運命の赤い針

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4月 はじまり

自分から動き出さなきゃ

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    夕暮れの道を足早に過ぎて行く人波に、日々、無意識に折り込まれていく我が憂鬱を思い出し、小さくため息をついた。

    このまま何でもなかったように、独りの部屋に帰って今日を終わってしまえば、この手にある名刺が、ただの過去に変わってしまうような気がする。

    これは、何かいろいろな新しいことが始まると思っていた、チャンスの一つかもしれない。

    僕はその名刺の向こう側に、コンタクトしてみたいと思った。

    正直、名刺の男性に、好感をいだいたいる自分に、半ば気づいていた。
    
    せっかくだから、連絡だけしてみようかな。何も変なことじゃないよね。うん、よしっ。

    そう思い立ち、しかし、メールと電話、どっちがいいのか、迷った。

    普通は、仕事の邪魔にならないように、メールかな。電話だと、こちらの番号も知らないはずだし、迷惑かも。

    少し緊張して、鼓動の高鳴りを覚え、手が汗を感じてきた。
    春の夕闇の中、どこからか木の花のよい匂いを帯びた風が背中をくすぐり、メールを打つ脳内をほぐしてくれる。

    <簾龍様 こんばんは。今朝、駅のホームでぶつかったときに名刺をいただいた者です。睡草(すいぐさ)と申します。私も不注意で、すみませんでした。私のほうは、大丈夫でした。簾龍様は大丈夫でしたでしょうか。

睡草 司>




  (執筆中)

    
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