リンバース公爵領の教会で

聖 りんご

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しっかり者のクララさん

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「まずはこの度は本当に私の家族が御迷惑をおかけ致しました。」

クララは応接室に着くと同時に司祭に頭を下げた。
司祭は先程も謝罪を受けているのでとクララを落ち着かせお茶を入れ直した。

「ハミエル母様は優しくてお強い自慢のお母様なのですが、好戦的で周りが見えなくなるときがあるんです。
お庭は私たちがきちんと戻しますので……」

「俺と母さんがやった事だからきちんと戻します。」

司祭は紳士な態度の二人に深く頷いた。

「ところで、クララさんは何故カミルさんとご一緒に?」

「実は、リンデルと付き合う前から父には私の気持ちがバレておりました。そして、もし想いが通じれば祝福するとも。
なので、リンデルと付き合う事になってすぐ知らせていたのです。
今回は仕事の都合で近くに来るので今後の話をする為に寄ってもらったところでこの騒ぎが…」

「カミル父さん……知ってたんだ……」

リンデルは自分がハミエルに言えていないのが情けなくなり落ち込んだ様子を見せたがクララはリンデルの手をそっと握り笑顔を向けた。

「リンデル、私は貴方と結婚したいわ。貴方は……?」

「もちろん!クララを愛してる。夫婦になりたい。」

「ではお父様たちが戻ったらお許しをいただきましょう。」

クララとリンデルは応接室で両親の帰りを待った。
日が沈み始めた頃に二人は戻ってきたので今度は冷静に四人で話し合い、クララとリンデルは結婚を許された。
しかし、リンデルは今微妙な立場にいるのでその件が片付き次第と条件が付けられた。

翌日、リンデルとハミエルは庭の修復に精を出していた。
クララとカミルは昨日帰って行きハミエルは庭の修復が終わるまで教会で世話になる事になった。
二人の手際はとても良いので修復は二、三日で終わりそうだ。

修復作業の二日目、リンデルに手紙が届きました。
内容はリンデルがこの領地まできた要件が片付いたという知らせと、この国の騎士団で働かないかという話だった。
リンデルは司祭に断りを入れハミエルと共に馬でクララとカミルの元へ向かった。

「リンデルさんとクララさんに神のお導きがありますように。」

司祭は神に祈りを捧げると庭で一人修復作業を始めた。
リンデルとハミエルによりほぼ元通りとなり、後は花壇の復興のみだった為、司祭は独りレンガを並べ直しながら新しく植える種は何にするか悩んだ。


数日後、リンデルが教会に戻り騎士団で働く事となった事、クララと結婚する時期が決まった事を司祭に報告した。
喜ばしい話に司祭は我がことのように喜んだ。
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