クララとの談話を楽しんだ司祭はクララを連れリンデルの元向かったが、リンデルは孤児たちと遊んでいた為、遠慮したクララとまた暫く安らぎの時間を過ごした。
(神とリンデルさんに感謝します!)
「姉さん、待たせてごめん。」
「気にしてないわ。貴方が元気そうで良かった。」
司祭は二人を談話室に案内しお茶を出すと二人を部屋に残し部屋を出ようとしたが、二人に居てくれと言われ留まることにした。
「リンデルとは5年振りくらいかしら。全然会いに行けなくてごめんね。」
「気にしてないよ。姉さんだって大変だったんでしょ?」
二人は会えなかった時を埋めるかのように話に花を咲かせた。
司祭はそんな二人を微笑ましく思い話に極力入らないようにしていたが、ふと笑顔がぎこち無く思えた。
司祭は二人の話が弾んでいるうちに時間を理由に切り上げ、クララを屋敷に帰した。
「リンデルさん。宜しければ少し二人でお話しませんか?」
司祭はリンデルを誘い庭を歩きながら話をする事にした。
「司祭様、どうかされたのですか?」
「いえ、先程クララさんとお話されている様子がどうも気になりましてね。良ければ私に話してみませんか?」
リンデルは驚いたようすだったが、少し悩んでから重い口を開いた。
「司祭様、実は俺と姉さんは血が繋がっていないんです。父と母は再婚同士で姉さんは父の、俺は母の連れ子なんです。」
「なるほど、それは複雑ですね。」
「俺は姉さんに対して家族という気持ちがあまり……」
(やはり連れ子とは複雑なのですね)
司祭は二人のわだかまりを何とかしてあげたいと思った。
しかし、こればかりは必ず上手くいくなんて事はない。
難しい問題に司祭として出来る事は無いかと必死に考えた。
「リンデルさん。私はこの地で二人が再会したのは運命だと思います。これを機に本当の貴方をクララさんに見ていただいてはいかがですか?」
「司祭様……明日、ついてきていただけませんか?」
「喜んでお供いたしましょう。」
司祭はリンデルが教会に居てくれる事が皆に良い影響を与えている事がとても嬉しかった。
そしてリンデルに会いにクララが来てくれるのを心から待っていた。
そんな司祭の想いが通じたのか、クララは教会にやってきた。
「クララさんよくいらっしゃいました。」
「司祭様、この度は弟がご迷惑をおかけしております。」
「いいえ。リンデルさんには教会の手伝いも積極的にしていただいて、とても助かっていますよ。
ずっと居ていただきたい程です。」
「そう言っていただけると嬉しいです。」
司祭はこの瞬間もリンデルに感謝し、本当に永住してくれないかと考えていた。
クララとの談話を楽しんだ司祭はクララを連れリンデルの元向かったが、リンデルは孤児たちと遊んでいた為、遠慮したクララとまた暫く安らぎの時間を過ごした。
(神とリンデルさんに感謝します!)
「姉さん、待たせてごめん。」
「気にしてないわ。貴方が元気そうで良かった。」
司祭は二人を談話室に案内しお茶を出すと二人を部屋に残し部屋を出ようとしたが、二人に居てくれと言われ留まることにした。
「リンデルとは5年振りくらいかしら。全然会いに行けなくてごめんね。」
「気にしてないよ。姉さんだって大変だったんでしょ?」
二人は会えなかった時を埋めるかのように話に花を咲かせた。
司祭はそんな二人を微笑ましく思い話に極力入らないようにしていたが、ふと笑顔がぎこち無く思えた。
司祭は二人の話が弾んでいるうちに時間を理由に切り上げ、クララを屋敷に帰した。
「リンデルさん。宜しければ少し二人でお話しませんか?」
司祭はリンデルを誘い庭を歩きながら話をする事にした。
「司祭様、どうかされたのですか?」
「いえ、先程クララさんとお話されている様子がどうも気になりましてね。良ければ私に話してみませんか?」
リンデルは驚いたようすだったが、少し悩んでから重い口を開いた。
「司祭様、実は俺と姉さんは血が繋がっていないんです。父と母は再婚同士で姉さんは父の、俺は母の連れ子なんです。」
「なるほど、それは複雑ですね。」
「俺は姉さんに対して家族という気持ちがあまり……」
(やはり連れ子とは複雑なのですね)
司祭は二人のわだかまりを何とかしてあげたいと思った。
しかし、こればかりは必ず上手くいくなんて事はない。
難しい問題に司祭として出来る事は無いかと必死に考えた。
「リンデルさん。私はこの地で二人が再会したのは運命だと思います。これを機に本当の貴方をクララさんに見ていただいてはいかがですか?」
「司祭様……明日、ついてきていただけませんか?」
「喜んでお供いたしましょう。」
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる