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3章、貴族も楽じゃない
第21話
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何だかとんでもない事を聞いた気がする。
ガイとカイルが異父兄弟ということはお母さんは一緒だから。
「それってガイのお父さんがカイルのお母さんを取っちゃったってこと!?」
「違う!親父は捨てられた母さんを拾ったんだ」
「貴族の間では結構有名な醜聞だ」
そう前置きしてガイは話し始めた。
ガイのお母さん、マリアさんはニース子爵家の次女だった。
中々の美女で魔法学園に通っていた時は求婚者が山のようにいたという。
「俺は父親似だからこんな見た目だが、母親似の妹はすごい可愛いんだ」
ガイの目が妹を思い出したようで優しくなった。
「母さんはロバート・ビスナードと恋仲になり結婚した。
親父は学生時代に一度振られてるんだ」
「それがどうして今はガイのお父さんと一緒にいるの?」
「母さんは結婚してすぐに妊娠した。
そして生まれたのがカイルだ。
カイルの青髪を見てロバートが自分の子供ではないと騒ぎ立てた」
「お母さんは浮気なんかしてなかったんでしょう?」
「ああ、魔法でロバートの息子だと鑑定された。
そうしたら今度はニース子爵家の血筋が悪いと言い始めた。
結局母さんは産後間もなくビスナード家を追い出されたんだ」
ロバートと離婚してマリアさんはニース子爵家に出戻ったが、居心地が悪かったようだ。お兄さんの奥さんに邪魔者扱いされたらしい。
沢山いた求婚者達も青髪の子供を産んだマリアさんから離れて行った。
「親父だけが母さんから離れなかった。
また青い髪の子供が生まれるかもと躊躇する母さんを口説き落としたんだ。
母さんの産んだ子供なら何色の髪の子供でも可愛いだろうって」
「ガイのお父さん、かっこいいね」
「俺もそう思う。母さんもその言葉に絆されて強面の親父と再婚したんだ」
「俺を産んで、俺のオレンジ色の髪を見て、母さんは嬉しくて泣いたらしい。
ハベル伯爵家の5男1女、オレンジ色3人、茶髪3人。あれから青髪は1人も生まれていない」
「お母さんは嬉しかったんだろうけど、そんなに青髪ってダメなものなの?」
「ダメではないが歓迎されない。
侯爵家ともなれば青髪の領主では反乱が起こるだろう」
「どんなに剣術が強くても?」
「ああ、魔獣や魔物から領民を守るのが領主の役目だ。
魔物の中には魔法しか効かないものもいる。
青髪の魔力では領地を護り切れない」
「ロバート・ビスナードは母さんを追い出して伯爵家の娘と再婚した。
3年後に娘が生まれたがまた青い髪だった。
産後の肥立ちが悪くてもう子供を望めないらしい」
「また離婚したの?」
「イヤ、離婚したとしても、もう誰も嫁がないと思う。
みんな青髪の子供を生みたくないからな。
爵位も落とされそうだと聞いた」
「母さんはパーティーでロバートに会った時、言ってやったそうだ。
青髪はあなたの血筋だったみたいねって。
それを聞いた時はいい気味だと思った。
でも今はカイルはどう思ったか考えてしまう。
カイルは母親からも見放されたと思っただろうな」
私は何も言えなくなった。
「俺は両親に愛されて育った。
俺と親しくするならカイルに近づかない方がいい。
あいつの傷を抉ることになる」
ガイとカイルが異父兄弟ということはお母さんは一緒だから。
「それってガイのお父さんがカイルのお母さんを取っちゃったってこと!?」
「違う!親父は捨てられた母さんを拾ったんだ」
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そう前置きしてガイは話し始めた。
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そして生まれたのがカイルだ。
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そうしたら今度はニース子爵家の血筋が悪いと言い始めた。
結局母さんは産後間もなくビスナード家を追い出されたんだ」
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母さんの産んだ子供なら何色の髪の子供でも可愛いだろうって」
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「俺もそう思う。母さんもその言葉に絆されて強面の親父と再婚したんだ」
「俺を産んで、俺のオレンジ色の髪を見て、母さんは嬉しくて泣いたらしい。
ハベル伯爵家の5男1女、オレンジ色3人、茶髪3人。あれから青髪は1人も生まれていない」
「お母さんは嬉しかったんだろうけど、そんなに青髪ってダメなものなの?」
「ダメではないが歓迎されない。
侯爵家ともなれば青髪の領主では反乱が起こるだろう」
「どんなに剣術が強くても?」
「ああ、魔獣や魔物から領民を守るのが領主の役目だ。
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青髪の魔力では領地を護り切れない」
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3年後に娘が生まれたがまた青い髪だった。
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みんな青髪の子供を生みたくないからな。
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「母さんはパーティーでロバートに会った時、言ってやったそうだ。
青髪はあなたの血筋だったみたいねって。
それを聞いた時はいい気味だと思った。
でも今はカイルはどう思ったか考えてしまう。
カイルは母親からも見放されたと思っただろうな」
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あいつの傷を抉ることになる」
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