18 / 22
2・台所
1
しおりを挟む
家中を走っている最中に思い出した。
そう言えば、台所に勝手口があったはず!そこから外に出ることができるだろう。
台所へ急ぐ
あった!ボアノブを回すと最も簡単に開けることができた。
今はコインよりもあいつと距離を置かなくてはっ
勝手口は裏庭に繋がっており、どこも掃除されて綺麗な家とは違い草木がボーボーと生えている。一切手入れ慣れていないのだろう。
しかし、そんな裏庭に一つだけ違和感を感じるものがある。それは井戸だ。
井戸があることについて違和感があるわけではない。その井戸は周りの小屋や捨て置かれた道具たちとは違い、異様に綺麗なのだ。
やしろの家は水道が通っているのか、蛇口を捻れば水が出た。それだったら、井戸は使わないのではないかと思い、なんとなく、なんとなく井戸を覗く。
ん?なにかが水の底に沈んでいる。
キラキラ光っていて、丸くて……
妖狐郎!!!!
こんなところに沈められていたのか……。
しかし、どうやって妖狐郎を救い出そうか?
井戸にはロープのみがあり、バケツなどは見当たらない。
…しかたない、バケツかなんか、すくえそうなものを探すしかないか。
バケツ………そういえば、玄関にそれっぽいのがあったような…
おれは再び玄関に戻るために勝手口に向かう。
静かに、音を立てないように忍び歩く。
少し遠くから、あいつがおれを呼ぶ声が聞こえる。
その声はどこか笑っていて、奴はこの状況を楽しんでいるのだろう。
なんて考えていると
「あ、いた」
やっべ、急いで逃げ、居間の中の押し入れに隠れた。
息は最低限静かになるように意識する。
「あさとー、どこ行ったの?鬼ごっこも楽しいけど、そろそろもっと楽しくて気持ちのいいことしたくない?」
背中がザワザワする。絶対に逃げ切らなければ…
「コインは諦めなよ、絶対あさとじゃ見つけられないよ」
だんだんと声が遠ざかっていく。
こっちはコインは見つけてるんだ、あとは拾って逃げるだけ。
声と足音が完全に聞こえなくなったことを確認して押し入れから出る。
玄関まで行くと置いてあったバケツを手に再び井戸に戻った。
バケツを紐で結び垂らす。
妖狐郎!!おれの妖狐郎!!!!
手元に帰ってきたら妖狐郎を見て涙が出てきそうになる、
今日からおまえはおれの相棒だよ!
あとは森を駆け抜けるだけ。
ダッシュで走る。
玄関の前を通りすがる、
ざまぁ、みろと思った時、玄関がガラガラと音を立てて開いた。
やしろがおれと妖狐郎を交互に見て、顔から笑顔が消える。
「逃がさないから」
まずい、おれは全力で森に向かって走った。
「あさと、僕を一人にするの?」
「待って!」
「止まれ!!」
後ろからやしろの声が響く。
前と同じように見える、が、決定的に違う
奥に光が見える
おれは息切れを起こしながらも全速力で駆けた。
あと少し、あと少し!
「絶対に逃がさないから」
光の中に入ったおれは気づいたらいつもの神社にいた。
そう言えば、台所に勝手口があったはず!そこから外に出ることができるだろう。
台所へ急ぐ
あった!ボアノブを回すと最も簡単に開けることができた。
今はコインよりもあいつと距離を置かなくてはっ
勝手口は裏庭に繋がっており、どこも掃除されて綺麗な家とは違い草木がボーボーと生えている。一切手入れ慣れていないのだろう。
しかし、そんな裏庭に一つだけ違和感を感じるものがある。それは井戸だ。
井戸があることについて違和感があるわけではない。その井戸は周りの小屋や捨て置かれた道具たちとは違い、異様に綺麗なのだ。
やしろの家は水道が通っているのか、蛇口を捻れば水が出た。それだったら、井戸は使わないのではないかと思い、なんとなく、なんとなく井戸を覗く。
ん?なにかが水の底に沈んでいる。
キラキラ光っていて、丸くて……
妖狐郎!!!!
こんなところに沈められていたのか……。
しかし、どうやって妖狐郎を救い出そうか?
井戸にはロープのみがあり、バケツなどは見当たらない。
…しかたない、バケツかなんか、すくえそうなものを探すしかないか。
バケツ………そういえば、玄関にそれっぽいのがあったような…
おれは再び玄関に戻るために勝手口に向かう。
静かに、音を立てないように忍び歩く。
少し遠くから、あいつがおれを呼ぶ声が聞こえる。
その声はどこか笑っていて、奴はこの状況を楽しんでいるのだろう。
なんて考えていると
「あ、いた」
やっべ、急いで逃げ、居間の中の押し入れに隠れた。
息は最低限静かになるように意識する。
「あさとー、どこ行ったの?鬼ごっこも楽しいけど、そろそろもっと楽しくて気持ちのいいことしたくない?」
背中がザワザワする。絶対に逃げ切らなければ…
「コインは諦めなよ、絶対あさとじゃ見つけられないよ」
だんだんと声が遠ざかっていく。
こっちはコインは見つけてるんだ、あとは拾って逃げるだけ。
声と足音が完全に聞こえなくなったことを確認して押し入れから出る。
玄関まで行くと置いてあったバケツを手に再び井戸に戻った。
バケツを紐で結び垂らす。
妖狐郎!!おれの妖狐郎!!!!
手元に帰ってきたら妖狐郎を見て涙が出てきそうになる、
今日からおまえはおれの相棒だよ!
あとは森を駆け抜けるだけ。
ダッシュで走る。
玄関の前を通りすがる、
ざまぁ、みろと思った時、玄関がガラガラと音を立てて開いた。
やしろがおれと妖狐郎を交互に見て、顔から笑顔が消える。
「逃がさないから」
まずい、おれは全力で森に向かって走った。
「あさと、僕を一人にするの?」
「待って!」
「止まれ!!」
後ろからやしろの声が響く。
前と同じように見える、が、決定的に違う
奥に光が見える
おれは息切れを起こしながらも全速力で駆けた。
あと少し、あと少し!
「絶対に逃がさないから」
光の中に入ったおれは気づいたらいつもの神社にいた。
14
あなたにおすすめの小説
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 1000 Thank_You!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる