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暗く冷たい石組の空間。窓はなく魔術灯の明かりだけが床と壁と鉄格子を照らし出していた。
魔術灯を手に持ち鉄格子の前にガラルドは包帯まみれのまま座り込んでいる。そこに足音が響き、次第に大きくなっていった。足音の数は多く、早い。足音の主も魔術灯を持ちガラルドの元に来て足を止めると、あたりは一層明るさを増した。
「ガラルド卿。お身体に触りますよ。しかし、なぜここが・・・」
「ここは大工房だ。中央を差し置いて独自に調査、研究を進める連中の集まりだろう。少なからず持っているだろうということは予想できる」
ガラルドは視線を動かすことなくじっと鉄同士の中を見続けている。ガラルドの元にやってきた男は魔術灯を掲げてのぞき込んだ。そこにはゴブリンがいる。仰向けに倒れ込み。あたりは血で濡れていた。
男が掲げた魔術灯の揺らぎに合わせて飛び散った血が光を反射させる。
「これは・・・ガラルド卿が?」
「違う。独りでに胸が裂け、そのまま死んだ」
「独りでに?なぜ・・・」
「どうやったのかはオレにもわからん・・・だが、約束は果たされたようだ」
そう言ってガラルドは壁に身体をあずけがら立ち上がった。
「約束とは?」
ガラルドは答えない。壁に手をつきながら脚を引きずりながら男たちがやって気は方向へ歩いていった。
ガラルドに話しかけていた男は魔術灯で照らしながら奥へと進む。いくつも連なる鉄格子の中には血をまき散らして絶命したゴブリンが横たわるばかりだった。
もうもうと打ちあがる煙を前にユウトは堂々と立っている。何かが焼け焦げた臭いがユウトの鼻を突いた。
「ラトム、どうだ?大魔獣は・・・」
ユウトがラトムに尋ねようとしたとき、煙の中から不安定に震える咆哮が響く。
「やっぱりまだ顕在か」
「そうみたいっス。すごい数の核があるのがわかるっス」
「それはどっちの核か見分けつくの?」
セブルがラトムに対し心配そうに尋ねた。
「すごい勢いで動き回ってて今判別するのははちょっと難しそうっス。でも確かに痛手は与えてるみたいっスよ。最初はもっと統率がとれた動きをしてたっス」
ユウトは大魔剣を握り直した。
「なら、どんどん削って動かせないようにするか。倒しきれなかったのは残念だけど、それだけできることはある。ここからがオレ達の本番だな」
そう言っていっそう作動音の唸りを上げる大魔剣を構える。
「くるっス!」
ラトムが何かを察知して注意をうながした。
ほぼそれと同時に立ち込めた煙の中からいくつもの黒い円柱の柱が一斉に飛び出してくる。その円筒形した黒い柱は太さも様々で数と長さはユウトの想像を超えていた。噴石のように放射状に飛び出した柱はそれぞれ弧を描き、勢いそのままに地面に突っ込む。そしてそこからもがき苦しむように地をえぐり、引っ掻き回し、無秩序に暴れまわり始めた。
大魔獣に最も近い場所に位置するユウトは向かってくる触手を身をひるがえしてさけ、全身を使って大魔剣を振るう。振り切ったのち黒柱は断たれた。
ユウトは動きを止めることなく、戦場を一人駆け回りながら大魔剣の連撃を黒柱に浴びせ続けてまわる。明らかに大魔剣の刀身が届かない距離、太さであってもあっさりと黒柱は断たれた。
断たれた黒柱の先は力を失い、毛ば立たせて溶けるように形を崩すと地面に広がる。ユウトが駆け抜けた後には黒い水たまりのような残骸が草原の緑に描かれていった。
「ヴァル!そっちはどうだ?」
ユウトは軽快な足取りで駆け抜けながら、思考の中でヴァルに語り掛ける。
「問題ナイ。護衛対象顕在。部隊損耗無シ」
「わかった。引き続き頼む。オレは大魔獣の制御核を探すためにもっと近づく」
「了解シタ」
そうしてユウトは地面をえぐって暴れるものや新たに飛び出す黒柱をさばき、横方向に往来しながら徐々に煙に紛れる大魔獣本体へと迫っていった。
ヴァルの鉄の身体が迫りくる黒柱を受け止める。鈍い金属音を鳴らしながら黒柱の動きを止め、その隙にデイタスの魔術大剣の連撃を浴びせかけ断ち切った。
護衛部隊はハイゴブリンの四姉妹を取り囲むように陣形をとって守りを固めている。ディゼルが隊長として指示を出しながら魔術盾を発動して黒柱を受け流していた。太い黒柱はヴァルが受け止めデイタスが切り落とす。その間を縫って入り込む細い黒柱はカーレンの空中を飛翔する剣とノエンの魔術短剣を用いた二刀流で処理していた。
そして姉妹達がのる鉄の荷車の前でレナが魔術槍を構えて最後の守りを固めている。リナはそのすぐそばで手に持った金属と木が組み合わされた杖の片方を肩に押し当て、もう片方を上方に向けて文言を唱えた。すると杖に添って施された金属の溝をなぞって真っすぐ光る物質が高速で放たれる。その物質は上空から落ちてくる黒柱を捉えると光の拡散と共にばらばらに引き裂いた。
それまで鎮座した巨石はない。巨石は前線部隊の最も外側を宙を浮いて移動していた。その大質量をもって黒柱に対し移動防壁として機能している。その動きはヨーレンがかざした短い杖に連動していた。
