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しおりを挟む「…タラシ」
何回悪態をついたか分からない。生徒を惑わすな、教師だろ? と思ったのも一度や二度じゃない。
「本当に、罪な人…」
………何だか言っていて悲しくなってきた。
はぁ、とため息をついて、ここに来た目的を果たすために一度目を閉じて決意を新たに目を開いた。
「……………」
目に映る景色は変わらないけど、何かを吹っ切れた気がした。
「…先生。明日で世界、終わっちゃうんだって」
机に頬杖をついて、いつも先生がコーヒーを飲んでいるカップを撫でると先生が近くにいるみたいで、フッと笑みが漏れた。
「俺、こんなに突然終わりが来るなんて、思ってなかった。ずっとずっと、続くもんなんだって思ってた」
先生も、世界も、どっちも。こんな、いとも簡単に終わってしまうかもしれないなんて。
―――思って、なかったんだよ。
「…………きっと、先生は聞いたら笑うだろうね。それとも困った顔するのかな?」
俺がこれから告白しようとしていることを知ったら、先生はどんな顔をするんだろう。
そんなこと知る由もないけど。でも出来れば、もしも叶うなら俺は、
「会って直接、言いたかった」
きっと、それは先生を酷く困らせるんだろう。でも、こんな宙ぶらりんなままは嫌だった。…俺に、勇気が無かったっていうのもあるけど。結局、先生との仲が壊れるのが嫌で告白出来なかったから。
「………馬鹿、だよね…」
本当、でも先生。俺本気でーー…
ゆっくりと深呼吸をして、前を見据えた。言葉にするだけなのに、先生の存在の欠片がそこかしこにあるって思うだけですごく緊張する。
………よし、言うぞ。
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