迷子

響影

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「や、やしろ?さっきは言いすぎた。……っごめん」

おじぎをして謝る。

反応が返ってこない。そうとう怒っているのだろうか?
薄目を開けてチラッとやしろを見る。


やしろは真っ黒な大きな目でこちらを見ている。まるで尻尾を踏まれた猫のように目の中は黒くて冷たい色をしている。 

「や…やしろ?」
「僕って邪魔?」



表情も口も動かないのに声が部屋に響く
どうしてもこの目が怖くて顔を逸らしてしまう。


「……言いすぎたって言ってるだろ。」






「…邪魔じゃない?君に僕は必要?」





再び逸らした目線を首をかしげた傾げたやしろの方に向けてビクッとした

目の大きさが異常だ。顔が上の方から暗く、黒に染まっている。そのうち顔の表情が見えなくなってしまうんじゃないか?異様な光景だ。

そんなやしろにおれはとっさに答えた。








「じゃ、じゃまじゃない…。おれにはやしろが必要、だよ………?」









実際にやしろがいないと、この家を追い出されてしまうと、困ってしまう。今度こそしぬかも…




やしろの様子を伺う。
先ほどまでの黒いものは目全体を覆い尽くしており、もはや口の部分しか見ることができない。その見える口元は、だんだんと口角を上げる。

おれの回答があっていたかわ分からない、が、ここはひとまず距離をおこう。そうしよう。



「ほ、本当に変なこと言ってごめん。ぉ、お、おれサッカーしてくs」

そう言いかけた瞬間、やしろがおれの腕を掴んだ。
おれはビックリしてボールを床に落としてしまった、拾い上げようとしてしゃがもうとするが


、腕を掴んでやしろがそのまま動き出した

引きずられそうになり、慌てて体制を整え、引っ張られる腕についていく。






「…やしろ?」

返事はなく、やしろは前だけを向いて真っ直ぐ歩く







「なぁ、ごめんって」

そのまま引きずられ、家の奥の部屋まで来た。



こんな部屋あったんだ、

虎がウサギを咥えている絵が描かれた襖の前まで来るとやしろは襖に手をかけ、そっと開いた。


!?、「ウワッッ」


いきなり部屋の中に投げられる。

畳にぶつかる!っと思って目を瞑ったが、来るはずの衝撃が来ない。


目を開けるとさっきまで無かった布団が現れた




スー……カタン…




後ろから襖が閉まる音がした。


「や、やしろ」



「僕、君とずっと一緒にいたいな。」


「?」



「でもね、君と僕を寿命は違うからいつかお別れしなくちゃいけないんだ。そんなの嫌だよね」

「?」


話がつかめない、
でも知っている。やしろがこの表情をする時はおれにとって嫌な予感がすることを想像している表情だ。


「でも一つだけ君と僕がずーーと一緒になれる方法があるんだ」





「契りを結ぼうか」












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