貴方に捧げます

モカ

文字の大きさ
14 / 18

設定

しおりを挟む




ニース…


城で冷遇されて育った、国の第3王子。

上の兄が2人とも優秀な所為で、何も期待されないが故に誰にも関心を持たなかった結果、生まれながらにしてネグレクトのような環境に身を置くことになった、可哀想な子。

ちなみに彼の運動神経が悪いのは、資質もあるが、幼少期の栄養失調が原因。
食事が出されなかったわけではないが手を抜かれていた為、兄2人が当たり前のように受けていた対応がされなかった。それを王すら確認していなかったので、長年続いた結果、発育不足に。
これを知っているのはクレブだけで、本人は自覚すらない。

そんな環境でただ唯一自分に良くしてくれたのがクレブだったので、依存と重い恋心を抱える羽目になる。

クレブと離れて外交を担っていたときは、国に切り捨てられた場合の保険として、匿ってもらえるようなところを探す為にとても熱心に仕事をしていたので、諸外国の印象はとても良い。

そんな彼の代わりを務められる者など居るはずもなく、外交に関してはじわじわと瓦解の一途を辿っている。
このまま手をこまねいているだけならば、近いうちに貿易などを打ち切られることになるがーー箱庭に囚われた彼には、関係のない話。





クレブ=アルアドル…



騎士を父親にもつ平民。

幼い頃から父親に憧れ、才能もあり王城の護衛騎士に抜擢される。
が、たまたまニースが泣き止まない場面に出会した際、乳母に言われるがまま抱き上げると泣き止んだので、それを理由に傍従えを押しつけられた不運な男。

最初は不貞腐れて適当に対応していたが、ニースはそもそも構ってもらえることがなかったので、適当でも自分の話を聞いて、自分の考えを訊いてくれるクレブに速攻で懐いた。

そんなニースに困惑しながらも自分の気持ちが落ち着いてくると、ニースの置かれた不憫な現状に気が付いて色々と世話を焼いているうちに絆されてしまった。

それからニースの待遇の改善を図ってきたが一従者が出来ることなどたかが知れていたので、「自分が不甲斐ないばかりに」とよく言うようになった。(それでもだいぶ改善された)

ニースの成人を機に、ゆっくりと傍従えとして遠ざけられていることには気付いていたが、別に抗議するほどでもないと思っていた。

けれど完全に関わりがなくなった後、色々と違和感を感じるようになり、自分がニースをいつの間にか好きになっていたからだと気付いて身体を鍛え直し、一兵卒から騎士を目指すことにした。

最初はニースの護衛騎士を目指していたが、ちょうどよく隣国が攻めてきたのでこれ幸いと敵将を打ち倒し、ニースを褒美に貰おうと企み、成功させる。

やっと手に入ったと思いきや、奴隷落ちや自殺宣言をされ、ここ数年の想いが溢れて怒り爆発。監禁へと至ることになる。

監禁と王位継承権の返還の行動についての心理としては、今まで蔑ろにしてきた奴らの為にこれ以上身を削る必要はないと思っているから。

なので、もし今後外交のことについて王家から助けを求められたとしても、体調不良で押し通すし、継承権を放棄したニースには義務がないと言って譲らない。

表面上は取り繕いながら「ざまぁみろ。今までニース様を兄たちより劣ると冷遇し、軽んじてきた結果で、自業自得。助ける義理も、義務もない」と心の中で王家を罵ることだろう。




ちなみに、式典の前に王には一度会っており、その時も同様の願いを二つ返事で了承されている。

王はニースの気持ちも知っていたので勝手に良いことをした気になっているが、ニースの蔑ろにされ続けた故の自己評価の低さの為に、王の対応から彼らのすれ違いが生まれることに気づけなかった。結局大体の原因はこいつ。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

年下幼馴染アルファの執着〜なかったことにはさせない〜

ひなた翠
BL
一年ぶりの再会。 成長した年下αは、もう"子ども"じゃなかった――。 「海ちゃんから距離を置きたかったのに――」 23歳のΩ・遥は、幼馴染のα・海斗への片思いを諦めるため、一人暮らしを始めた。 モテる海斗が自分なんかを選ぶはずがない。 そう思って逃げ出したのに、ある日突然、18歳になった海斗が「大学のオープンキャンパスに行くから泊めて」と転がり込んできて――。 「俺はずっと好きだったし、離れる気ないけど」 「十八歳になるまで我慢してた」 「なんのためにここから通える大学を探してると思ってるの?」 年下αの、計画的で一途な執着に、逃げ場をなくしていく遥。 夏休み限定の同居は、甘い溺愛の日々――。 年下αの執着は、想像以上に深くて、甘くて、重い。 これは、"なかったこと"にはできない恋だった――。

婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました

多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。 ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。 ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。 攻め ユキ(23) 会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。 受け ケイ(18) 高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。 pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...