緒詩莉ちゃん

パカこい

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Episode1~おしりと運命の私~

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 19XX年11月30日。私はこの世に生まれた。若田部家の第3子となる次女として誕生し、「緒詩莉」と名付けられた。

 おしり。

 きっと日本中どこを探しても、そのような名前の女の子はいないでしょう。なぜ、両親は私にそのような名前をつけたのか…。まだ私が小さかった頃に母に聞いてみたことがあった。
 
「それはあなたの『お尻』がとっても可愛くて印象的だったからよ。『緒詩莉』なんて唯一無二の名前だし、一度聞いたらすぐに覚えてもらいそうじゃない。それにあなたは生まれたときから『お尻』と運命があるのよ。」

 やっぱり、緒詩莉という名前の由来は『お尻』であった。みんなが大好きな、あの『お尻』。子どもたちが大好きな、あの『お尻』。それにしても、生まれたときから運命があるというのはどういうことだろう。これは父に教えてもらった。

 まず、私が生まれた日である11月30日。この日は「いいお尻の日」と言われているそうだ。11で「いい」なのは分かるけど、30は一体…。これは、30という数字の向きを90度変えて見てみると、お尻の形に見えるという。確かにお尻の形には見えるけど、なんかちょっと強引な感じがする気がする。これを考えた人がいなかったら、私は緒詩莉になることはなかったのに…。

 次に、私の上の名前が若田部であること。「わ」行だから、たいてい名前の順だと一番後ろになる。つまり、『おしり』ということ。確かに、私が生まれてから今までで、名前の順で『おしり』でなかったことはない。でも、もし渡辺さんがいたとしたらどうなっていたのか…。

 最後に、私が3人兄弟の末っ子であるということ。私には4つ離れた姉と、2つ離れた兄がいる。そう、兄弟の中では一番『おしり』になる。これは両親が4番目の子はつくらないと心に決めていたからだと後になって知った。ちなみに、姉の名は瞳、兄の名は光喜。ぜんぜん普通の名前ではないか。


 このような理由で、私は緒詩莉という名前を運命づけられた。両親は「緒詩莉ちゃんって響き、可愛いよ」と言うけれど、実際のところ、近所の人や友達からは「りっちゃん」と呼ばれることが多く、「緒詩莉ちゃん」と呼ばれたことはほとんどない。他の人からみても、『おしり』というのは抵抗あるよね。

 そんなおしり尽くしで成長していくことになる、私、若田部緒詩莉。そのストーリーをこれから存分に語っていきます。

(続)
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