魔術灯を手に持ち鉄格子の前にガラルドは包帯まみれのまま座り込んでいる。そこに足音が響き、次第に大きくなっていった。足音の数は多く、早い。足音の主も魔術灯を持ちガラルドの元に来て足を止めると、あたりは一層明るさを増した。
「ガラルド卿。お身体に触りますよ。しかし、なぜここが・・・」
「ここは大工房だ。中央を差し置いて独自に調査、研究を進める連中の集まりだろう。少なからず持っているだろうということは予想できる」
ガラルドは視線を動かすことなくじっと鉄同士の中を見続けている。ガラルドの元にやってきた男は魔術灯を掲げてのぞき込んだ。そこにはゴブリンがいる。仰向けに倒れ込み。あたりは血で濡れていた。
男が掲げた魔術灯の揺らぎに合わせて飛び散った血が光を反射させる。
「これは・・・ガラルド卿が?」
「違う。独りでに胸が裂け、そのまま死んだ」
「独りでに?なぜ・・・」
「どうやったのかはオレにもわからん・・・だが、約束は果たされたようだ」
そう言ってガラルドは壁に身体をあずけがら立ち上がった。
「約束とは?」
ガラルドは答えない。壁に手をつきながら脚を引きずりながら男たちがやって気は方向へ歩いていった。
ガラルドに話しかけていた男は魔術灯で照らしながら奥へと進む。いくつも連なる鉄格子の中には血をまき散らして絶命したゴブリンが横たわるばかりだった。
もうもうと打ちあがる煙を前にユウトは堂々と立っている。何かが焼け焦げた臭いがユウトの鼻を突いた。
「ラトム、どうだ?大魔獣は・・・」
ユウトがラトムに尋ねようとしたとき、煙の中から不安定に震える咆哮が響く。
「やっぱりまだ顕在か」
「そうみたいっス。すごい数の核があるのがわかるっス」
「それはどっちの核か見分けつくの?」
セブルがラトムに対し心配そうに尋ねた。
「すごい勢いで動き回ってて今判別するのははちょっと難しそうっス。でも確かに痛手は与えてるみたいっスよ。最初はもっと統率がとれた動きをしてたっス」
ユウトは大魔剣を握り直した。
「なら、どんどん削って動かせないようにするか。倒しきれなかったのは残念だけど、それだけできることはある。ここからがオレ達の本番だな」
そう言っていっそう作動音の唸りを上げる大魔剣を構える。
「くるっス!」
ラトムが何かを察知して注意をうながした。
ほぼそれと同時に立ち込めた煙の中からいくつもの黒い円柱の柱が一斉に飛び出してくる。その円筒形した黒い柱は太さも様々で数と長さはユウトの想像を超えていた。噴石のように放射状に飛び出した柱はそれぞれ弧を描き、勢いそのままに地面に突っ込む。そしてそこからもがき苦しむように地をえぐり、引っ掻き回し、無秩序に暴れまわり始めた。
大魔獣に最も近い場所に位置するユウトは向かってくる触手を身をひるがえしてさけ、全身を使って大魔剣を振るう。振り切ったのち黒柱は断たれた。
ユウトは動きを止めることなく、戦場を一人駆け回りながら大魔剣の連撃を黒柱に浴びせ続けてまわる。明らかに大魔剣の刀身が届かない距離、太さであってもあっさりと黒柱は断たれた。
断たれた黒柱の先は力を失い、毛ば立たせて溶けるように形を崩すと地面に広がる。ユウトが駆け抜けた後には黒い水たまりのような残骸が草原の緑に描かれていった。
「ヴァル!そっちはどうだ?」
ユウトは軽快な足取りで駆け抜けながら、思考の中でヴァルに語り掛ける。
「問題ナイ。護衛対象顕在。部隊損耗無シ」
「わかった。引き続き頼む。オレは大魔獣の制御核を探すためにもっと近づく」
「了解シタ」
そうしてユウトは地面をえぐって暴れるものや新たに飛び出す黒柱をさばき、横方向に往来しながら徐々に煙に紛れる大魔獣本体へと迫っていった。
ヴァルの鉄の身体が迫りくる黒柱を受け止める。鈍い金属音を鳴らしながら黒柱の動きを止め、その隙にデイタスの魔術大剣の連撃を浴びせかけ断ち切った。
護衛部隊はハイゴブリンの四姉妹を取り囲むように陣形をとって守りを固めている。ディゼルが隊長として指示を出しながら魔術盾を発動して黒柱を受け流していた。太い黒柱はヴァルが受け止めデイタスが切り落とす。その間を縫って入り込む細い黒柱はカーレンの空中を飛翔する剣とノエンの魔術短剣を用いた二刀流で処理していた。
そして姉妹達がのる鉄の荷車の前でレナが魔術槍を構えて最後の守りを固めている。リナはそのすぐそばで手に持った金属と木が組み合わされた杖の片方を肩に押し当て、もう片方を上方に向けて文言を唱えた。すると杖に添って施された金属の溝をなぞって真っすぐ光る物質が高速で放たれる。その物質は上空から落ちてくる黒柱を捉えると光の拡散と共にばらばらに引き裂いた。
それまで鎮座した巨石はない。巨石は前線部隊の最も外側を宙を浮いて移動していた。その大質量をもって黒柱に対し移動防壁として機能している。その動きはヨーレンがかざした短い杖に連動していた。
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