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眠り姫の後悔★
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私が自宅待機を言い渡された丁度三日後にクラウス殿下がルーセント侯爵家の屋敷を訪れた。
「お嬢様、お嬢様?」
侍女のアンが私を呼びかけながら部屋の扉をノックしている。
「お嬢様、クラウス殿下がお見えになられました……って、…ま、またイキナリお昼寝しちゃったんですかぁ!?もぉ~ドレスがシワになっちゃうじゃないですか」
部屋に入って来てベッドの上の私を確認するとアンは焦って私に声をかける。
この位置からは見えないが二人分の足音が聞こえた。殿下も部屋に入って来たようだ。
「今日はセシリアにどうしても伝えなきゃいけない事があるから起きるまでここで待たせて貰うよ、起こすのは可哀想だから時間もあるし気長に待とうと思う」
焦るアンとは対照的に落ちついた声で殿下は言った。
「申し訳ございません」
アンは深々と殿下に頭を下げると、
私が狸寝入りをキメているベッドの脇に椅子を用意した。
自分でも何をやっているんだろうと正直思う。
先日抱いてしまった不安により、殿下はもしかしたらもう他の女性の…アイラさんの下着に夢中で、私の下着には興味を示さなくなっている可能性もあるかもしれないと、つい試すかのように寝たふりをしてしまった…いつものように薄眼だけど。
―しかし、この事を私はすぐに激しく後悔する事になった。
アンが扉を閉めたと同時に素早く、それでいて音は最小限に抑えられつつ、布団がめくられる。そしてスカートの中に流れるような作業で手を滑らせ、一瞬でショーツが引き抜かれていった。
…ついに彼は職人になったんでしょうか??
は……早い……!!
寝ている人に気付かれることなく下着を抜きさる職人なんでしょうか??
これなら本当に寝ていても気付かれないんじゃないかと思うほど殿下の流れるような一連の動作に、下着を盗られて怒る事も忘れ、ただただプロの技に圧倒されてしまいました。
そして職人は呟きました。
「これでローテーションが出来る」
(は??????)
何だって?ローテーション??は??
凡人の私には殿下の仰っている事がよく分かりません。
私が訝しんでいる間に私から奪って手にしたパステルブルーのショーツの布地を裏返しにし、なんとクロッチの部分に口付けた。
(ぎゃああああああああああ!!!)
史上最悪の口付けを私は今、見た!!!半目だけど!!
悲鳴を上げそうになるのを堪える。
わざわざ裏返して秘部が当たっていたであろう場所に口付けているのである。
思わず目を固く瞑って暗闇の世界に逃げ込んだが、再びおそるおそる殿下の方に視線を向けると
未だに長い口付けの最中だった。パンツとの。
(無理無理無理無理無理本当無理!)
鳥肌が止まらない。
いやしかし、その絵面だけ見ると殿下の瞳は閉じられおり、手にしている物に口付けを落としている様は一見とても美しい場面のように錯覚する。
その手にしているのが女物のパンツなのだが。
(なっげーんだよ!いつまでやってる!?)
瞳が伏せられ、長い金色のまつ毛が頰に影を落としていてその様はとても神秘的で…そう、まるで宗教画に描かれている天使様のよう。
「ハァっ……ハァっ早く…これにぶっかけたいっ!……ハァッ…ハァ」
呟いている言葉は最低極まりない。
もうこの時点で既にここ数日思い悩んでいた事はチリとなって消滅していた。
それに先ほどの『これにぶっかけたい』という言葉で、今まで盗られたショーツの使い道を察する事が出来て震え出しそうになった。
(ぶ……ぶっかけ……?)
私は何故寝たふりなどという愚かな真似をしてしまったんでしょうか!?
変態なのは分かりきっていた事なのに、久々にその変態性を目にすると破壊力半端ない。
奇行の塊のような王子(婚約者)を半目になっている瞳に映しながら私は心の底から激しく後悔した。
「お嬢様、お嬢様?」
侍女のアンが私を呼びかけながら部屋の扉をノックしている。
「お嬢様、クラウス殿下がお見えになられました……って、…ま、またイキナリお昼寝しちゃったんですかぁ!?もぉ~ドレスがシワになっちゃうじゃないですか」
部屋に入って来てベッドの上の私を確認するとアンは焦って私に声をかける。
この位置からは見えないが二人分の足音が聞こえた。殿下も部屋に入って来たようだ。
「今日はセシリアにどうしても伝えなきゃいけない事があるから起きるまでここで待たせて貰うよ、起こすのは可哀想だから時間もあるし気長に待とうと思う」
焦るアンとは対照的に落ちついた声で殿下は言った。
「申し訳ございません」
アンは深々と殿下に頭を下げると、
私が狸寝入りをキメているベッドの脇に椅子を用意した。
自分でも何をやっているんだろうと正直思う。
先日抱いてしまった不安により、殿下はもしかしたらもう他の女性の…アイラさんの下着に夢中で、私の下着には興味を示さなくなっている可能性もあるかもしれないと、つい試すかのように寝たふりをしてしまった…いつものように薄眼だけど。
―しかし、この事を私はすぐに激しく後悔する事になった。
アンが扉を閉めたと同時に素早く、それでいて音は最小限に抑えられつつ、布団がめくられる。そしてスカートの中に流れるような作業で手を滑らせ、一瞬でショーツが引き抜かれていった。
…ついに彼は職人になったんでしょうか??
は……早い……!!
寝ている人に気付かれることなく下着を抜きさる職人なんでしょうか??
これなら本当に寝ていても気付かれないんじゃないかと思うほど殿下の流れるような一連の動作に、下着を盗られて怒る事も忘れ、ただただプロの技に圧倒されてしまいました。
そして職人は呟きました。
「これでローテーションが出来る」
(は??????)
何だって?ローテーション??は??
凡人の私には殿下の仰っている事がよく分かりません。
私が訝しんでいる間に私から奪って手にしたパステルブルーのショーツの布地を裏返しにし、なんとクロッチの部分に口付けた。
(ぎゃああああああああああ!!!)
史上最悪の口付けを私は今、見た!!!半目だけど!!
悲鳴を上げそうになるのを堪える。
わざわざ裏返して秘部が当たっていたであろう場所に口付けているのである。
思わず目を固く瞑って暗闇の世界に逃げ込んだが、再びおそるおそる殿下の方に視線を向けると
未だに長い口付けの最中だった。パンツとの。
(無理無理無理無理無理本当無理!)
鳥肌が止まらない。
いやしかし、その絵面だけ見ると殿下の瞳は閉じられおり、手にしている物に口付けを落としている様は一見とても美しい場面のように錯覚する。
その手にしているのが女物のパンツなのだが。
(なっげーんだよ!いつまでやってる!?)
瞳が伏せられ、長い金色のまつ毛が頰に影を落としていてその様はとても神秘的で…そう、まるで宗教画に描かれている天使様のよう。
「ハァっ……ハァっ早く…これにぶっかけたいっ!……ハァッ…ハァ」
呟いている言葉は最低極まりない。
もうこの時点で既にここ数日思い悩んでいた事はチリとなって消滅していた。
それに先ほどの『これにぶっかけたい』という言葉で、今まで盗られたショーツの使い道を察する事が出来て震え出しそうになった。
(ぶ……ぶっかけ……?)
私は何故寝たふりなどという愚かな真似をしてしまったんでしょうか!?
変態なのは分かりきっていた事なのに、久々にその変態性を目にすると破壊力半端ない。
奇行の塊のような王子(婚約者)を半目になっている瞳に映しながら私は心の底から激しく後悔した。
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